
夏向けの涼しげな陶器の意匠とは?
これは、村木雄児さんの大皿と取り皿の組み合わせ。
大皿は、三島手(みしまで)といって、うつわの表面に彫り模様を入れたのち、彫ったところに白土を埋め込んで装飾する技法。取り皿は、刷毛目(はけめ)といって、うつわの表面に刷毛で白土を塗ったダイナミックな跡を、模様としていかす技法で装飾されている。とくに刷毛目は、川や波を連想させるからか、涼しげで、夏向きのうつわとされている。
じっくり模様を掘り込む三島も、いさぎよく描く刷毛目も、作家の手の動きが如実に出るから、同じ技法でも作る人によって雰囲気がずいぶん違ってくる。つまり、見どころが多い。だからこそ気軽には選べきれないのだけれど、村木さんのそれは、格別。すっきりと軽やかで清々しいところが大好きだ。
とくに、黒をベースにした黒三島がかっこいい。揚げ物や餃子など、お袋の味的な献立にもよく合うし、刺身盛り合わせなんて最高に見栄えがいい。数年後に出合った五寸の取り皿は、刷毛の筆跡に品があり、何より黒三島と合わせると通好みなコーディネートになって、悦に入る。
【ある日のうつわ】
かつおのたたきのエンジ色をこれほど洒落て見せるうつわがあるだろうか。
揚げ物の取り皿にする日は、他のうつわもできるだけモノトーン。
オイル系パスタとの相性は鉄板です。
作り手:村木雄児
年代:2020年頃と2023年
購入場所:sumica 栖 @utsuwa_sumica
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