
名画の宝庫☆美術史博物館
何やらまた音楽が聞こて来た〜♬
本来は建物正面で演奏されるのかもしれませんが、この日ウィーンもかなり気温が上がり暑かったので建物脇のちょっとした木陰(でも本当にちょっとの木陰。他に日陰がないから仕方ない…)で音楽を奏でていた吹奏楽団。
トイトイトイ!(頑張って)と呟いてしまった。
そんな暑さの中、やって来たのは「美術史博物館」(Kunsthistorisches Museum)。
建物の正面の広場中央に鎮座するのは遠目にもすぐわかってしまった女帝マリア・テレジア。
今回のウィーン滞在で何度も見聞きしたマリア・テレジアは言わずと知れたハプスブルク家の最盛期を築き上げた女帝。
その生涯で16人もの子供をもうけたことにも驚くばかり。
すっかり私の中では名実ともにオーストリアの肝っ玉母さん…。
(暑くて銅像正面まで行く気になれず、横から撮影した手抜きブロガー)
恥ずかしながら今回ウィーンに来るまで知らなかったこの「美術史博物館」(Kunsthistorisches Museum)は、想像をはるかに超える素晴らしい美術館で、ルーヴル、メトロポリタン、ウフィツィ、ヴァチカンなどの世界的に有名な美術館と比べると知名度は低いように思いますが、筆舌に尽くし難し!な素晴らしい美術館でした。
もちろん館内は空調が効いていて涼しいのですが、入った瞬間この重厚な大理石の美しさにうっとり。
手すりに触れるとひんやり気持ちいい。
夏は涼やか、冬は温もる大理石はマーブルな美しさが大好きです。
一歩一歩階段を上がるごとにテンションアップ。
まだなんの展示作品も見ていないのに館内の豪華な装飾に見惚れるばかり。
口開けてます…。
(こんなところを撮られていたとは…と思ったけれど、リアルに「わ〜」な瞬間)
階段ホールのアーチ部分や円柱の間の壁面空間を埋めるようにある絵画は、グスタフ・クリムトが1891年芸術家集団「キュンストラーコンパニー」と共に製作したもの。その数40点!
隅っこを見るほどにTheクリムトの世界。
と、クリムト作品に迎えられて美術鑑賞のスタート。
絵画コレクションの核を成すのは、オーストリア、ドイツ、スペイン、イタリア、ベルギー、オランダの各地ハプスブルク家の領土において生み出された作品たち。
中でもピーテル・ブリューゲル作品のコレクションは世界最大。
『バベルの塔』
『雪中の狩人』
『子供の遊戯』
『農民の婚礼』
わりと好きなルーカス・クラナッハ(Lucas Cranach)作品もあちこちに!
『ユディト』
『アダムとイヴ』
広い美術館なのですが、部屋から部屋へ作品が連なるので目当ての作品を探し回らずとも、どんどん名画の方から目の前に現れてくれる感じ。
所々にはソファもあり、ゆっくり座って鑑賞できるとはなんて贅沢!
お、、この豊満ボディは!
やっぱりね!なルーベンス(Peter Paul Rubens)の『毛皮をまとった妻』。
バロック期に画家として大成功した巨匠ルーベンスですが、七ヶ国語を話すほど語学堪能で外交官としても活躍したとか。
と思いながら自画像を見上げる。
ティツィアーノ作品も!
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-663.html )
ティツィアーノはルーベンスと同じく幸せな画家と言われる人で健康で良き家族に恵まれ、長生きでエネルギッシュ、社交的で若くして莫大な富と名誉を手にして仕事を心から楽しみ、生前も死後も人気と名声に揺るぎない、イタリア・ヴェネツィア好きも相まって好きな画家♡ (つい熱くなってしまった)
『ヴィオランテ』
K「ちょっとこれ、ラファエロ(Raffaello Santi)だよ!」
夫「だな」
パリの美術館もそうですが作品前に規制線などほとんどなく、「どーだ、これ!覚悟して見なさいよね」な雰囲気もない。
どんな名画もさり気なく展示されているところに歴史と文化の深さを思い知らされます。
『草原の聖母』
ちょっと疲れたら館内にあるカフェでコーヒーブレイク。
これまた美味しいコーヒーをこの雰囲気でいただけるとは素敵です。
日本人ツアーの皆さんも多く見かけたこの日、特に長めの説明がされていたので人気なのかな?と思ったアンチンボルド(Giuseppe Arcimboldo)。
それぞれ四季のタイトルがついた連作の中で、私が好きだったのは『夏』。
熟年の女性と思われる人物の像が形作られ、耳には当時発見されたアメリカ大陸からもたらされたばかりのトウモロコシ、鼻にズッキーニが、頬には桃。
それから今回訪れるまで知らなかったので驚きが大きかったのが、この美術館の古代ギリシア・ローマ・エジプトコレクション。
そのコレクションはルーヴル以上では?(状態が美しいものばかり)と思うほどの充実ぶりで、古代オリエント好きな私達夫婦は絵画コレクションとはまた違った興奮を感じながらの鑑賞でした。
K「もうこんな2、3時間じゃ全然足りないね。ここはまた来たい!」
夫「住んでたら年間パスポートだな!」
もっと観たかったけれどそろそろ時間…と引き上げミュージアムショップでお土産探しをしていると、いくつも有名作品を見逃していたことに気がつきました。
K「この子(ベラスケスの『青いドレスのマルガリータ王女』)見逃してる。でもパリでかなりじっくり観たからいいことにする?」
夫「俺はあんまり興味ないからいいや」
(パリで鑑賞した時のブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-354.html )
そして夫がおもむろに手にした斜めがけの大きめショルダーバッグ。
K「え、、ちょっとそんなバッグ欲しいの?誰が持つの?」
夫「違うよ!バッグが欲しいんじゃなくて、この絵!!」
夫が手にしたバッグに描かれたその絵をよく見ると、
K「それってフェルメール?!」
夫「だよね!!これあった?」
K「見覚えない」
夫「これはミスできない。戻るぞ!」
K「いたいた!」
そのフェルメール(Johannes Vermeer)の『絵画芸術』はちょっとわかりづらい、奥のスーッと素通りしがちな小部屋にありました。
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-924.html )
昨年は東京で「フェルメール展」を鑑賞し、講演会も拝聴していたのでその際のお話を思い出しながらの鑑賞。
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-956.html )
満足♡
K「でもこんなさり気なく置かれたらなかなかわからない…」
夫「やっぱりそのへんも含めてこの美術館の凄さだろうな〜。あとは特に日本人が特にフェルメール好きってこともあるかな?」
確かに周囲を見渡してもこの絵に近づいてくる人がいない、気配がない。
お陰で最後にじっくりとフェルメール作品に対峙することができたのでした。
ウィーン再訪の際には必ずまた訪れたい美術史博物館(Kunsthistorisches Museum)です。
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