見て楽しい、食べておいしいクッキー缶。小さな箱にぎっしり詰まったクッキー缶は、おすすめの手土産です。もちろん、自分で味わうたのしみも。文筆家・甲斐みのりさんが教えてくれたクッキー缶をご紹介します。
♦店名:サブレミシェル
♦製品名:ケーキサブレ缶(ホワイト)¥3,240
旅先やまちに出ると、目に映るものすべてがまぶしく輝いて見えたり、好きなものに向かってまっすぐ駆け出していた少女・少年時代。きっと誰しもの記憶の中に息づく、あの頃の自分。
「サブレミシェル」は、ひとりひとりの胸の中の"幸せな記憶"を、"ミシェル"という女の子に投影しながら、色とりどりのサブレを作るサブレの専門店。世界の国々を旅するミシェルが出会った心ときめく風景やモチーフは、宝箱に詰め込まれた小さな宝物のような輝きを放ち、お茶の時間にまばゆい光を差し込む。
そんなサブレミシェルを代表するのが、缶もサブレもまるごと、苺のショートケーキにみたてた「ケーキサブレ缶」。上段には、ホワイトチョコレートでコーティングした三角形のサブレに、フリーズドライのいちごと、さっくり食感のチョコボールをのせた、ショートケーキ型が。下段には、バターといちごのシンプルな型抜きサブレが詰め込まれている。
いちごとクリームのエンボス加工を施した缶も、ホールケーキそっくりの愛らしいデザイン。蓋を開けると、わっと歓声が湧き起こる華やかなお菓子だ。
"ケーキそっくりの焼き菓子"は、長らく個人的に待ち望んでいたもの。外食先や旅先で、家族や友人のお祝いごとがあるときに、本物のホールケーキを持っていくことはなかなか難しい。遠く離れた誰かにお祝いの品を贈るときもしかり。そんなとき、気軽に持ち運びができたり、ある程度日持ちもする、ケーキの形の華やかなお菓子があればいいのにと、ずっと思っていた。それゆえに、初めてケーキサブレ缶を目にしたときは、夢が形になって現れたようでなんとも喜ばしい気持ちになった。
いまは実際に、親しい友人の誕生会などお祝いの席で、このサブレ缶をケーキ代わりに差し出している。もちろん家で過ごすお茶の時間のおともにも。レースペーパーや足付き皿と合わせたり、どんなふうに味わうか、器との相性を考える時間も楽しい。
東京都港区麻布十番2-8-8-101
営)11:00~18:00 (定休日:第3火曜日)
取り寄せ 可
https://www.sable-michelle.com/
本店移転休業のお知らせ8月11日~9月1日
9月2日移転OPEN
〒106-0045 東京都港区麻布十番1丁目7-9
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♦店名:アトリエサブレヤ
♦製品名:アトリエオーバル缶 ¥2,484
フランス発祥のバタークッキー"サブレ"の語源のひとつに、フランス語で"砂"を意味する"サブール"という説がある。たしかにきめ細やかな生地が口の中でサクサクと軽やかにほどける食感と、海辺ですくった砂がサラサラと手のひらから崩れ落ちる光景は遠からず。素朴な見た目ながら繊細で、どこかロマンチックな存在感も似通っている。
2018年に東京の日本橋高島屋S.C.本館の洋菓子売場に誕生した「アトリエサブレヤ」は、そんなサブレを軸に、贈る人、贈られる人が、一日「幸せ」を感じられるようなお菓子作りをおこなうサブレ専門店。現在は、東京・愛知・大阪・札幌で計6店舗を構える。
サブレヤのこだわりは、砂のようなほどける食感と、深くて豊かなバターの味わい。バターはフランス語で「ブール・ノワゼット」と呼ばれる焦がしバターを使用することで、香ばしい香りと深いコクが際立ち奥行きのある後味に。また、生クリームによって、まろやかな口当たりと優しく軽快な食感が生み出される。
こうして形成された生地をオーブンでじっくり焼き上げることで、バター、生クリーム、アーモンドとそれぞれの素材が、くっきりと風味の中に立ち上がる。最初はしっかりとした歯ごたえを感じるけれど、その後に噛み締めていくうちに、ぎゅっと目の詰まった生地がほどける、その過程を楽しめる。
とり、花、四つ葉のクローバー、貝、ベル、教会など、幸せな光景が浮かぶモチーフが、サブレとしてかたどられているのも、アトリエサブレヤらしさである。プレーン、焦がしバター、抹茶、いちご、チーズ、ペッパーソルト、ココア、紅茶と、形ごとに異なる味わいだ。
そんな定番のサブレ9種類を詰め合わせたのが「アトリエオーバル缶」。青く晴れ渡った空にサブレヤの象徴でもある羽ばたく鳥がデザインされた、長円形の缶も愛らしい。それぞれ個包装されているので、差し入れを要する場の手土産に選んで、一枚ずつ配ることができるので重宝している。
東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋髙島屋 S.C. 本館B1階
営)10:30~19:30(百貨店の営業時間に準ずる)
取り寄せ 百貨店のオンラインショップにて一部商品の取り扱い有。
https://sableya.m-k-international.co.jp/html/index.html
photography: Yuko Sayama

文筆家。旅、散歩、お菓子やパンや手みやげ、クラシックホテルや建築、雑貨や暮らしなどについて執筆。地方自治体の観光案内冊子も手がける。著書は『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』『にっぽん全国おみやげおやつ』『愛しの純喫茶』など50冊以上。
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