Mame Kurogouchiを通して、いま読みたい本の世界。

Culture 2021.10.18

ブランド創設10周年を迎えたMame Kurogouchi。これまでの軌跡を描いた本の出版に伴って、黒河内真衣子がセレクトした本から16 冊を厳選。いまの時代とリンクする4つのテーマで紹介する。


女性の身体を美しく引き立てるシルエット、繊細な刺繍、日本の伝統素材や職人の技と最新テクノロジーを融合させた製法。唯一無二の服づくり を続けるMame Kurogouchi。「服を作ることは小説を読む感覚に近い」というデザイナー黒河内真衣子が選んだ本は、夢と現を彷徨う私小説から日本人の美意識に触れるもの、生活に根ざしたクラフトのブックなど、すべてがブランドの血肉となっているようだ。

「本は常に隣にあるもので、呼吸をするように文字を追っています。描かれた世界に想いを馳せることは異なる世界へ旅することに等しく、その旅の中で見つけたカケラを拾い集めて日常へ招き入れることからものづくりが始まります」

小説を読みながら、コレクションを作り上げたシーズンもある。
「2017年のコレクションは、当時『新潮』に連載されていた朝吹真理子さんの『Time less』を毎週読みながら製作しました。小説に登場する鳥類学者の見た景色を見るために知床 まで行き、それが洋服になりました」

彼女には毎日持ち歩いているノートがあり、日常の些細なことやアイデアをメモしている。 「川瀬敏郎さんの『一日一花』は、時間の経過の尊さをあらためて感じられます。何でもない日も特別な日も変わらずに続けること、それがいちばん難しいけれど貴いと教えられました」

出身地である長野県の、諏訪市にまつわるルポルタージュ『諏訪式。』など、土地と人の思いが伝わるものづくりに関する本も多く挙げる。「身近なところで美しいものに出合えると幸せな気持ちになります。この国には名もなき名作が多 くあって、対話しながら製作に励んでいます」
本は、創作のインスピレーションを広げてくれ る欠かせない存在。呼吸をするごとく身体に取り込まれた本は服へと生まれ変わり、それを纏う人へ伝播していく。Mame Kurogouchiの世界を通して、いまを生きるヒントを得て。

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#01.他者と私の関係性を見直す。

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#02.生と死について考える。

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#03.日常の美学を磨く。

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#04.古いものから学ぶ。

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*「フィガロジャポン」2021年11月号より抜粋

photography: Masahiro Sambe styling: Yumeno Ogawa text: Junko Kubodera cooperation: ew.note, tmh.

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