世界中で栽培されるワイン品種メルロ、実は長野産に熱視線!?
知ってちょっとためになるワイン学習帖 2025.11.08
ブドウ品種の特徴がわかると、ワイン選びはグッと楽に! ワインジャーナリストが解説する連載「ワイン学習帳」。柔らかな味わいが魅力的なメルロの銘醸地、次の大本命は......日本!?
vol.18 メルロ
カベルネ・ソーヴィニヨンに次ぎ、世界で2番目に栽培面積の広いブドウ品種がメルロ。フランス語でメルルというツグミの一種に由来し、黒みがかったその色が似ているから、または熟すのが早いこのブドウをメルルが真っ先についばむからとされる。
よく熟し、タンニンが優しく、柔らかなワインに仕上がるため、原産地の仏ボルドー地方では骨格のしっかりしたカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることもしばしば。冷たい粘土石灰質土壌で調和の取れたワインになるので、ボルドーの右岸地区ではメルロが主役を果たす。
世界中で栽培されているにもかかわらず、ボルドー右岸以外にここぞといった銘醸地の見当たらないメルロ。暑すぎると過熟してダルなワインになりがちなためだが、適度に涼しい日本の長野はメルロの銘醸地になり得そう。
シャトー・デギュイユ
ヴィンテージ
CHATEAU D'AIGUILHE
VINTAGE
国・地域:フランス ボルドー地方
アルコール度数:14%
サンテミリオン第一特別級のシャトー・カノン・ラ・ガフリエールを所有するステファン・ヴォン・ナイペルグ伯爵が、カスティヨン・コート・ド・ボルドーで造るワイン。80%のメルロにカベルネ・フランを20%ブレンドした黄金のバランス。濃密な黒い果実のアロマ。凝縮感があり、みっちり緻密な構造で骨格もしっかりしているが、テクスチャーはなめらか。へたなサンテミリオンよりずっと上質。

酸味 ●●●◯◯
果実味 ●●●●◯
タンニン ●●◯◯◯
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シャトー・メルシャン
長野メルロー 2022
CHÂTEAU MERCIAN
NAGANO MERLOT 2022
国・地域:日本 長野県
アルコール度数:12.5%
世界に誇るメルロのフラッグシップとして「桔梗ヶ原メルローシグナチャー」を持つシャトー・メルシャン。このワインは桔梗ヶ原、安曇野、椀子、北信など、日本を代表するワイン産地である長野のメルロをブレンド。色調は明るいルビー。みずみずしい赤い果実や黒い果実のアロマ。酸は優しく、果実の甘味が広がり、なめらかな舌ざわり。出汁をベースにした和の食卓に寄り添う慎ましやかなスタイル。

酸味 ●●◯◯◯
果実味 ●●●◯◯
タンニン ●◯◯◯◯

今月の講師
柳 忠之
ワインジャーナリスト
ワイン専門誌記者を経て、1997年に独立。専門誌、ライフスタイル誌等に寄稿。日本ソムリエ協会発行の資格試験向け教本執筆者。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
*「フィガロジャポン」2025年11月号より抜粋








