いま行きたいのは、小さくておいしい店 おいしくて可愛い店が、いまの気分。

Gourmet 2023.05.22

薪を使ったフレンチや旬を盛り込んだイタリアン…… 料理はもちろん、店主がセレクトしたアートや家具など、インテリアにも心ときめく話題の店へ。


Songbook|ソングブック

[ 世田谷代田 ]

テーマは薪火!? 彩りきれいな前菜とピッツァをいただきます。

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アンチョビバターのコクのある塩味が利いた「山利のシラスとブロッコリーのオムレツ/ハラペーニョ」¥1,600。ワインはフランスやイタリアのナチュールを中心に、グラス¥1,100から用意。

「薪火をテーマにしたデイリーな店をやりたくて、この店を始めました」とは、兜町の革新的フレンチ、ネキの西恭平シェフ。薪窯を取り囲む円形のカウンターに座れば、ゆらゆらと燃える火の温もりに心癒やされるよう。音楽やうつわなどさまざまなカルチャーをミックスした空間と同じく、料理もジャンルレス。

もちもちの生地がおいしいピッツァをはじめ、薪で焼いたブロッコリーをトッピングしたオムレツなど、さりげない薪使いにセンスが光る。フランス人が愛する去勢鶏、シャポンの薪焼きは、ふっくらジューシーな味わい。アラカルトが主体なので、豊富に揃うナチュール目当ての2軒目使いにしても。ワインバーとしても活用できそう。

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ピッツァは常時8種ほど。トマトソースの代わりに、エビの頭などでとったビスクソースを敷き、ズワイガニとイカ、セミドライトマトをトッピングした「魚介/ビスク/セミドライトマト」¥3,000
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窯を囲むカウンター席のほか、テーブルが2卓ある。
Songbook
東京都世田谷区代田5-10-7 nakaharasou1F
tel:03-6453-1982
営)12:00~14:00L.O.、17:00~21:00L.O.(月、金~日) 17:00~21:00L.O.(火~木)
休)水 
要予約
Instagram:@songbook_tokyo

photography: Michi Murakami

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Nou|ノウ

[ 中目黒 ]

オーガニック野菜がふんだんな、和が薫るコース。

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料理はいずれも¥9,800のコースから。ハタの西京漬けをソテーし、アスパラガスやスナップエンドウなど旬の野菜を添えたひと皿「白魚」。菜の花オイルとビネガーを合わせたソースはフレンチ風。

宵闇にぽつんと灯る明かりが目印。プレハブ小屋の2階に潜む、憩いのサプライズ空間がノウ。同郷同士のオーナーとシェフがタッグを組んで始めたジャンルレス料理店だ。

扉を開けた先、まず目を引くのは樹齢100年余りというヒノキで作られた一枚板のカウンターテーブル。シックなフラワーアレンジメントに囲まれていただくのは、故郷・千葉の契約農家から届く有機野菜をメインにしたコース料理。西京漬けにしたハタをフレンチ風に仕上げたひと皿など、和ありフレンチあり中華ありのフュージョンが楽しい。オーナーがセレクトするワインと味わって。

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千葉産のアジを使ったマリネ「アジ ニンジン」。柑橘のドレッシングを合わせ、有機ニンジンのラぺや紅ハッサクで爽やかな味に仕上げている。
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カウンターは11席。店名は農業と農家に敬意を払い、脳でそのおいしさを感じてほしいとの思いから。
Nou
東京都目黒区東山1-9-11 2F
tel:03-6303-0034
営)18:00~21:00L.O.
不定休
要予約
Instagram:@nou_nakameguro

photography: Akemi Kurosaka (Stuh)

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Haus|ハウス

[ 外苑前 ]

おしゃれ古民家でゆるりと味わう、厳選素材のイタリアン。

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ブリー、グリュイエール、ペコリーノチーズの3種をアパレイユに混ぜて焼き、パルミジャーノを削りかけた「4種チーズのとろーりふわふわキッシュ」¥1,100 

神宮前の住宅街、迷路のような細道に佇むシックな一軒家。ハウスは、古民家を改装したちょっぴりポップなイタリアンだ。

もともと家具とカフェの店をやりたかったというオーナーシェフだけに、料理は独学ながら抜群のセンスのよさ。カラスミのコクと釜揚げシラスの優しい塩味、レモンバターソースのまろやかな酸味のバランスも見事なパスタや熱々のキッシュなど、おしゃれ感と滋味が共存したメニューばかり。有名レストラン御用達、千葉の一山いけすのアナゴや山利のシラス等々、食材も吟味。レアなクラフトビールやナチュールワインも豊富に揃う。

