トラヤ ギンザのシックな空間で和菓子とお茶を嗜むひとときを。
Gourmet 2025.08.28
和洋のスタイルや時代を超えて、美しいものが響き合う贅沢な空間――リニューアルしたトラヤ ギンザでは伝統美とモダニティが共存する空間を和菓子やお茶と一緒に五感で堪能できる。
黒を基調にした静寂の中で、和菓子とお茶の贅沢なひととき。
この店の象徴ともいえる樹齢約100年の羅漢槇。壁のいぶし銀のタイルは光の当たり具合でさまざまに表情を変える。
約500年前の室町時代後期に京都で創業した老舗和菓子店、とらや。戦後間もない1947年以来、銀座にも店を構え、そのビルが建て替えられて昨年4月にリニューアルオープン。日本の伝統美とモダニティが見事に融合した空間が誕生した。次世代に向かって、和菓子という日本の伝統をさまざまな形で発信している。
4階にあるショップと喫茶の内装設計は、赤坂店などとらやの多くの店舗を手がけてきた内藤廣によるもの。「素材の確かさと豊かな静寂」をコンセプトにした、黒が基調のシックなインテリア。静寂の中で和菓子を楽しんでもらいたいとの思いから、床、天井、壁には吸音素材を使い、ハイバックソファが隣席の話し声も遮る。壁を覆うのは、いぶし銀のタイル。姫路城の瓦にも使われている伝統的ないぶし瓦と現代的な超軽量の発泡セラミックを融合させたものだ。室内からテラスに連続して使われ、空間の広さを感じるようにデザインされている。対する木の壁には鏡面加工を施し、その光沢がとらやのシグネチャーである羊羹を思わせる遊び心を取り入れた。
店内で焼く、焼きたての「夜半の月」は、飲み物付き¥1,958。写真は、菓子に合わせて選ばれた、コクのある深蒸し煎茶と。
テラスには、羅漢槇の木。まるで巨大な盆栽かインスタレーションのようにも見える。庭園や植栽を担当したのは、そら植物園のプラントハンター、西畠清順。水盤を設けたことで、水面の波紋が壁や羅漢槇の枝に反射し、心地よさを演出する。
和菓子が映える洗練の空間で、贅沢な時間を楽しみたい。
季節で味が変わる店舗限定の一口サイズ羊羹「ちぐさかん」¥2,484。左から、山椒、抹茶、カシスの3種9個入り。

TORAYA GINZA
東京都中央区銀座7-8-17虎屋銀座ビル4F
03-6264-5200
営)11:00~19:00
※喫茶は18:30 L.O.
休)第2月曜(祝日の場合は第3月曜)、1/1
※個室とカウンター席は要予約
https://www.toraya-group.co.jp/
*「フィガロジャポン」2025年7月号より抜粋
photography: Yasuyuki Takagi text: Kaoruko Yasuda