【ミラノコレクションDay3】新しい視点を授けてくれるプラダと、美しいテーラリングを完璧な着せつけで魅せるマックスマーラ。

先日幕を閉じた2025年春夏コレクション。実際にショーを訪れたエディターのコレクションダイヤリーをお届けします! まずはエディターSachiko Tashiroによる、ミラノ日記をご紹介。

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今回のプラダは何かが違う!そう感じたのは、私だけではないのではないか。モデルたちのスタイルやメイクは統一感がなく、現実世界のようにさまざまな好みとスタイルの女性たちがランウェイを歩く。同じ型の靴を履いたモデルはおらず、全員がまったく違う靴を履いている。

さらに、懐かしい!と誰もが感じたであろう、靴は様々な時代のプラダの過去のアーカイブがランウェイに復活していた。(実際に、私が10年以上前に買って愛用していたレースアップシューズやベッコウのサンダルも登場。)インフィニットプレゼント(無限の現在)がテーマのプラダ。情報が溢れた現代、私たちは皆アルゴリズムで誘導されて選択している。好きなものを自分自身で選択し、自分軸で生きるというメッセージが込められている。変身したり、トランスフォームするスーパーヒーローの要素や、浮遊したドレスなど、現実世界ではありえないファンタジーな要素が散りばめられていた。イヴニングドレスにナイロンブルゾンを羽織るスタイルなど、行き先やシチュエーションが想像できない自由なイヴニングスタイルも。常に新しい視点を授けてくれるプラダの服が、私は大好きだ。

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バズを生むセレブを呼ぶでもなく、ショーの演出に凝るでもなく、純粋に服を見せることだけに集中したショーはいまでは貴重だ。美しいテーラリングを完璧な着せつけで魅せるマックスマーラのショーは、女性の美と服の関係性を真摯に追求しており、どこか崇高さすら感じる。レスイズモア、という言葉が相応しい。

過去、歴史的にも活躍にした女性にフォーカスを当てるマックスマーラ。2025SSは、数学者、哲学者、天文学者であるヒュパティアという4世紀の女性が着想源。ブラック、ホワイト、ブラウンのカラーパレットを基調に、ショルダーやウエストなど肌の一部があらわになるデザインが、テーラリングの新たな魅力を引き出した。

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ブランドらしいウィットに富んだスタイルを見せてくれたのはエムエム6メゾンマルジェラ。一見真っ白なインビテーションは鉛筆がセットになっており、薄いトレーシングペーパーをかさねて鉛筆で擦ると、絵柄が浮き出てくるというもの。ショーはデニムからブーツ、なんとモデルの髪の毛先まで(!)を白くペイントしたオールホワイトのルックが印象的だった。

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エンポリオアルマーニはやはりスーツスタイルがいい。フェミニンなスタイルも得意なブランドではあるが、ショーの序盤に登場したイタリアンクラシコなテーラリングを纏ったルックにとにかく痺れた。やはりアルマーニはこうでなくちゃ!と喝采を送りたくなったのは私だけではないはず。

フィガロジャポン副編集長。ファッション担当。愛車(自転車)で爆走する姿を、都内のあらゆる場所で目撃される日々。この夏は、素手でヤモリとカブトムシとコクワガタをむんずと捕まえられるようになった。真夜中に一人で湯船に浸かりながら、こっそりと読書をする時間が何よりのご褒美。今一番欲しいものは、好きな服が似合う身体。好きな野菜は豆と茄子、菌類はキノコ、細胞はマクロファージとキラーT細胞。

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