春を告げる桜は、韓国でも愛されている花だ。多くの人が桜の開花を楽しみに待つのが、この季節ならではの喜びの一つ。
最近異常気象の影響で、今年は全国で開花スピードに大きな差が見られる。ソウルでは平年よりやや遅れ気味だが、南部では例年より早く満開を迎えた。桜開花マップをチェックしながら、お花見計画を立てるのは、春の楽しみ方のひとつでもある。

ソウルより先に春を迎える韓国南部の桜祭りと言えば慶尚南道昌原市で行う鎮海軍港祭だ。
特に余座川が流れるロマンス橋の桜並木は鎮海軍港祭のシンボルになって、デートスポットとして大人気。レトロな感性の京華駅の鉄道沿いに並ぶ桜の木は、ここでしか見られない春の風情を感じる。
京華駅は、昔の趣が漂う小さな駅舎。現在、列車は停車しないが、通り過ぎる列車と桜の風景を楽しむために訪れる人々で賑わうスポットである。列車の運転士は京華駅を通る時お花見に来た観光客のためにゆっくりと速度を落とすので、フォトスポットとしても有名。昌原市では桜の満開期間の10日間、桜スポットを回るツアーバスを運行し、観光客にフレンドリーなサービスを提供している。

千年古都慶州のお花見も欠かせない。慶州は古いお寺と多くの遺跡が残っており、都市そのものが観光地だ。特に花と紅葉に染まる春と秋は、静まりかえっている雰囲気でとても綺麗な場所である。
毎年春になると、全国から特別な目的で慶州に集まる。それは、韓国で最も美しいマラソンコースと言われる、慶州桜マラソン大会が開催されるからだ。桜の景色を楽しみながら走る魅力的なイベントで、初心者も参加できる5kmコースもあり、幅広い参加者層が楽しめる。

満開が遅くなっただめ、今ソウルの人たちはお花見を待ち焦がれている。汝矣島桜祭りはソウルで一番人気で、2024年に314万人も訪れたほど桜名所である。お祭り期間中は交通規制を行い、多くのソウル市民がより楽しく安全に桜を満喫することができる。夜のライトアップ、ストリート公演、フリーマーケット、フードトラック、桜カフェ、漢江ハンガン遊覧船の桜ツアーなど様々なイベントもあり、お花見の楽しさが倍になる。
ソウルの桜名所は汝矣島だけではない。ホットエリア聖水洞の近くにあるソウルの森公園、ロッテワールドを囲んでいる蚕室石村湖公園、ソウル子供大公園、良才川など、 お花見のスポットは多い。

隠されている宝物のような桜名所はまだまだある。慶尚南道南海の海岸道路にあるるワンジ桜ロードは南海大橋を過ぎて鷺梁三叉路から始まる約5km区間の桜トンネル。春になると人気のドライブコースである。
1200本のソメイヨシノが海岸線に沿って並ぶドライブコースは壮観だ。桜が散る頃には菜の花が咲き乱れ、黄色い菜の花とピンク色の桜、青い南海の海の絶景を楽しむことができるので、ぜひ訪れてほしい。

少しゆったりとしたお花見を楽しみたい方には、宮殿がおすすめ。世界遺産に登録された昌徳宮をはじめ、景福宮、昌慶宮では、一味違った春の風情を楽しむことができる。

鄭慈卿 Ja-Kyung Jung
チョン・ジャキョン、ソウル生まれ。映画制作会社の演出部を経て、メディアコーディネーターに。日本語は独学で習得。雑誌を中心に書籍、テレビ、広告、ブランド、スポーツなどのコーディネーションを担当。 Instagram: @mademoiselle_pudding