コーヒーをやめるべき身体からのサインとは?

Lifestyle 2024.01.08

エスプレッソ、モカ、ラテ...。コーヒーのメニューは何十種類もあるが、なかには本人が意識していなくても体質的にコーヒーが合わない人もいる。自分がコーヒーに向かないタイプかどうかを知るための手がかりを紹介する。

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コーヒーを飲んで不快な症状が出る場合、体質によっては飲む量を減らす、あるいはやめるほうがいいかもしれない。photography: d3sign/Getty Images

適度な量(1日4杯以下)のコーヒーが健康維持に効果的なことは多くの研究で実証されている。コーヒーには抗酸化成分が豊富に含まれ、心疾患や神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病)、糖尿病などから身体を守ってくれる。だが、コーヒーの日常的な飲用が間接的に身体に及ぼす影響には個人差もある。コーヒーを飲んで不快な症状が出る場合、体質によっては飲む量を減らす、あるいは完全にやめるほうがいいことも。では、コーヒーを断つべきかどうか、どうやって判断すればいいのだろう? その基準をまとめてみよう。

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動悸

コーヒーを飲んだ後に動悸を感じる。これはおそらく最もわかりやすいシグナルだろう。「カフェインは心臓の働きを活発にします。遺伝子型によっては、血圧が上昇することもある」と説明するのは、国立保健医学研究所(Inserm)研究部長でコーヒーが健康に及ぼす効果を研究するアストリッド・ネリグだ。「ですが、そこまで敏感な人はまれ。大部分の人にとってコーヒーはむしろ不整脈を抑制する効果があります」

眠れなくなる

コーヒーには刺激作用があり、入眠の妨げになることは周知の事実。そのため、ふつうは寝る前のコーヒーは控えたほうがいいとされている。ただ、気をつけていても、お昼前に飲んだたった一杯のエスプレッソでとたんに眠れなくなる人も。カフェインへの感受性は、カフェインが体外へ排出されるまでにどのくらいかかるかによって決まる、とネリグは言う。「肝臓でカフェインが分解されるプロセスにかかる時間は個人の代謝機能によって異なります。代謝が遅い人ではカフェインが排出されるまでに16時間かかることもあります」

就寝時に体内にカフェインが残留していると、脳内にある入眠を促す分子アデノシンの受容体とカフェインが結びつき、アデノシンの作用が阻害されてしまう。「脳内のアデノシン受容体の数が少ない人ほど、コーヒーが入眠に及ぼす影響が大きくなります」と、Insermに所属する神経科学研究者で睡眠を専門とするアルメル・ランシヤックは強調する。ノンレム睡眠の時間が減って疲労回復効果が低下し、睡眠の質が悪化する。翌日、睡眠不足による疲労を補おうと、カフェインの摂取量を増やすと、悪循環に陥ってしまう。睡眠負債が徐々に蓄積される恐れがあるとランシヤックは警告する。

ストレスと不安

コーヒーによる睡眠負債は感情面にも影響を及ぼす。「睡眠不足になると、就寝中に働く感情の調整機能が大幅に低下します。そのため、翌日、不安感が強まることになる」と神経科学者のランシヤックは指摘する。

さらに、カフェインに覚醒作用があるのはよく知られているが、カフェインがストレスレベルを上げる場合もある。カフェインはストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールを生成する脳下垂体を刺激する。「この現象には遺伝的要因が関与しており、素因を持つ人には、震え、動悸、筋収縮といった症状が現れやすい」と、医師で栄養士のファイザ・ボシーは言う。「極端なケースでは、コーヒーの過剰摂取でパニック発作が誘発されることもある」とInserm研究部長のネリグは付言する。

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胃腸の不調

食後に飲むことが多いコーヒーには、消化システムを活性化する働きもある。カフェインが胃に入ると、消化を助ける塩酸の分泌が促進される。「コーヒーの過剰摂取は、腹痛や、吐き気、下痢、胃酸の逆流といった胃の不調を引き起こします」とボシーは指摘する。

摂取量に関わらず、胃腸の弱い人はこうした影響を受けやすい。「胃酸の逆流が頻繁に起きる人や過敏性腸症候群の人にコーヒーはおすすめしません」と医師は強調する。

頭痛

コーヒー不耐性の度合いが高いと、集中力が低下したり、頭痛が起こるなど、日常生活に影響が出ることもある。神経科学研究者のランシヤックによれば、コーヒーを飲むと血管収縮が生じるため、通常、コーヒーには鎮痛作用があるという。別の言い方をすれば、カフェインが体内に入ると脳の血管が収縮し、脳に血が送り込まれやすくなるため、頭痛が緩和されるというわけだ。「ただし、この効果が得られるには、血管が拡張しすぎても収縮しすぎてもいけない」と医師は言う。「コーヒーを飲んで頭が痛くなる人は、血管収縮作用が働きすぎ、脳への血流が阻害されている可能性があります」

コーヒーを徐々に断つ

複数のファクターが重なっている場合は注意が必要だ。これらのコーヒー"不耐性"の症状がいくつも見られ、かつ慢性化している人は、念のためにコーヒーを飲むのをやめてみるといいとボシー医師はアドバイスする。「コーヒーを飲まないほうが体調が良くなるかを知る一番いい方法は、しばらく飲まないこと」と神経科学研究者のランシヤックは断言する。

特にコーヒーを頻繁に飲む人は、離脱症状が出ないよう、徐々に飲む量を減らすといいと専門家たちは口をそろえる。入手しやすい代替品の中でも、カフェインの含まれてない大麦コーヒーやシコレは苦味が好きな人にもおすすめだ。苦さにこだわらないなら、ハーブティーやフルーツジュースでさまざまな味やテクスチャーを楽しんでみては。

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text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)

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