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料理は2人前がベースで、シェアして食べるスタイル。「リングイネ カラスミと山利さんの無添加釜揚げシラスのレモンバターソース」2人前 ¥2,380(写真はハーフサイズ) 
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ドリンクは、小林オーナーシェフが大好きなクラフトビールやイタリアとフランスのナチュールが揃う。グラスワインは¥1,300〜、ビールは¥1,500~
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ほぼワンオペで調理とサーブをこなす小林賢三オーナーシェフ。1階はカウンター席のみ。
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古い梁が残る2階は、グループで楽しめるテーブル席が2卓ある。
Haus
東京都渋谷区神宮前2-14-5
tel:03-6692-9626
営)18:00~22:00L.O.
休)水 ※ほか不定休あり
要予約 
Instagram:@haus_j2

photography: Akemi Kurosaka (Stuh)

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Caillou|カイユ

[ 西小山 ]

新時代のビストロで、オートクチュールな注文を。

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スペシャリテの「サカエヤ 新保さんが手がけたお肉」写真は200g ¥7,480。カットは200gから。シンプルに塩でいただく。

オープンキッチンのショーケースにずらりと並ぶのは、野菜や肉など旬の食材の数々。これらを前にシェフと相談しつつ食べたい料理を即興で決めていく。そんなオーダーメイドスタイルのレストランが、ここカイユだ。

分量やソースも融通無碍。たとえば、リードヴォーをムニエルにするもフライにするもお好み次第、人気のパテを50gでという少量オーダーもこの店ならOK。料理はもちろんアラカルトのみ。特筆すべきはソースのおいしさ。町場のビストロを皮切りに、本場フランスやグランメゾンで研鑽を積んだシェフの本領を等身大で味わえる。

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「リードヴォーのムニエル」写真は100gで¥3,080。ソースはクラシックなフレンチの焦がしバターソースをベースに、ケッパーやトマトを加えて酸味をプラス。もっちりとしてコクのあるリードヴォーの旨味を軽やかに引き立てる。
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ショーケースにはマルシェさながら、野菜や肉、魚など、その日のおすすめ食材が並ぶ。
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グレーと木材でまとめたシックな店内。「カイユ」とはフランス語で小石のこと。安達晃一シェフのフランスでの呼び名にちなんでのネーミング。
Caillou
東京都目黒区原町1-7-9 ドゥーエ西小山1F
tel:03-6452-2985
営)17:00〜22:00L.O.
休)日、月
要予約
https://caillou.jp

photography: Michi Murakami

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Bistro Izumy|ビストロ イズミー

[ 幡ヶ谷 ]

オーストラリアの風を感じるフリースタイル。

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しっとりモイスチャーな桜マスに、細かく刻んだ昆布をタプナード風に仕上げたソースと。穏やかな和の旨味がありながらも、ワインが進む味。「桜マスの低温調理」¥1,800

オーストラリアで最も著名なレストラン、テツヤズに憧れ渡濠。英国やフランスなど、さまざまなエッセンス混じり合う料理を学んだシェフが昨年独立。低温調理でしっとりと仕上げた桜マスの前菜は、テツヤズへのオマージュでもある。

カリカリ×ホクホクの食感の対比が絶妙なスペシャリテのフライドポテトのほか、シェフの地元・富山の「大門素麺」を使った冷製ボンゴレビアンコなど、アラカルトで供する料理には「上質なものを気軽に楽しんでほしい」という思いが詰まっている。料理同様、固定観念にとらわれず、自由に造られたオーストラリアのワインとぜひ。

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太めでむっちりとした歯触りの素麺をあっさりとした貝出汁でいただく「富山県名物『大門素麺』の冷製ボンゴレビアンコ」2人前¥1,900(写真はハーフサイズ)
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店内はシドニーのボンダイビーチをイメージ。白をベースに、キッチンの青いタイルが映える。
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ワインの大半がオーストリア&ニュージーランド産。グラス¥1,000から提供している。
Bistro Izumy
東京都渋谷区幡ヶ谷1-9-6 リッツ幡ヶ谷102
tel:03-6383-4415 
営)17:00~22:00L.O.(月、火、木~土) 15:00~21:00L.O.(日)
休)水 ※ほか不定休あり 
要予約 
Instagram:@bistro.izumy

photography: Kayoko Ueda

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Trois Visages|トワヴィサージュ

[ 東銀座 ]

