【篠原ともえ連載Vol.29】京都のビロードでコスチュームをつくる。

日々創作を続ける中で、インスピレーションを求めプライベートで京都を訪ねました。今回、私が足を運んだのは"天鵞絨"を専門に製造し続けている「杣長」へ。

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日本の天鵞絨(ビロード)の発祥がもともとは西陣だったことから、かつて天鵞絨屋の大店が軒を連ねていたここ西陣の地に、杣長(そまちょう)さんは美術館を開設されています。この美術館では技術の粋を集めて織られた標本帳のほか秀作の数々を手に取ることができ、その歴史を学ぶことができました。

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今回特別に美術館から程近い工場へも見学もさせていただきました。シャトル織機でビロードを専門に製織し続ける、西陣においては唯一の企業ということで、丁寧な職人技で織り上げたビロードのその制作工程はとてもドラマティックでした。

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これまでの貴重なコレクションも手に取ってみると......最高級の触り心地に驚きました。美しい毛立ちと奥深い色味が、私のインスピレーションをかきたててくれます。まさに手仕事を紡いだ付加価値のあるものづくりだと感じました。

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この素晴らしい杣長のビロード素材を掛け合わせ、ロングスカートを縫製しました。動くとさまざまなビロードがゆらりと揺れるデザインです。完成作品は私がコラボレーションアーティストとして参加している現在開催中の作品展『正倉院 THE SHOW ー 感じる。いま、ここにある奇跡 ー』のセレモニーで着用しました。

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前回のコラム"正倉院宝物をファッションへと昇華。"でもご紹介しましたが「LACQUERED EWER SHOSOIN DRESS」もまた制作にビロードを活用しています。美しい素材そしてこれまで紡いできた職人たちの熱意に心震わせながら、これからも私自身の想いを込めて創作と向き合ってゆきたいです。

天鵞絨美術館
京都市上京区浄福寺通上立売上る大黒町689-3
075-432-2266
開)10:00〜16:00(お盆・年末年始を除く)
休)月(土日祝日に関しては要相談)
入場無料(※要予約)
https://somacho.co.jp/
@somacho.kyoto

 

1995年歌手デビュー。文化女子大学(現・文化学園)短期大学部服装学科デザイン専攻卒。歌手・ナレーター・女優活動を通じ、映画やドラマ、舞台、CMなどさまざまな分野で活躍。現在はイラストレーター、テキスタイルデザイナーなど企業ブランドとコラボレーションするほか、衣装デザイナーとしても松任谷由実コンサートツアー、嵐ドームコンサートやアーティストのステージ・ジャケット衣装を多数手がける。2020年、アートディレクター・池澤樹と共にクリエイティブスタジオ「STUDEO」を設立。
篠原ともえ公式サイト:www.tomoeshinohara.net
公式インスタグラム:www.instagram.com/tomoe_shinohara/

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