銀座、日本庭園にサンルイのクリスタルが呼応する、新スタイルのバー。
Lifestyle 2025.08.28
和洋のスタイルや時代を超えて、美しいものが響き合う贅沢な空間――東京・銀座にあるフランスの老舗高級クリスタルメゾン サンルイのバーは、フランスと日本の文化が溶け合うようなスポット。
日仏の文化が溶け合う屋内外に、クリスタルが煌めく。
ゲストが座る木のカウンターからはバーテンダーが作業する石のカウンターがまるでステージのように見える仕掛け。ユズを使ったオリジナルカクテル「レゾナンス」¥2,700など。
トラヤ ギンザと同じ虎屋銀座ビルの12階にあるのは、1586年に創業したフランスの老舗高級クリスタルメゾン、サンルイのバー。とらやとパリの3ツ星シェフ、小林圭との協働だ。グラスはもちろん、照明などインテリアにも繊細なカッティングで知られるサンルイ製品を採用。階下のとらやの喫茶とは異なる華やかさを湛えている。
内装デザインは、乃村工藝社A.N.D.の小坂竜。「和の庭のある墨色の静謐な隠れ家」をイメージし、日本固有の素材をふんだんに使ってスタイリッシュに仕上げた。中央に木と石、ふたつのカウンターが構えられ、ゲストが座るカウンターには、天変地異などで倒れて地中や水中に埋没し約2000年を経て半化石化した神代杉を使用。バーテンダーの作業カウンターは宮城県産の伊達冠石を採用し、人がいない時でも絵になる彫刻のような存在感。天井にはシワ加工を施した和紙の重ね張りを、壁には浮うづくり造の杉板を配し、表面感のおもしろさがある。
プラントハンター、西畠清順による屋上の日本庭園。取材時の4月は、青紅葉が青々と茂り、芍薬の蕾が膨らみ、初夏の訪れを伝えていた。
"静"という共通点はありながらもテイストが異なるとらやとバーを結びつけているのは日本庭園だ。特に屋上の日本庭園は日本画の琳派の襖絵をイメージし、季節の移り変わり、ストーリーを感じられるように植栽を配置。訪れるたびに違う表情を見せてくれる。
フランスのクリスタルが、日本固有の自然を用いた空間に調和する稀有なスポット。銀座の風を感じながら、和の素材を使ったカクテルを味わって。
サンルイのシャンデリアが煌めくテラスの半個室。要予約¥5,500

ST LOUIS BAR by KEI
東京都中央区銀座7-8-17 虎屋銀座ビル12F
03-6274-6612
営)17:30~23:00L.O.
※食事は22:30L.O.
休)日、月
https://www.maisonkei.jp/
*「フィガロジャポン」2025年7月号より抜粋
photography: Yasuyuki Takagi text: Kaoruko Yasuda