燃え尽き症候群を避けるために、フランス女性が取り入れる3つのティップス。
Lifestyle 2025.03.27
職場でも家庭でも、女性は常にさまざまな期待に応えることを求められ、自分のために時間を使うのが難しくなっている。では日常的に自分の時間を確保するには、どうすればいいのだろうか? いくつかのアイデアを紹介しよう。
自由な時間を見つけるために必要なのは、クリックひとつだったりする。イザベル・ヴェヴェルカは、15 年間マーケティング会社で働いてきた。彼女はパリの重役のような多忙な生活を送っていた。終わりのない日々、あわただしい昼食、公共交通機関での過酷な通勤......。そして家に帰ると、娘の世話が待っている。結果的に、彼女は自分の時間を持つことはできなかった。慢性的な疲労、消化不良、関節痛があったにもかかわらず、イザベルは身体からのシグナルを無視したのだ。2019年に職場での不安発作が決定的な転機となるまでは。
「あの日、私は死ぬほど怖かった」と、彼女はいまになって打ち明ける。医師から休養を強制された彼女は、静養中の10日間を朦朧とした状態で過ごしたという。「その時、私は理解したの。自分のことを大切にしなければならないって」
イザベルのように、多くの女性が自分の責任と個人的なニーズのバランスを取るのに苦労している。フランス国立統計経済研究所(INSEE)の2020年の調査によると、子どもを持つフランス人女性の63%が、仕事と家庭の両立が難しいと感じているという。母親でなくても、女性は男性の2倍の時間を家事に費やしており、これもまた燃え尽き症候群に陥る原因となっている。
「女性は職場、家庭、そして社会の中で、さまざまな期待に縛られている」と、メンタルヘルス予防を専門とする講演家、コンサルタント、トレーナーであり、このテーマに関する本の著者でもあるノエミ・ゲラン(1)は強調する。「最終的に、このような認知的および感情的な負担が、疲労やフラストレーションを生み、極端な場合には本当の精神的衰弱を引き起こします」
燃え尽き症候群を防ぐには、エネルギーを充電してバランスを保つために、自分のための自由な時間を作ることが何より重要になってくるという。以下、自分の時間を確保するために、女性たちが取り入れているティップを見てみよう。
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#1. 1日10分の自由時間
スケジュールに融通が利かない人に朗報だ。1日10分の自由時間があれば、息抜きには十分だ。これはイザベルがすぐに理解したことでもある。「毎晩、バスルームでひとり、5分間のアンカリング瞑想をすることから始めたら、すぐに心が落ち着きました」と彼女は言及している。
自分自身のケアに関しては、量よりも質と規則性が優先される。3カ月に1回、1時間のマッサージをするより、1日数分の方が健康に良い影響を与えるというわけだ。「どんなに短い休憩であっても、最も重要なことは、いま、この場にいるということです」とノエミ・ゲランは語る。「楽しいことに集中している時に、私たちはエネルギーを充電するのです」
このようなちょっとした休憩は、やがてもっと増えることになるかもしれない。
#2. 習慣を作る
毎日の瞑想に加えて、イザベルは朝の日課に10分間のストレッチを取り入れ、アラームを少し早めに設定することで、子ども抜きで朝食をとる習慣を身につけた。「このような習慣を確立することが、再び自分を大切にする最良の方法です」と、心理療法士でコーチのヴェロニク・ドゥボールはコメントする。燃え尽き症候群に悩む女性たちの生活再建を支援する際、彼女は以下の3つの習慣を取り入れるようすすめている。
(1)1日15分~20分間の身体活動を行う。
歩く、自転車に乗る......、身体を動かしてさえいれば何でも構わない。「スケジュールに組み込むのに、これ以上簡単なことはありません。地下鉄やバス、路面電車を数駅早く降りて、途中を歩いたり、昼休みにちょっと散歩をしたり」とコーチは助言する。
(2)瞑想的実践の時間を持つ
絵を描いたり、ガーデニング、編み物、料理、読書などの、数分間の「瞑想的実践」を持つ。
(3)1日を明るくしてくれた3つのことをリストアップ
専門家は毎晩、1日を明るくしてくれたことを3つリストアップするようすすめている。「この3つの習慣を日常生活に取り入れることで、"すること"から"存在すること"に立ち返るのです」と心理療法士は語る。「そうすることで、自分自身、自分の感情、自分の喜びと再び繋がることができるのです。これこそが個人的にも仕事上でも充実感を得る鍵です」
一度自由を味わってしまったら、もう後戻りはできない。いずれにせよ、その後イザベルは、大切な儀式を放棄したことはない。
#3. 自分のための時間を計画する
自分のために時間を使うには、ある程度の規則正しい生活が必要だ。メルカート・ド・エルンプロイの責任者であるジェニー・ゴルチェも例外ではない。「8 年前にビジネスを立ち上げた時、仕事の効率を上げ、全体的に幸せになるためには、自分のための時間が必要だとすぐに気付きました。にもかかわらず、最初はそれを優先することはありませんでした」と、39 歳の起業家は振り返る。
現在、ふたりの幼い子どもの母親である彼女は、週に3時間の自由時間を確保している。どうやってそこにたどり着いたのだろう? 「私はいま、手帳に"自分との約束"を予定しています」と彼女は説明する。つまり、仕事の予定と同等に、自分のための時間枠を設けているのだ。「私のスケジュールは、自分のために組まれており、仕事中心ではありません」
ではどんな予定を? スポーツセッション、リンパドレナージュ、あるいはただ自然について考えること、と彼女は答えてくれた。
このような予定を立てるのが難しい人もいるだろう。したがって、各自が自分に合ったやり方を考える必要がある。仕事の時間を1時間減らしたり、昼食や家事の時間を少し減らすなどの調整も出てくるだろう。
ジェニーは、自分の生産性を基準にスケジュールを組むようにしているという。昼下がりのエネルギー不足を自覚している彼女は、この時間帯をプライベートの時間として優先している。デスクに座って過ごすことのないこの時間は、着実に実を結んでいるようだ。「瞑想は気分を安定させ、呼吸を整え、思考を整理してくれます。この自由な時間は、大きなストレスに直面した時に、より効率的に落ち着いて対処するために必要なバランスを与えてくれるのです」と彼女は熱く語っている。彼女のアドバイスは多くの人にインスピレーションを与えるのではないだろうか。
(1) 『Prenez soin de votre santé mentale au travail... et de celle des autres(職場でのメンタルヘルスに気を配ろう。自分の、そして他人のも)』(Vuibert社刊)ノエミ・ゲラン著、21 ユーロ
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text: Lena Couffin (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto