update:2024/05/24
タイルの装飾が目をひく外観。長年ここで営業していたレストランChez GérardのイニシャルのCGが、タイルに描かれている。
ボン・マルシェのラ・グランド・エピスリーがオープンし、フィリップ・スタルクによるホテルBrach Paris(ブラック・パリ)ができて、16区の地下鉄駅ラ・ミュエットから行く場所が増えつつある。
その一角で、3年前から食いしん坊の地元民に愛されているLa Causerie(ラ・コーズリィ)という高級ビストロを紹介しよう。タイル装飾の外観がレトロタッチでチャーミングな店だ。真ん丸いビストロ風ライト、古い鏡を貼ったドア、陶画の壁といったインテリアが懐かしさを感じさせる。
黒板に書かれたメニュー内容は昼も夜も同じで、料理数はさほど多くない。その中でユニークなのは、ニョッキ・ア・ラ・パリジェンヌだろう。パリ風ニョッキとは何ぞや?と思うだろうが、これはディジョン料理なのだそうだ。そしてニョッキといってもジャガイモにあらず。シュー生地を茹でたニョッキである。それがパセリ、エスカルゴ、クリーム、ローストチキンのスープでできたトリュフ風味のソースの中に、横たわっているのだ。ソースのグリーンが美しい。食感はクネルやハンペンに似ているようで、でも違う、という新しい体験ができる。ニョッキがまろやかな甘みのソースと絡まって......この味を求めて、再びここに来てしまいそう。
この店ではプリントされたメニューは存在せず、すべては2枚の黒板に。1枚はその日のメニューで、もう1枚はラ・コーズリィに来たら、これを食べなくては、という料理が書かれている。パリ風ニョッキもそのひとつで、そのほかにはシェアして食べる肉、ステーキ、仔牛の胸腺肉、帆立貝のポワレ。夜にはそれにバニラアイスクリームを添えたチョコレート・スフレが加わる。新鮮な素材をパーフェクトな火加減で調理するシェフは、デザートにもその腕を振るう。なかでもおすすめは、パリ・ブレストとサバラン! ワインもおすすめの店なので、ぜひ料理に合わせて選んでもらおう。料金設定はその日のメインが21ユーロ、前菜とメインまたはメインとデザートが29ユーロ。前菜とメインとデザートで36ユーロとなっている。なお2枚目の黒板のメイン料理は21ユーロではなく、それぞれプラスがある。
サルグミンヌの陶壁に見られる絵のベースはスタンランの絵画だそうだ。
ディジョン料理のパリ風ニョッキ(26ユーロ)。
これに料金プラスでトリュフを添えることもできる。


ある日の前菜から。ひとつひとつの味がしっかりと生かされた野菜のココット。
有機卵の赤ワイン煮。卵をカットすると、白身の中から黄身がとろりと流れ出し、お皿の中に花が咲くよう。
店の名物料理のひとつ、仔牛の胸腺肉。
帆立貝のソテー。
パリ・ブレスト。おすすめだけあって、カリッとしたシュー、軽いけれどねっとりしたクリームは他のパリ・ブレストとは一線を画している。
サバラン。デザートはビストロの定番ばかり。
オーナーのアルノー・バシェ(右)もシェフのガブリエル・グラパンのロワイヤル・モンソー・ホテル出身。
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INFORMATION
La Causerieラ・コーズリィ<16区>
31, rue Vital 75016
01・45・20・33・00
LA MUETTE
12時〜13時30分(L.O.)、19時30分〜21時30分 (L.O.) 休)土、日
réalisation:MARIKO OMURA
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