update:2024/05/24
地下鉄駅シャルル・ド・ゴール=エトワール駅下車。5番の出口からカルノ通りに出て、そのまま直進するとレストランのあるアルマイエ通りに名前が変わる。photo:Francis Amiand
凱旋門の向こう、と聞くとパリの中でも遠く感じられる。でも、おいしいレストランがあるとなると、その距離は心の中でぐんと縮まるようだ。17区のレストランCaïus(カイウス)には、ジャン=マルク・ノトゥレの料理を求めてパリ市内の至るところから人が集まってくる。
このシェフ、見た目は一瞬ラガーマンかと思わせる風貌だが、料理の錬金術師である。15年前に曽祖父の名前をとってカイウスと名付けたレストランを開いた彼。2018年、店を改装拡大した。赤、紫、黄といった色は彼が情熱を傾けるスパイスからのインスピレーションだという。
味の秘訣は 香辛料、調味料の調合にあり!と語る彼。日ごと彼のインスピレーションで料理が決まるので、このレストランでは細かい文字で書かれた黒板がメニューである。たとえば、ブラジル産の白胡椒がまろやかな風味が決め手の新鮮な鯛のセヴィーチェ。アグリアというポテトのニョッキは、トリュフオイル、パルメザン、チキンブイヨンなどのソースに、こっそりと醤油を潜ませている。オレンジ、バニラが味に抑揚をつけ、グリルした栗が食感を添えるバターナッツのヴルーテ。鴨の照り焼きには焼きみかんが乗せられ、カレー味の人参が添えられている。タコのローストに添えるのは、カシスのシャーベット......素材、スパイスの組み合わせは彼ならではで、フランス料理という枠を超え、無国籍というより "ノトゥレ料理"。最初のひと口から、"美味しい!" と頬がほころぶ個性豊かで味わい深い料理に惹かれて、ちょっとパリの中心から外れていても足は自然と向いてしまうレストランというわけだ。
昨夏大改装をし、現代的な内装に模様替え。photo:Francis Amiand
オーナーシェフのジャン=マルク・ノトゥレ。スパイスに興味をもつ彼は、隠し味の大きな引き出しの持ち主である。遊び心をこめたシリアスな料理を作る。©Cécile Chabert
常連たちの人気料理のひとつは、アグリアのニョッキ。味の秘密はブロッコリー、トリュフオイル、パルメザン、チキンブイヨン、バター、クリーム、そして醤油とか。
メニューは毎日のように変わる。前菜例。手前は鯛のセヴィーチェ。奥はとうもろこしパン。
メイン例。グリルしたみかんを乗せた鴨。その下にカレー味の人参が隠されている。
デザートから。オレンジの花の風味が効いた軽いパスティーヤ。ミントティーのシャーベットと交互に口に。ランチ、ディナーとも、前菜+メイン+デザートで45ユーロ。
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INFORMATION
Caïusカイウス<17区>
6, d’Armaille 75017
01・42・27・19・20
CHARLES DE GAULLE ETOILE
12時〜14時30分、19時30分〜22時30分 休)土、日
テイクアウト可
réalisation:MARIKO OMURA
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