今日はしっかりしたパンチのある赤ワインで! そんな気分に応える「シラー/シラーズ」の特徴とは?
知ってちょっとためになるワイン学習帖 2025.04.09
肉料理にもぴったりな、スパイシーさと骨格がある赤ワイン品種、シラーを解説!
vol.8 シラー/シラーズ
フランス・ローヌ地方の花形品種がシラー。総じて色が濃く、パンチがあり、骨格のしっかりしたワインを生み出す。熟成のポテンシャルもすこぶる高く、最上級のワインなら孫子の代まで寝かせておくことが可能だ。
特にコート・ロティとエルミタージュは、シラーから造られるローヌの2大銘酒として覚えておくべき銘柄。フランスではほかにも、ラングドックなど南仏を中心に栽培されている。温暖で乾燥した気候を好む品種だ。
シラーにとって、新世界の銘醸地はオーストラリア。ただし彼の国ではシラーではなく、シラー"ズ"と訛るので要注意。
シラーの香り表現としてよく使われるのが"スパイシー"だ。シラーにはロタンドンというコショウと同じ香り成分が含まれる。ゆえにスパイスを使った料理にはシラーが鉄板。
ペンフォールズ
マックス シラーズ
PENFOLDS
MAX' S SHIRAZ
国・地域 : オーストラリア サウス・オーストラリア
アルコール度数 : 14.5%

オーストラリア産シラーズの最高峰といえば「グランジ」。そのグランジの生みの親であるマックス・シューバートへのオマージュとして造られるのがこのワインだ。温暖な南オーストラリア州の各地から集められたブドウを用い、フレンチとアメリカンのオーク樽で熟成。プルーンのように濃厚な果実味を持ち、リッチでボリューム感がある。甘辛ソースを使ったアジア料理にはぴったりのワイン。
酸味 ●●◯◯
果実味 ●●●●◯
タンニン ●●◯◯
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イー ギガル
クローズ・エルミタージュ ルージュ
E.GUIGAL
CROZES-HERMITAGE ROUGE
国・地域 : フランス ローヌ
アルコール度数 : 13.5%

クローズ・エルミタージュは銘酒エルミタージュの弟分だが、ローヌ北部に帝国を築くギガルのこのワインは抜群の安定感と品質の高さ。スミレを思わせるフローラルなトップノーズに熟したプラム。ほどよい果実味にきれいな酸。喉越しはシルキーだがしっかりとした骨格も感じられ、アフターにはブラックペッパーのスパイシーさ。エゾ鹿やイノシシなど、ジビエ料理には欠かせない一本である。
酸味 ●●●◯◯
果実味 ●●●◯◯
タンニン ●●●◯◯

今月の講師
柳 忠之
ワインジャーナリスト
ワイン専門誌記者を経て、1997年に独立。専門誌、ライフスタイル誌等に寄稿。日本ソムリエ協会発行の資格試験向け教本執筆者。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
ワインを自分らしく楽しみ、食卓や日々の生活をより豊かにしたい、そんな知的好奇心の高い人に向けた新しいコミュニティ。知識が身につくワイン講座や試飲イベントの開催、ワインアドバイザーによるコンテンツを日々発信中!
*「フィガロジャポン」2025年1月号より抜粋
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