味だけでなく食文化に敬意を。国産素材を生かしたフレンチ。

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料理はいずれもおまかせコース¥14,300から。ゲストの目の前で注ぐ「川俣軍鶏のコンソメ」。母鶏の骨と筋で出汁をとり、その後ムネ肉やモモ肉の挽き肉を加えてクリアなスープに仕立てる。滋味豊かな味わい。写真の具は小玉ネギとタケノコ。

ガラス張りの店内にオープンキッチンのカウンターと、小さいながらもシンプルで洗練された空間で供する料理は食材への敬意が感じられる。

「全国の生産者から仕入れた食材を無駄にせず、その土地の食文化をも表現した皿を作っていきたい」とは國長亮平シェフ。脇役になりがちなエノキにスポットを当てた極エノキのソーセージや卵を産み終えた母鶏で作るコンソメ等のスペシャリテはシェフの哲学感じる代表メニュー。クリームを使わない仔牛のブランケットなど古典を継承しつつ、現代的にアレンジした料理は軽快かつエレガント。食べ疲れないおいしさだ。

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高知の海洋深層水で育てた極エノキとの出合いが生んだ「極エノキのソーセージ」。よく炒めることでエノキの旨味と風味を凝縮している。
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平日昼限定のテイクアウトメニュー「大納言入りコーンブレッド」ホール ¥1,296
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自分たちの畑がある里山から届く、季節の草花がアレンジされたウエルカムボールには、その日のメニューが入っている。
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フラットな造りでゆったりと座れるカウンター席。店名はフランス語で3つの顔のこと。生産者、スタッフ、ゲストを意味している。
Trois Visages
東京都中央区銀座7-16-21 雲ビル1F
tel:03-3544-5205
営)18:00~20:00L.O.(火~金) 12:00~13:00L.O. 18:00~20:00L.O.(土) ※テイクアウトは11:00~15:00(火~金) 
休)日、月、祝
要予約 
https://troisvisages.jp

photography: Michi Murakami

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Peace|ピース

[ 三越前 ]

サステイナブルなひと皿が店の看板メニューに。

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料理はすべて¥13,200のディナーコースから。「自家製カラスミとセリのタリオリーニ」。パスタはすべて手打ち。ワインはグラス¥1,650からある。

ミシュラン1ツ星フレンチ、ラペの姉妹店としてオープンした同店は、イタリアンとフレンチを融合、和の要素もわずかに加味したイノベーティブレストランだ。

一方で、未利用魚を用いるなどサステイナブルな取り組みも特徴。その象徴的な逸品がコースの定番、カルツォーネだ。ピッツァ生地を用いつつも、料理の技法はフレンチのパイ包みの発想。具には塩麹漬けにした未利用魚を使うなど、店のコンセプトが詰まった逸品だ。手で割れば、さっくり軽やかな生地の中から香りたつ豊かな風味に食欲をそそられる。コースの中盤を飾る手打ちパスタも美味。

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看板メニューの「カルツォーネ」。中には、スカモルツァチーズ、塩麹漬けのブダイ、魚介のラグーソースが層になって包まれている。エストラゴンの風味がぐっとフレンチ寄りのテイストに。
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コースを締めくくる「自家製ソフトクリーム」はジャージー牛乳をベースにしたオリジナル。ゲランドの塩やオリーブオイルで味変を楽しんで。
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2023年2月にオープンしたばかり。
Peace
東京都中央区日本橋室町1-11-12日本橋水野ビル2F
tel:03-6281-9845 
営)11:30~13:00L.O.、18:00~20:00L.O. 
休)木
要予約 
Instagram:@peace.lapaix

photography: Michi Murakami

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⚫︎掲載している料理や商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ価格です。取材時から、価格が変わる可能性があります。
⚫︎店によって、別途サービス料がかかる可能性があります。
⚫︎掲載店の営業時間や定休日、掲載している料理は、変更になる可能性があります。最新情報は各店舗にお問い合わせ、もしくはHP等を参照ください。

*「フィガロジャポン」2023年6月号より抜粋

text: Keiko Moriwaki

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