長引く疲労感、これって病気なの?

Lifestyle 2024.03.30

疲労が日常の一部になってしまっている場合に、原因を特定するのは意外と難しい。一時的に疲れているだけなのか、なんらかの医学的なトラブルが隠れているのか。フランスの精神科医と睡眠専門医が判断のポイントをアドバイス。

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photography : Malte Mueller / Getty Images

不眠、ストレス、やる気が出ない......日常的に疲労を感じる場合、原因は必ずしも明らかではない。

疲れた状態といえば普通、前の晩あまり眠れなかったためにあくびが出たり、忙しくて大変だった1日を終えて、ソファで伸びている状態を思い浮かべるだろう。2022年11月にフランス社会党系シンクタンクのジャン=ジョレス財団の依頼で、世論調査会社Ifopが実施した調査によると、フランス人の40%がコロナ禍の前よりも疲れを感じやすくなったそうだ。それにしても単なる一時的な疲労と、なんらかの異常が隠れている病的な疲労をどう見分ければいいのだろうか。どんな身体的・心理的症状に気をつければいいのか、ふたりの医師に対処法を含めて聞いてみた。

身体反応としての疲労を理解する

睡眠専門医のフィリップ・ボーリューによれば、最も一般的な疲労感であり、人口のほぼ4分の1が定期的に訴えるものは、身体反応としての疲労だ。それはスポーツをしたり、勉強したり、ストレスの溜まる出来事があったなど、いつもと違う出来事が暮らしの中で起きた時に身体が「反応」して起きる。
この生理現象をより深く理解するために、脳内をのぞいてみよう。「長時間の、あるいは激しい活動後、認知機能が過剰に緊張すると、グルタミン酸という、興奮を司る神経伝達物質が大量に分泌される。これが飽和状態に達すると、疲労状態が生じる」と、精神科医で、『Sortir des ruminations mentales (原題訳:精神的反すうからの脱却)』(Marabout刊)の著者でもあるマリーヌ・コロンベルは説明してくれた。このような状態になった場合、やるべきことは2つある。疲労の原因となっている活動を中止すること、そして寝に行くことだ。「グルタミン酸は身体が回復すると排出される。もし翌日になっても同じように疲れていたり、ひどくなっていたら、これは無視できない最初のサインだ」と精神科医のマリーヌ・コロンベルは指摘した。

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疲労が長引いたりひどい時は要注意

これが注意すべき最初のサインということになる。疲労が問題になるのは、それが長期に渡り、具体的には2週間を超えて続く場合と、疲労がひどくなる場合だ。「原因が思い当たらないのに疲労がひどく、疲労改善のためのあらゆる努力(規則正しい睡眠やストレスを減らす等)をしているのに疲れが取れない場合は、かかりつけの医師に相談すべきだ」と睡眠専門医のフィリップ・ボーリューは言う。
身体全体がぐったりして力が出ない症状が長引く場合、考えられる原因はいろいろある。一般医はまず、臨床検査を通じてこの症状の器質的原因を探すことになる。「長引く慢性疲労は多くの病気に共通する症状だ。貧血(血液中のヘモグロビン値が低すぎる状態)、内分泌疾患(ホルモン分泌の機能障害)、炎症性疾患、心血管疾患などの発症とともに起こりうる症状だ」と睡眠専門医のフィリップ・ボーリュー。

疲れの原因が夜の睡眠にある場合もある。「睡眠障害が起きているために朝すっきり目覚めることができず、日中の眠気につながることがある」と睡眠専門医は言う。この場合、医師にチェックしてもらうべき病態としては、睡眠時無呼吸症候群、慢性不眠症、レストレスレッグス症候群などがある。

精神的な影響

疲労の原因が精神的な場合もある。精神科医のマリーヌ・コロンベルによれば、「特にストレスの多い体験をすると、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールやアドレナリンが分泌される。これが長期間続くと、慢性的な炎症メカニズムが疲労につながる」そうだ。
精神的疲労の原因を特定するのが難しい時もある。「状況次第で不安障害、うつ病、燃え尽き症候群の可能性が考えられる。いずれにせよ心理療法の専門家でないと診断を下し、適切な対応策を提案できない」と精神科医は言う。すぐに医者にかかった方がいい赤信号の兆候としては、疲労が長引いた結果、次のような症状が見られた場合だ。すなわち感情のコントロールが難しい、他者に対して過敏になりすぎるか逆に無関心、無気力である、もしくは社会的孤立の傾向がある。

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text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)

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