歯は1日何回磨けばいいの?
Lifestyle 2024.01.04
歯磨きを1日1回するだけではダメなのだろうか? フランスの専門家に聞いてみた。
忙しかったり、面倒くさかったりで歯磨きが1日1回になってしまっても大丈夫なものだろうか。photography: visualspace / Getty Images
歯磨きはもちろん衛生上必要だが、習慣として身についている人ばかりではない。さらに寝過ごして慌ただしく出勤の準備をしている時や、夜遅く帰ってきて一刻も早く寝たい時に歯磨きをパスしたい誘惑にかられた人も多いはず。フランス口腔衛生連盟(UFSBD)では1日2回のブラッシングを推奨している。しかし、必ず2回すべきなのだろうか? 1日1回だけだとどんな影響があるのだろう?
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病原菌が増える
微生物の研究を手がける口腔外科医のエロディ・テレールの答えは明快だ。歯磨きが不十分だと病原性細菌が増える。ブラッシングの目的は歯垢と歯石を除去することであり、どちらも口腔内に善玉菌と悪玉菌を蓄積させる温床となる。
エロディ・テレールによれば、朝の歯磨きをパスすると、食事を栄養素として口腔内で細菌は一日中増殖してしまう。そして夜の歯磨きをパスすると、菌の悪影響は倍増する。睡眠中は口の自浄作用である唾液の流れが悪くなるからだ。
悪循環の始まりだ。細菌が蓄積すると、口腔内細菌叢(口腔内フローラ)のバランスが崩れ、歯を守るバリアであるエナメル質が脆くなる。さらに粘膜の炎症につながり、虫歯ができやすくなる。「最終的には歯肉炎や歯周炎などの歯周病が発症し、感染が身体の他の部位に広がる可能性があります」と口腔外科医のエロディは警鐘を鳴らす。「糖尿病や心血管系疾患を患っている人は、歯科衛生にとりわけ注意する必要があります。持病が悪化するおそれがあるからです」
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口臭の原因
デメリットは他にもある。「細菌によっては蓄積して相互作用する結果、メタン臭や硫黄臭を放ち、これが口臭の原因になります。とりわけ歯垢や歯石によって唾液管が塞がれている人はそうなりやすいですね」とエロディ・テレール。
なお、コーヒーや紅茶、タバコによって歯が変色することもある。こうした付着物も細菌の増殖を促進し、有害な結果をもたらす。
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歯磨きは1日3回まで
理想的な歯磨きは1日2回、エナメル質を再石灰化させるフッ素入り歯磨き粉を使い、ブラシは柔らかめ、手動または電動で磨くことだ、とエロディ・テレールは言う。歯茎を含めて口腔内全体を最低2分間ブラッシングし、最後にデンタルフロスか歯間ブラシで食べかすや歯垢を取り除く。「理想的なのは食後の歯磨きです。細菌が口の中に残った食べ物を糧に増殖しないためにはとりわけ夕食後の歯磨きが重要です」と、エロディ・テレール。
ただしやり過ぎは「百害あって一利なし」であることも肝に銘じてほしい。歯磨きは1日に3回までに留めておくこと。「機械的なブラッシングを持続的にやりすぎると逆効果です。口腔内を刺激し、歯茎が過敏になり、エナメル質の表面を傷つけてしまいます」とエロディ・テレールはその理由を説明した。
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text : Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)