
マーク・ロスコ展 ☆Fondation Louis Vuitton
昨年秋に始まるや友人、知人の行った誰もが絶賛!
今シーズン、私が最も楽しみにしていた展覧会の一つ『Mark Rothko』(マーク・ロスコ展)には、年明け早々に出かけました。
それは、雪が積もった寒い朝。
素晴らしかった!!
ロスコ作品をこの規模で再度鑑賞できることはしばらくないのでは...と、会期終了前に(2024年4月2日まで)もう1回!と行ってきました。
場所は、勝手知ったるFondation Louis Vuitton(フォンダシオン・ ルイヴィトン)。
いつからかすっかり大ファンになったマーク・ロスコ。
直近では、昨年NYでMoMA(モマ:The Museum of Modern Art, New York:ニューヨーク近代美術館)が記憶に新しいところ。
(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/moma-2.html)
本展は、世界各地から集められたマーク・ロスコ(1903~1970年)の作品115点を、初期の具象絵画からよく知られる抽象画、カラーフィールド・ペインティングまでを集めた大回顧展。
もう会期も終盤なので空いてるかと思いきや、この日も盛況。
前半の展示コーナーはかなり混み合っていましたが、順路を進むにつれて人は少なく、ゆっくり鑑賞、作品と対峙できるようになりました。
展示方法は、1930年代の初期作品から始まる年代順で、年代と共に作風が変わっていく流れが掴みやすく、解説もわかりやすく、ざっくりなバイオグラフィーと共に改めて知ることも色々。
ロスコは、1903年に当時ロシア帝国のダウボーヴィチで生まれ、幼少期にアメリカに移住。
彼はニューヨークで美術を学び、初期のキャリアではシュルレアリスムや抽象表現主義の影響を受けました。
やがて独自のスタイルであるカラーフィールド・ペインティングを開拓。
カラーフィールド・ペインティングでは、大きな平面に漂うような色彩が、観る者に感情的な体験をもたらすことを目指していると。
深い色彩と境界のない形態が特徴的で、静寂な精神性や宇宙の神秘を表現。
が、しかし成功と名声の裏には内面的な苦悩がありました。
彼は自己を探求し、生の意味や存在の神秘について考え続けました。
1960年代には、精神的な抑うつと健康問題に苦しむように。
そして、1970年に自らの生命を絶ちました。
こうして彼の人生を辿るような展覧会は、どのコーナーも大変興味深ったです。
唯一の自画像「セルフポートレート」や、
初期の作品コーナーにあったNYの街の様子、ギリシャ神話をテーマしたものは、これまで観たことがなかった私にはとても新鮮に映りました。
すぐに気がつくのは、初期の頃から作品タイトルがとてもシンプル、もしくはアンタイトルド。
ロスコといえば、作品にタイトルがなく、ナンバー形式をとることで知られているけれど、最初からあまりタイトルに興味がなかった?!と。
タイトルからあれこれ考えるな、感じろ!ってことなのかな...などと思って作品と対峙すると腑に落ちる。
ここだ!と意気込んで入ったのは「シーグラム壁画」コーナー。
1958年、ニューヨークのシーグラム・ビル内の「フォーシーズンズ・レストラン」のために依頼された壁画ですが、コスコは当初、場所と一体化、完全にコントールするという考えに魅了され、建築と切り離せない作品を作るつもりでいました。
そして約30の作品が制作されましたが、場所やレストランの雰囲気などがロスコが最初に請け負った際のプロジェクトの精神に合ってないとして契約を廃棄してしまっというエピソードを持つ作品群。
約10年後、1969年にシリーズのうち9点を選び、ロスコが賞賛したターナーの作品に近いという思いからロンドンのテート・ギャラリーに寄贈されました。
この頃の話をお芝居にしたのが、9年前に鑑賞した舞台「RED」(小栗旬さん&田中哲司さんW主演)。
個人的にはその舞台とシーグラム壁画がマーク・ロスコに興味を持つきっかけだっただけに、この展示コーナーではしばらく時間を過ごしました。
(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/red.html)
あら?アルベルト・ジャコメッティ。
ジャコメッティも好きなので、つい前のめりで通路にあった作品を鑑賞。
(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/14.html )
すると、その奥のコーナーではジャコメッティ彫刻作品を囲むようにロスコの晩年の作品が展示されていました。
え〜っ!と予期せぬコラボに興奮。
ジャコメッティも好きな私としては、もしや二人は友達だったの?!と。
20世紀の美術史に影響力のある作品を残した二人に親交や接点があっても不思議じゃない!と一瞬期待したのですが、そうではなく、これらの作品は1969年にユネスコ・パリ本部に一緒に飾られる予定だったのだそう。
白、黒、グレーなモノグラムの世界はクールでカッコよく、二人の作品を一緒に鑑賞すると、両者の芸術的影響や共通する美学的関心が感じれ、感動的でした。
一度にこんなにたくさんのロスコ作品を観たのは初めてでしたが、改めて好きだと確信。
遠目には一色にしか見えない作品も、よくよく見ると一色ではなかったり、ふーっと違った色が浮かんでくる。
温かさや冷たさ、見つめている間の埋没感は宇宙的で、自分の中の精神的な探究にも繋がる。
神秘的で、その深い感情と静かな美意識を感じるんだよな〜、2度目でも飽きない!と繰り返し感じながら鑑賞は続きました。
以下好きだった作品をもう少し。
こうしてスマホ撮影した画像で改めて見ると、サイズ感も伝わりづらく、色味もちょっと違っていたりするので、やはり本物を目の前にするのが一番だけど。。
マーク・ロスコ展、もう1回観に行きたいところですが、ちょっと無理。
というわけで、記念に図録を購入。
今度はどこでロスコ作品に出会えるのか楽しみ☆
*****K子のつぶやき@パリ*****
温活にジンジャー。
生姜フレーバーを見つけるとつい手にしてしまう。
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