
パリ17区☆邸宅ミュゼJean- Jacques Henner
数あるパリの美術館、好きな場所は色々ですが中でも邸宅美術館はそのインテリア、間取りも興味深く、実際にそこに芸術家本人やコレクターの暮らしがあったと思うと興味深く感じます。
これまでアップした記事の一部。
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(ニッシム・ド・カモンド美術館(画像無)→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/51947586.html )
(コニャック・ジェイ美術館→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/musee-cognacq-jay.html )
(ジャックマール=アンドレ美術館→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-982.html )
(サン・ローラン美術館→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/16-1.html )
(ギュスターヴ・モロー美術館→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-537.html )
そこで開催される特別展も楽しみで繰り返し訪れている場所も多いのですが、今回初めて訪ねたのがパリ17区にある「ジャン=ジャック・エンネル美術館」(Musée Jean-Jacques Henner)。
19世紀末と言えば印象派の画家たちが活躍した時代。
同時期に彼らとは対照的に伝統を重んじアカデミーの画家として活躍したというジャン=ジャック・エンネル(Jean- Jacques Henner 1829- 1905)とはどんな作品を描いたのだろう?と興味が湧きました。
建物はもともとエンネルと交流のあった画家、ギョーム・デュビュフの住居兼アトリエで、エンネルは生前にこの邸宅を訪れたことがあったそう。
エンネルの死後、1921年にエンネルの甥の未亡人マリー・エンネルがエンネルの作品の展示のために邸宅を購入し、後に建物はコレクションとともに国へ寄贈され、ジャン=ジャック・エンネル美術館として開館。
1階左手には暖炉の部屋、奥には自然光が入るミュージックサロン。
時々演奏会が行われているのかも?
ざっくりなエンネルの生涯ですが、
1829年アルザス地方のBernwiller村の農家の息子として生まれる。
ストラスブールで学び、奨学金を受けパリの国立美術学校へ進学。
とりわけエンネルは、イタリア・ルネサンスの芸術に強い影響を受けたそう。
1858年、3回目の挑戦にして芸術家の登竜門であるローマ賞を受賞し、1864年までの5年間をローマのメディチ荘で過ごています。
2階の一室はそんなイタリア時代の作品を展示。
ローマから戻った後、サロンや万博に出品した歴史画、宗教画は評価され、国により買い取られ美術館へと収蔵されることに。
肖像画家としても活躍。
1889年には芸術アカデミー会員となり、1903年にはレジオン・ドヌールの二等勲章授与など画家としてのキャリアは華やかなものに。
印象派の画家たちが新しい表現を求めていた時代に着実にキャリアを重ねたエンネルなのでした。
個人的には女性を描いた作品の数々が印象的。
ガラスが反射して上手く撮れないのですが、彼女の青味がかった白目が綺麗。
見る角度によって表情も違って見えましたが、本当の美人はどの角度から見ても美しいのですね…。
美しい裸。
私自身はこれまでに似顔絵も含め肖像画を描いてもらった経験がない。。
高校時代に美術部の男子に「〇〇は、特徴が掴みづらくて描きづらいんだよねー」と言われたことが今でも忘れられず。
当時は軽くショック!?
夫「俺が描いたけど」
K「あっ!!」
そうだった…!意外にも絵が描ける夫は昔、ササッとデッサンしてくれたことがありました。
いつかこんな凛としたマダム風に描いてもらいたいものです…。
階段を更に上がってみると最上階では絵画教室のレッスン中でした。
全く絵心がない私にはつくづく絵が描ける人が羨ましい…。
お金持ちコレクターのそれとは違って館内にキラキラな派手さ、華やかさはないものの、なんとも心落ち着く、ゆったりとした空気が流れる中でエンネル作品の鑑賞は豊かな気持ちになりました。
真面目でコツコツと静かに感情は内に秘めてキャンバスに向かう画家の姿を妄想しながら楽しんだジャン=ジャック・エンネル美術館。
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