【パリのインテリア】豊かな時間を育む、パリジェンヌ流ダイニングの作り方。

Interiors 2025.07.01

自分の感性をもとに、知恵と工夫を凝らして日常を楽しく過ごす、フランス流の暮らしの美学「アールドゥヴィーヴル」(Art de Vivre)は、パリジェンヌの住まいのあちこちに息づいている。親しい人とダイニングテーブルを囲んで和やかに食事をする時間は、とりわけ幸せに包まれるひと時だ。器やグラス、家具のひとつひとつに自分らしさを演出すれば、団欒がより豊かな時間になる。


各地から集めた多様な年代のものが、食卓で調和する。
カミーユ・ヨレーヌ(インフルエンサー、モデル)

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テーブルと椅子、そして壁に飾られた絵画は、蚤の市で見つけたり、家族から譲り受けたもの。「家のほとんどのものはブロカントなので、一見まとまって見えるかもしれないけれど、よく見るといろんな年代のものやテイストが入り交じっているんです」とカミーユ。photography: Lucie Cipolla

カミーユがボーイフレンドと暮らす50㎡ほどのアパルトマンには、ふたりのお眼鏡にかなったヨーロッパ各地のブロカントや、家族にゆかりがあるものであふれている。食卓も同様に、愛着があるものばかりだ。「おばあちゃんから譲ってもらった水差しや、義理のお母さんからプレゼントされた食器など......家族のものを受け継いでいくというのは、家族に守られている感じがして、とても好き」

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ブロカントで見つけた食器は宝物。とりわけ自身のルーツであるアルザス由来のものは、好んで収集する。「特にアルザスの陶器村、ベッチドルフのブルーベースの絵柄(写真左の皿)が大好き」

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多国籍のスタイルミックスで、食卓に心地よい温もりを加える。
ジュマナ・ジャコブ(料理家)

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「食卓を囲む一瞬一瞬を美しいと感じることが大切」と語るジュマナ。自宅のダイニングスペースには、ヴィンテージの大理石のテーブル、マルセル・ブロイヤーの名作チェア、ランタンのような照明、そして季節の花が出迎える。photography: Mari Shimura

多国籍な料理を持ち味とする料理家のジュバナ。そんな彼女が暮らす家は、どこを切り取ってもさまざまな文化のエッセンスが絶妙に調和する。「自分の好きなものを素直に飾っただけ」と言うものの、彼女の審美眼で選別されたものを寄せ集めると、独特の世界が生み出される。ダイニングもクラシカルな空間に、モダニズムやエスニックのテイストを取り入れているが、どこか温かみがあって心地よい雰囲気。それもそのはず、彼女にとって食卓は、笑い声の絶えない場なのだ。父親がかつてそうだったように、友人と一緒に食卓を囲むことが彼女のライフワークになっている。「皆で同じ時間を過ごし、語らうことこそが、人生を豊かにしてくれます」

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アトリエとして使っている別邸では、友人たちを招いてプライベートレストランを催すことも。中央の大皿は陶芸家に依頼したオーダーメイド。それ以外の器とグラスはすべてヴィンテージ。

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食卓もミックスカルチャー! 場を和ませる可愛い&レトロな空気感。
ソフィア・モーザ・レイタン(陶芸家)

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仲良しのイタリア人デザイナー、リサ・コルティによるランチョンマットもミックス。この日のテーブルウエアは花がテーマ。photography: Mari Shimura

明るい色や柄をミックスさせる手腕に長けたソフィアのダイニングスペースは、やっぱり一筋縄とはいかない。テーブルには、ポルトガルの老舗ブランドのボルダロ・ピニェイロのお花のフォルムの皿に、自身が制作した水差しが出迎える。また、蚤の市やオンラインサイトから集めたヴィンテージランプを加えてスタイルミックスさせることで、ポップな可愛らしさがありながらもどこかノスタルジーを感じさせる食卓が完成する。

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古い家具の傷も汚れも個性! そのまま残して再利用する。
レイナ・タキグチ(クチュールメゾンのプレス)

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家族の背に合わせてテーブルの脚を継ぎ足したので、通常より少し高くなっている。背後にあるのは、夫の祖父母が使っていた50年代のモジュール家具。photography: Mariko Omura

時代の経過が感じられる古い品が好きなレイナ。大きな木のダイニングテーブルは、夫の父が若い頃に購入したものだが、長いこと庭に放置されていたのを引き取った。基本的に修復はせず、そのままのダメージの風合いを生かしている。椅子は中古品売買サイトのBoncoinで見つけた掘り出し物。その物が辿ってきた歴史が感じられるからと、あえて汚れも傷も残したまま使うようにしているのがいかにも彼女らしい。

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サーカスで使われていた椅子を食卓に使用する。背についた番号がその名残り。photography: Mariko Omura

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食卓に、キューバのブロカントで見つけたガラスをセッティング。photography: Mariko Omura

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大切な仲間と過ごす食卓には、柔らかな光を灯す照明が大活躍。
エルザ・プー(「Mapoésie」創立者・クリエイター)

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楕円のガラスのテーブルは路上で拾ってきたもの。ヴィンテージと復刻したデザイン椅子と合わせて。ブルックス兄弟のサスペンションランプは、天井に電源がなくても自由に吊り下げられる優れもの。photography: Mariko Omura

エルザが家族と暮らす80㎡弱のアパルトマンでは、ダイニングがリビングとひと続きのスペース。夫婦そろって料理好きで、友人を誘って食卓を囲むのは日常的になっている。「和気あいあいとした雰囲気」をつくるために、彼女が大切にするのは、部屋のあちこちにランプを配し、柔らかな光を生み出すこと。また、窓のそばに下げたミラーボールが太陽に照らされると、壁に水玉の光模様が現れるなど、ちょっとした遊び心も忘れない。

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卓上には、インドの食器とともに、グラフィカルなフォルムの自作の花器をセット。photography: Mariko Omura

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強いピンクの空間に、ヴィンテージとモダンの感性をミックス。
ティフェーヌ・マンガン(「Les Causeuses」クリエイター)

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食卓を囲むのは、ヴィンテージの椅子とモダンな赤いスツール。壁の色とコントラストをなす黒い絵が、強い存在感を放つ。photography: Mariko Omura

ティフェーヌのアパルトマンは、天井と壁の境に浮き彫り装飾が施された典型的なオスマニアンスタイル。「ブルジョワ的でクラシックすぎる雰囲気を壊して、いかにカラフルで美しい空間を作り上げるか」にこだわって部屋作りを開始した。ダイニングの壁にはあえて強いピンク色をチョイス。「すぐに飽きるのではないかと心配だったけど、毎日眺めても問題なし。夜はピンクの壁がオレンジを帯びて......これも気に入っているわ」

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左:植物画、人物画に加えて、現代アート作品も黒に統一して壁に飾る。右:照明は70年代のもの。ヴィンテージを探す時に利用するオンラインショップSELENCYで70ユーロで購入した。photography: Mariko Omura

*この記事は、madame FIGARO.jpの2017年10月~2024年10月の記事を再編集し、制作したものです。

editing: ERI ARIMOTO

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