昼寝前にコーヒーを飲むと、目覚めがよくなるってホント?
Lifestyle 2024.10.25
睡眠前にカフェインを摂ることは、一見好ましくないように思えるかもしれない。しかし、「la sieste caféinée(カフェイン昼寝)」の愛好者によると、この組み合わせは真の活力をもたらすという。ふたりの専門家に話を聞いてみよう。
午後2時、身体がだるいとしよう。この状況では、一般的にふたつの解決策がある。数分間眠るか、コーヒーを飲むか、のいずれかだ。しかし、その両方ともやってみる選択は考えられないだろうか? 信じられないかもしれないが、TikTokのフォロワーによると、「コーヒー昼寝」または「ナップチーノ」(英語のNAP(昼寝)とカプチーノの短縮形)とも呼ばれる、この昼寝前にカフェインを飲むという新習慣は、試す価値があるという。
ではそのやり方は? 寝る時刻の約20分前に、カフェイン入りの飲み物を摂るだけでいい。TikTokユーザーの@justbrandonvuが昨年5月にシェアし、現在610万回以上再生されている動画では、「カフェイン昼寝」のメリットが称賛されている。カフェインを事前に摂った昼寝は、頭をリフレッシュし、目覚めた時のぼんやりした状態を消し去るほどの活力を与え、集中力を高めるという。しかし、それは本当に効果があるといえるのだろうか?
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科学的根拠のない経験から生まれた新習慣
通常、私たちは眠りから目覚めたときに、不機嫌になったり、ぼんやりすることがある。睡眠惰性または睡眠の酩酊状態と呼ばれるこの一時的な感覚は、覚醒の衝撃をやわらげる働きがあり、身体が徐々に目覚めることを助ける。これが、「昼寝の前にコーヒーなどの神経を刺激する飲み物を摂取すると、この状態がより早く解消される可能性がある」と、睡眠と専門とする神経科学研究者のブライス・ファラウト氏はコメントしている。
一方で、国立保健医療研究所(INSERM)の研究主任で、コーヒーの健康への影響を専門とするアストリッド・ネーリグ氏も、カフェインの興奮効果を認めている。「カフェインを摂ると、体中に広がり、30~45分後に脳内でピークに達する」とネーリグ氏。「こうして30分が経過する頃には、注意力と集中力の向上、反応時間の短縮、認知機能の向上など、期待通りの効果がもたらされることに気がつくでしょう。しかし、昼寝前にカフェインを摂るという習慣は、これまで科学的に実証されたことはありません。カフェインを含む昼寝の効能は、あくまで経験に基づくものであり、実際に科学的根拠はないのです」と、ネーリグ氏は強調する。
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恩恵が得られないケースも
さらに、いくつかのケースにおいては、この理論のメリットを享受できないとされている。「30分経っても眠れない場合は、逆効果になります。時間が経ちすぎると、カフェインが作用して、目が覚めてしまいます」と、寝つきの悪い人にとっては効果が期待できないことをファラウト氏は説明する。また、日中に摂取したカフェインは、多かれ少なかれすぐに排出されるものだが、各々の代謝の体質にかかっているようだ。「カフェインの半減期、つまり吸収された物質の半分を排出するのにかかる時間は、平均して2~5時間ですが、代謝が悪い人の場合、排出に16時間かかることもあります」とネーリグ氏。「1日にコーヒーを何杯も飲んだら、排出時間は当然長くなります」。また、カフェインに対して、過敏な人がいれば、鈍感な人もいることも覚えておきたい。後者の場合は、残念ながら効果に期待できないだろう。
最後に、カフェイン睡眠が自分に合っているかを知るには、実際に試してみて、自分の意見を持つべきだとファラウト氏は締めくくる。「カフェインの持つ精神刺激効果に対して敏感な人は、長旅や夜勤の前にカフェインを摂って昼寝をすると、恩恵を受けることができます」。そしてこの方法がうまくいかない場合は、日中に散歩して、自然光を浴びることを提案している。睡眠と覚醒のリズムの同調機能を整えれば、エネルギーも回復して、目覚めのいい睡眠を得られそうだ。
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@justbrandonvu The time I tried to take a coffee nap
♬ original sound - Brandon Vu
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text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto