能登の鮨と地酒に酔いしれる、オールインクルーシブの美食の宿。【石川県・七尾市|一 能登島】
Travel 2025.03.30
旅の楽しみといえば、その土地ならではのグルメ体験。地元食材を生かし、創造的な料理と丁寧なホスピタリティでゲストをもてなすオーベルジュを目的地に、グルマンな旅の計画を立てよう。
一 能登島
[ 石川県 ]七尾市
豊かな海を目の前に、鮨と地酒を堪能。
和倉温泉の対岸、穏やかな内海に浮かぶ能登島に誕生した、金沢の鮨みつ川の大将、光川浩司監修の"鮨オーベルジュ"。
漆仕上げのカウンターが清々しい饗処(あえどころ)。個室やテーブル席もある。
夕食のコースは、つまみを挟みながら握りが12種ほど。左から、輪島の「加能蟹」(甲羅9cm以上の雄のズワイガニ)、「赤西貝」(七尾湾で獲れる巻貝)の貝柱、小泊の「本鮪」、佐賀の「小肌」、七尾の「穴子」。
食後のデザートやコーヒーはこのバーラウンジで。
奥から、ノンアルコールの自家製フィズ「青柚子」、シーズナルカクテル「ベリーニ」。一部のウイスキーは別料金。
部屋の飲料だけでなく、夕食時やバーラウンジでのアルコール含むドリンクまでオールインクルーシブのスタイルだ。ここではどこにいても七尾湾の水平線と、ぽつぽつと浮かぶ寺島、カラス島が眺められるようデザインされていて、部屋から日の出も見ることができる。
左:特に冬は一日の中で天気が移り変わるそうで、晴れたり雨が降ったり大きな虹も! 右:七尾湾に27頭ほど生息する野生のイルカ。時折、宿の前を横切る様子が見られる。
全室オーシャンビューで、畳敷きが快適。サウナ付きの「SUSO」はテラスも広い特別室。ウェルカムスイーツは「能登ミルク」を使った特製カヌレ。館内着は3重ガーゼで肌触り抜群。
到着したら、まずはサウナでととのって。サウナ付きの部屋でなくても、薪サウナと水風呂、薬草風呂の貸し切りスパが利用可能。海風が心地いい外気浴は最高だ。
薪サウナ、屋外左手に薬草風呂、右手に水風呂のスパの利用は、貸し切り90分が付くプランを選択して。外来利用のデイユースは、120分¥19,800~
和倉温泉から、車で能登島大橋を渡り15分ほどで到着。
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お目当ての夕食は、メニューを開くとその日に出される魚介の名前が上からずらり。それが鮨だけでなくおつまみとしても出されるコース仕立てだ。シャリは釶打ち米と棚田米をブレンドし、山間の湧き水「藤瀬の水」で炊き上げたもの。この水のおいしさといったら!
名物の蟹はメニューに通年含まれるが、11月~3月は獲れたての「加能蟹」を蒸したもの。半身でたっぷり。
旬の「鰤」は、左から、わさびおろしと七味、おろしポン酢、炙りにスダチの3種で。
ブリをカブで挟んで発酵させた伝統料理、かぶら寿しと塩茹でした能登の「蛸」。「宗玄」の無濾過生原酒を合わせて。
そもそも能登の里山里海は世界農業遺産に認定されている食材の宝庫。冬のいまは、蟹はもちろんのこと、目の前の海からブリ、カキやトラフグもいただける。この日は、メニューにはない「山クジラ(猪)の味噌汁」がに登場。リクエストがあれば能登牛も用意するそう。
料理に合わせる飲み物は、常時25種類ほど揃える石川県の地酒から、特に能登の酒蔵のものをぜひ。あれこれ試せるのもオールインクルーシブならでは。デザートはバーラウンジに移動して、食後の1杯を。
料理に合う能登の日本酒をおまかせして。左の2本は、能登半島地震で被災した酒蔵が小松の東酒造で醸造した「神泉フィーチャリング能登末廣」、金沢の福光屋で醸造した「谷泉×加賀鳶」
食の楽しみは翌朝も続く。「鮨職人のあさげ」は、彩り豊かな地元野菜のサラダから始まり、炊きたての白米とノドグロの一夜干しを主役に、魚のづけの出汁茶漬けまで、海と山の幸に満たされる。季節ごとにまた来たくなる宿だ。
「鮨職人のあさげ」はサラダでスタート。能登島の窯元、独歩炎の青いうつわに赤土で育つNOTO高農園の野菜が映える。
土鍋で炊いた輪島市三井町産のコシヒカリとシジミ汁に、ノドグロの一夜干し、小鉢が3種。魚のづけは最後出汁茶漬けに。沁みる~。
一 能登島
石川県七尾市能登島須曽町42-4
0767-85-2150
全8室 全室バスタブ付き
1名¥70,785~(1室2名、2食付き、ドリンク含む)
https://hitotsu-notojima.com/
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立ち寄りスポット
ステイの翌日はココへ!
能登ミルク
搾りたての生乳から作る、絶品ジェラート。
乳牛を無農薬の牧草で育てる地元の酪農家6軒と契約し、"本物の牛乳"を届けて18年。創業者の長女、堀川宙がイタリアで修業し、その搾りたての生乳から作るジェラートは、濃厚なのにあとを引かない甘さ。
いちばん人気の組み合わせは「能登ミルク」と杏仁×マンゴー×ブラッドオレンジの「宙」(写真上左)。ほか「能登ブルーベリー」と「珠洲の塩キャラメル」(写真上右)など、季節のフレーバー含め常時12種類ほどが並ぶカフェでは、ミルクと相性のいいコーヒーもぜひ一緒に。
シングル¥450~、ダブル¥550~
*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋
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photography: Akemi Kurosaka