パリの子ども事情

パリのバレエ事情(9)

3月、パリマラソン、プレタポルテのファッションショーや展示会、と街中が賑わっているパリです。

そんな中、フランスのクラシックバレエのコンクールシーズンはちょうど折り返し地点。
この「パリの子ども事情」でも何度かお伝えしている"バレエ事情"ですが、今シーズン(2014秋〜2015夏)でコンクール出場2年目の長男。
日々の地道な練習のモチベーションを保つにも、コンクールに出場する事は効果的なようです。
そして、知らない街へ行けるのも魅力で、ちょっとした旅行気分も味わえます。

先週末、今シーズン4つ目のコンクールに行ってきました。
パリから350km離れたMONTLUÇON。地図で見ると、ちょうどフランスの真ん中にあります。

コンクールの仕組みはそれぞれで、今回初めて出場だったのでサプライズがいっぱい!
お昼頃からステージで音合わせ、18:00から予選がなく本番!
という日程だったので、早朝パリを出発することにしました。

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車の中で日の出。
10:00に到着。

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まずは会場の下見。
市役所に隣接した素敵なテアトルです。

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旧市街はブルボン家のお城を中心にぐるりと家が取り囲んでいる中世の街。

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10:30に先生方と合流。
現地までは親が連れて行き、宿泊の場合はそれも自分たちで予約します。
会場で子どもたちを先生に預けます。

その後、ステージで距離感や中心はどこか? など音楽を流して確認します。
これは親は立ち入り禁止。

「13時に楽屋口に迎えにきて下さい。それまでお散歩でもどうぞ」
という先生の指示。

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土曜日だったので、マルシェがたっていました。

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南仏っぽい街並みだったせいか"旅"気分が盛り上がります。

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旧市街を散策しながら、土地のものを見て回るのは本当に楽しい。
日帰りのコンクールなのにこんなにゆっくりと時間が流れているなんて!
忙しい毎日へのご褒美みたいです。

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見たことのないサラダ菜やすっごく小さなニンニク。

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パニエも20€前後とすごく安い!

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魚のシュークルート。

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地元のおばさんから「これすごくおいしいわよ」と、すすめられて買ったチーズ。

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カフェのテラスでは、買い物を終えた人たちがビールやワインで乾杯していました。
で、私たちもつい飲んでしまった。
フレッシュな牛乳で作ったチーズ、それにセロリとニンニクとパセリを混ぜたチーズの2種類をつまみに、キリッと冷えた白ワイン。

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街に野良猫がたくさんいるのも南仏っぽい。

13:00に楽屋口へ長男お迎え。
「本番は18:00からだから、16:30から準備をします」
ということで、3時間半の自由時間。
今までのコンクールではまとまった自由時間がなかったけれど、とっても嬉しい時間。

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古いものが好きでちょうど中世の勉強をしている長男は街散策に興味津々。
教会がたくさんあるので、本番前に心を鎮めに行きました。

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城壁の中へ入ると、広々とした公園になっています。

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360度街を見回して、ここが盆地だったことを知ります。
そして、まわりにはタイヤ工場がたくさんあることも。

さて、観光おしまい。

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テアトルのホールでメイク。
長男はアイラインとシャドーをちょこっとしてもらってます。
いつも長男担当は、先生のお孫さんのマリールーちゃん。

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楽屋口でお別れです。

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©Ecole de danse TERPSICHORE Paris

テアトルの2階は自然光がたくさん入る素敵な場所。
ウォームアップは1時間以上かけて体をならしていきます。
バレリーナの子たちがより美しく見えます。

このコンクールは予選無しの本番のみ。
そして、コスチュームではなくシンプルな練習着で踊ります。

写真撮影が禁止だったので舞台写真はありませんが、スクールの子たちは失敗もなく踊れました。

採点方法もいろいろなのですが、賞もたくさんの種類があります。
今回はこんなふうです。

20点満点
18点以上:金メダル avec féricitations
17点:金メダル à l'unanimité
16点:金メダル
15点:銀メダル
14点:銅メダル
13点:1er prix
12点:2èm prix
11点:3èm prix
10点:Encouragement
10点以下:Diplome de participation

すべての出場者に 賞が与えられるコンクールでした。

本番も済んで場内アナウンスで「1時間後に名前を貼り出しますので、ホールでお待ち下さい」
結果発表予定よりも1時間も早く??
と不思議がっていると子どもたちが楽屋から出てきました。
「疲れたから選ばれたくないなー」と長男。
???
話を聞いてみると、審査員がクラシックバレエから5~6名、ジャズダンスとコンテンポラリーから5~6名の子どもを選ぶそう。
そして、選ばれた子たちはコスチュームに着替えてもう一度舞台で踊る。
知らなかった〜。

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まさか選ばれると思っていなかったので、楽屋へ忘れた靴を取りに戻った長男。
その間にこんなふうに手描きで名前と踊る順番が貼り出されました。
で、10番目に名前があってビックリ!
ヘトヘトながらも頑張って踊りました。

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表彰式まで、夕焼けを見ながら振り付けの先生イザベルと話す。
「MEI(長男)にとって、ベル・セゾンだ」と。
前回までの3つのコンクールでは金賞と銀賞ふたつ受賞している。
今回は金賞だった。
「再来週のパリのコンクールは一番難しいけど、これで賞がとれなくてもガッカリしないだけ賞を取っている」ともおっしゃっていた。

小さい子のカテゴリーは賞が取りやすい。
上へ行くほど難しくなってくる。
と、先輩ママンたちから聞いている。

本人曰く「僕は人数の少ない男だし、珍しい東洋人だし、カラダが小さいから"かわいい"というので今は賞がもらえてる。僕よりテクニックが上の子はいっぱいいるのもわかってる。来年も同じようにいくとは思ってないんだよ」と、至って冷静だ。
そして、舞台では踊っている自分とそれを見ている自分がいるらしい。
自分の子だけど自分の子じゃないみたいで不思議。

今シーズンは我がスクールは8つのコンクールに参加する予定。
あと半分。
この子どもたちのキラキラした体験を、私たち大人がすっごく楽しんでいる。
本当にありがとう!

【関連記事】
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松永麻衣子

パリ在住ジャーナリスト

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