熟睡と減量効果も! 健康に良い、夕食の最適な時間とは?
Lifestyle 2024.01.07
夕食を何時に食べるかは人それぞれだが、健康を考えるなら18時頃がおすすめだ。これぐらいの時間にバランスの取れた食事をすれば、ぐっすり眠れるし減量効果も期待できる。
睡眠改善や体調管理、減量したいなら、夕食の時間は重要。photography: Foxys_forest_manufacture / Getty Images/iStockphoto
季節の変わり目は生活習慣を変える良いきっかけとなる。最近なんとなく体調が悪いと思うのなら、なおさらのこと。それならほんの少し、生活習慣を変えるだけで健康に良いとしたら? たとえば夕食の時間。テレワークでパソコンのキーボードを打ちながらサンドイッチを急いでほおばるのも、21時すぎてから出来合いのおかずをレンチンするのもやめて、できるだけ早い時間に食事をしてはどうだろう。食後は寝るまでリラックスタイム。このようにゆったり過ごすのが身体にはいい。
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代謝の改善
夕飯が遅くなると寝る時間もずれこむ。でもそのパターンが習慣となってしまうと問題だ。「食事時間が遅くなると食欲が増し、身体が脂質を欲する。長期的には心血管疾患、糖尿病、肥満等をもたらすおそれがある」と時間生物学者のダミアン・ダベンヌは言う。彼はフランス国立衛生医学研究所(INSERM)のユニット長であり、カーン大学(ノルマンディー地方)の教授だ。
一方、夕飯を18時か19時ごろに食べると身体に良いことが最近の研究で明らかになっている。フランス国立衛生医学研究所(INSERM)の「栄養・糖尿病・脳研究ユニット」(NUDICE)長のジル・ミチューによれば、2019年に科学ジャーナル『Cell Metabolism(細胞メタボリズム)』でアメリカのヒトと動物に関する研究が発表された。毎日10時間以内に食事を摂る、すなわちたとえば朝食を8時に食べたら夕食は18時までに食べ終えることにした場合、細胞の早期老化の原因となる糖尿病や炎症性疾患のリスクが低下し、代謝系の健康が改善したそうだ。希望の持てる結果だが、今後さらなる検証が必要だとジル・ミチューはつけ加えた。
減量
フランスのユニラサール工科大学准教授で、料理法と健康に関する研究をおこなうフィリップ・プリヤールによれば、早い時間の夕食には若干の減量効果もある。ただし寝るのが遅くてはダメ。これはいわゆる、夜だけファスティング(断食)と呼ばれるものと同じ原理で、断続的なファスティングもコンセプト的には近い。「11時間以上断食すると炭水化物や脂質の代謝に不可欠なインスリンの血中濃度が下がる。同時に成長ホルモンの分泌が増え、脂肪酸が血液中に放出されて体脂肪が減少する」とフィリップ・ブリヤールはその仕組みを説明した。
夕食の時間が遅いと効果はなくなってしまう。「人間の生体リズムは、食べたものが筋肉のエネルギー供給に回るよう、日中はプログラムされている。ところが夜になると食べたものは翌日のための貯蓄となり、脂肪になってしまう」と、時間生物学者のダミアン・ダベンヌは説明した。
では、朝食の時間を遅くして、夜だけファスティングの時間を延ばすのはどうだろうか。それは翌日の予定次第と言えそうだ。「スポーツ選手が朝食の時間をずらすのは論外だが、テレワークでパソコンの前からほとんど動かないというのならば、カロリーをあまり摂取しなくてもいいかもしれない」と時間生物学者のダミアン・ダベンヌ。
もっとも、16時間から18時間以上の断食はおこなうべきではないというのが、フランスのユニラサール工科大学准教授のフィリップ・プイヤールや、リールのパスツール研究所の栄養医、ジャン・ミシェル・ルセルフの見解だ。次の食事で大食いしてしまい、カロリー摂取が増える結果になりかねないそうだ。「一般的に、食事間隔を規則正しくするか、あらかじめ十分な量を食べることで空腹感とうまく折り合いをつけるべきだ」とジャン・ミシェル・ルセルフはつけ加えた。
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消化してから寝る
寝る直前に食べないというのも重要なポイントだ。「食べたものを消化するときは栄養素が分解され、一部は体熱となる。これを食事誘発性熱産生という。一方で熟睡するためには体温が下がる必要がある。そのため、食べ物が十分消化されてから寝るべきだ」と、フランス国立衛生医学研究所の栄養・糖尿病・脳研究ユニット長のジル・ミチューは解説してくれた。
夕食は軽めに
食事ができるだけ早く消化されるように、夕食は軽めに食べるほうがいいだろう。「軽めの食事なら2〜3時間で消化するが、レストランでこってりした料理を食べたら5〜6時間はかかる」とジル・ミチューは言う。
食事の内容は、ランチ同様、「野菜が50%、動物性または植物性のタンパク質が25%、炭水化物が25%。そして若干の脂肪、乳製品、フルーツ1個」が良いと栄養医のジャン・ミッシェル・ルセルフは勧める。
炭水化物ではアルデンテのパスタが優秀なようだ。ジル・ミチューによれば、「パスタは血液中にブドウ糖を長時間放出し、空腹感を抑え、脳をなだめて眠りを誘う」効果があるそうだ。果物や野菜に含まれる食物繊維も、体温を上昇させることなく、微生物叢(マイクロバイオーム)を介してブドウ糖の生産を促す。
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tex: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)