英国で進化するクロワッサン、2025年には世界的トレンドに?
Gourmet 2025.01.18
フランスにおけるペストリーの代表的存在であるクロワッサンが、海の向こう側で大きな変貌を遂げている。
イギリスのクロワッサンに、一体何が起こっているのだろうか? 月のシルエットとバターたっぷりの生地が特徴のこのペストリーは、過去1年で全く新しい顔を手に入れたようだ。このように伝統を尊重しながらも、新しい発想を取り入れるのは、ボーダーがない時代ならではのトレンドと言えるだろう。料理人やパティシエは、固定観念を取り払い、クロワッサンを無数の可能性を秘めた真っ白なキャンバスとして捉えている。そうして次々に誕生した創造性にあふれたクリエイションは、特にSNSにおいて、真新しさを求める人々を魅了している。これはフランスにおいても同様である。
クロワッサンの新しい顔
過去にも進化系クロワッサンが世を沸かせたことがある。時は2014年、ニューヨークで、「クロナッツ」と呼ばれるクロワッサンとドーナツのハイブリッドスイーツが誕生したのを覚えているだろうか? ソーホー地区を拠点とするフランス人パティシエ、ドミニク・アンセル氏の創造力から生まれた「クロナッツ」は、飲食業界に大きな影響を与え、美食家たちはこのスイーツを味わうためにかつて何時間も待ったものだった。しかし、ヨーロッパを席巻するには10年以上の月日がかかった。
その後、クロワッサンは英国でさらなる進化を遂げた。形から中身まで、すべてがSNS映えするように設計されているのが特徴的だ。たとえば、ロンドンにあるデリ・ロブション(Deli Robuchon)では、ピスタチオ、チョコレート、またはバニラクリームが入った四角い形状のクロワッサン生地ペストリー「キューブ」を提供している。一方で、ブリティッシュ・パタゴニア(British Pantagonia)では、コーンがクロワッサン生地で作られたアイスクリーム「アイスクローン」を売り出し、こちらも大きな話題に。
また、進化系クロワッサンはスイーツに限った話ではない。サロン・ド・テのチャイ・ガイズ(Chai Guys)では、エンドウ豆とジャガイモを詰めたサモサの形のクロワッサンを提供。また、ライム・レジス(Lyme Regis)では、卵とトマトで作る伝統的な中東料理、チャクチューカにインスピレーションを得たクロワッサンを展開している。
フランスでも2025年のトレンドに⁉
フランスでも、ますます盛り上がるクロワッサンのブームを見逃すわけにいかないだろう。SNSのおかげで、パリ9区にあるパン屋とブラッスリーの中間にあるメゾン・ルーバール(Maison Louvard)の前には、クロワッサンとクッキーのハイブリッドスイーツを求める人だかりができているし、またそのすぐ近くには、革新的なキムチクロワッサンを提供するノーマ・ベーカリー(Norma Bakery)もある。
この熱狂は、1年以上前からフランスの最高のパティシエたちをも巻き込んでいる。たとえば、2023年の夏にフィリップ・コンティチーニが開発したXXLサイズのクロワッサンは、カスタードやその他の甘いフィリングを詰め込んだ円形のクロワッサンになっていて、写真映え効果も抜群。SNSでも魅了される者が後を絶たない。
そして、このブームは勢いを失っていない。実際、レストラン予約アプリの「TheFork」とブランドコンサルティング「Nelly Rodi」が実施した美食のトレンドを予測する調査によると、あらゆる形態のペストリーが2025年も引き続き、特にクレイジーで自由な発想に夢中なZ世代を魅了することになりそうだという。そうなれば、パティシエやパン職人を大いに刺激することだろう。
From madameFIGARO.fr
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text: Alexandra Marchand (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto