見て楽しい、食べておいしいクッキー缶。小さな箱にぎっしり詰まったクッキー缶は、おすすめの手土産です。もちろん、自分で味わうたのしみも。文筆家・甲斐みのりさんが教えてくれたクッキー缶をご紹介します。
♦店名:白井屋ホテル
♦製品名:白井屋ホテルのクッキー缶 ¥3,400

建築ファンとして憧れていて、今年ようやく訪れることができたのが、2020年にオープンした群馬県前橋市の「白井屋ホテル」。
創業300年の歴史を誇る老舗旅館をリノベーションしたホテルの全体設計を手がけたのは、大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の設計で知られる建築家・藤本壮介氏。1階から4階までの吹き抜けに回廊を設えた「ヘリテージタワー」と、旧利根川の土手をイメージしたという緑に覆われた「グリーンタワー」、新旧2つの建築で構成され、今年から隣接した建物にもレジデンスタイプの3室を加え、ホテルの客室数は全部で28室。国内外のさまざまなクリエイターが客室のデザインをおこない、全て趣が異なるので何度も通う楽しみがある。
私は2025年に完成したミナ ペルホネン レジデンスの「光」をテーマにした客室に宿泊。チェア、カーテン、照明、ベッドスローと、インテリアから小物にいたるまでミナ ペルホネンのデザインがちりばめられ、柔らかな時を過ごした。
また、客室だけでなく館内全てが、"宿泊できる現代アートの美術館"といえるような美的で詩的な空間。宿泊者限定のホテルツアーに参加すると、建築や館内アートについてより理解が深まる。
そんな白井屋ホテルのグリーンタワーに所在する「ザ・パティスリー」は、新鮮な旬のフルーツを贅沢に使ったタルトの専門店。白井屋ホテルのカフェラウンジ「ザ・ラウンジ」の季節のアフタヌーンティーのスイーツも手がけている。
フルーツタルトは店頭のみの販売だけれど、クッキー缶や味噌を使った群馬の郷土料理をモチーフにした焼き菓子は、白井屋ホテルのフロントやオンラインでも購入可能。中での「トレリス アン」という名のクッキー缶は、発売から数年経って地元の人が前橋を代表するお土産として重宝する存在に。私は宿泊時に自宅へのお土産に持ち帰ったけれど、パティシエが工房でひとつひとつ丁寧に手作りするクッキーは、ひとつひとつが風味豊かで、たちまち空になってしまった。
今回紹介するのは、今年の夏に森美術館で開催された藤本壮介氏の個展「藤本壮介の建築:原初・未来・森」をきっかけに誕生した、新たなクッキー缶。缶には藤本壮介氏デザインのホテルの姿が描かれており、クッキーそのものも、ホテルゆかりのモチーフや、群馬ならではの素材が。


グリーンタワーを象徴する白い小屋のモチーフや、「藤本壮介ルーム」をイメージした葉の形のサブレが目を引くけれど、やっぱりひとつひとつのおいしさにほっとする。群馬産の味噌やチーズのクッキーと甘じょっぱいのも入っているので、6種類の味のバランスもよく手が止まらない。
<種類>
・サブレカカオ:ほろ苦いココアのサブレにアーモンドたっぷりの組み合わせ。
・サブレココ:白井屋ホテルの建物をモチーフにしたココナッツサブレ。表面にココナッツメレンゲをあしらいサクサクの食感。
・抹茶サブレ:藤本壮介氏が手がけるホテルの部屋に活けられた、ベンジャミンの枝葉を想起させる抹茶味のサブレ。
・シトロンアールグレイ:豊かな香りのアールグレイのサブレに、レモンジャムをサンド。
・サブレフロマージュ:チーズのような見た目からも想像できるように、チーズをたっぷり使った甘じょっぱいサブレ。
・味噌くるみ:群馬・上野村の特産品でコク深い十石みそと、くるみの食感を合わせた、群馬らしいクッキー。
群馬県前橋市本町2-2-15 ⽩井屋ホテル敷地内(馬場川通り沿い)
027-231-2020
営)10:00~18:00
休)月(祝⽇は営業、翌火曜⽇休)
取り寄せ 可
https://shiroiya.thebase.in
---fadeinpager---
♦店名:ホテルニューオータニ
♦製品名:SATSUKIチョコレート&クッキー Mサイズ ¥6,912

1964(昭和39)年に、紀尾井町の伏見宮邸跡に日本初の高層ホテルとして開業した「ホテルニューオータニ」。東京オリンピックの開催に向けて外国人客を迎えるために、国が大谷米太郎にホテルの建設を要請したのがホテルの始まりだ。富山出身の大谷米太郎は相撲界で力士として活躍したあと、鉄鋼業で成功を収めた。
ホテルニューオータニが所在するのは、江戸時代には加藤清正公の下屋敷や井伊家の庭園で、400年以上の歴史を有する江戸城外堀に囲まれた紀尾井町の広大な敷地。一時期は伏見宮邸宅として使用されるも、第二次世界大戦後に伏見宮家が手放すこととなり、外国人の手に渡る話が浮上した際、由緒ある土地を守りたいと大谷米太郎がその土地を買い取って自邸とし、荒れた庭を自ら指揮をとって改修したという。その日本庭園は今もホテルの一部として形を残し、江戸時代の風情を今に伝える。
散策もできる緑豊かな池泉回遊式の日本庭園では、ここが都心であることをしばし忘れるような、ゆったりとした時間が流れている。
ホテルニューオータニのシンボルカラーは、"オータニブルー"と呼ばれる鮮やかな青空色。ホテルの最上階から見える広い空をイメージするとともに、ヨーロッパに伝わる「青は幸せを呼ぶ色」というジンクスが思い起こされる。
そんな"オータニブルーの缶の中に、10種類以上のクッキー、チョコレート、色とりどりのメレンゲが詰め込まれているのが、パティスリーSATSUKIによる「SATSUKIチョコレート&クッキー」。S、M、Lと全部で3サイズあり、それぞれ少しずつ内容は異なる。1缶で多様な食感・香り・味を楽しめるのがなんとも贅沢。手土産に喜ばれるのはもちろん、自分自身へのご褒美に求めたい華やかなスイーツだ。


パティスリーSATSUKIは、ホテル内に1998(平成10)年にオープンしたペストリーブティック。厳選素材のみを使用した「スーパーシリーズ」などのオリジナルケーキやクッキー、焼きたてのパンなど約100種類が並び、どれも人気が高い。SATSUKIチョコレート&クッキーは、バレンタインや母の日と、行事ごとに限定も登場するので、そちらもぜひ楽しみに。
<種類>
~クッキー~
・抹茶サブレ
・ホワイトチョコレートコーティングメレンゲ
・サブレバニラ
・サブレショコラ
・サブレシナモン
・チョコパイ
・クロッカン
・メレンゲ
~チョコレート~
・オランジェット ノワール
・アマンド オレ
・アマンド ノワール
東京都千代田区紀尾井町4‑1 パティスリーSATSUKI(ザ・メイン ロビィ階)
03-3221-7252
営)11:00~20:00
休)無休
取り寄せ 不可(数量限定・電話注文)
https://www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/p-satsuki/
photography: Yuko Sayama

文筆家。旅、散歩、お菓子やパンや手みやげ、クラシックホテルや建築、雑貨や暮らしなどについて執筆。地方自治体の観光案内冊子も手がける。著書は『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』『にっぽん全国おみやげおやつ』『愛しの純喫茶』など50冊以上。
https://www.loule.net/news/
Instagram:@minori_loule
X:@minori_loule








