「サプライズがあるだろう」今季のファッションウィークが見逃せない理由とは?
Fashion 2025.09.24
ディオールの新クリエイティブディレクターはジョナサン・アンダーソン、シャネルにはマチュー・ブレイジー、そしてグッチにはデムナ。9月23日から10月7日にかけて、ミラノとパリでファッションウィークが開催される。ファッションの"ビッグバン"が起きたこの1年、いよいよ新たなる歴史が始まる。今季のファッションウィークは見逃せない。
マチュー・ブレイジーは10月6日にシャネルで初のショーを披露する。photography: Victor VIRGILE / Gamma-Rapho via Getty Images
この1年はファッション史上まれに見るほどクリエイティブ・ディレクターの交代が多かった。そして2026年春夏コレクションがいよいよ開幕する。ハイブランドに起用されたデザイナーたちの初コレクションで老舗メゾンの"新たな章"が始まるとあって、期待が高まらざるをえない。まずは9月23日から始まるミラノのファッションウィークに注目が集まっている。続く9月29日から10月7日までのパリ・ファッションウィークでもたくさんのサプライズがあるだろう。
ミラノ・ファッションウィーク
9月23日19時。バレンシアガに新風をもたらし、10年間活躍したデムナがグッチへ。今季は大規模なショーではなく、ミラノのドゥオーモ地区の中心で、音や動画を使った小規模なプレゼンテーションをおこなうそうだ。翌9月24日朝には、シモーネ・ベロッティがルーク&ルーシー・メイヤーの後任として、ジル・サンダーの初コレクションを手がける。グッチで地道に16年、その後バリーを率いて2年を過ごした実力派だ。
ルイーズ・トロッター、9月27日にボッテガ・ヴェネタで初コレクション。photography: Yanshan Zhang / Getty Images
ミラノの最注目のショーといえば9月27日のボッテガ・ヴェネタ。マチュー・ブレイジーの後任として就任したルイーズ・トロッターはラコステやカルヴェンのデザイナーとして活躍してきた。すでにボッテガ・ヴェネタのクリエイティブ・ディレクターとして今年のカンヌ映画祭でジュリアン・ムーアやヴィッキー・クリープスのドレスを担当し、5月にはキャンペーンも展開している。ファッション界が注視するのは、同ブランドを象徴する革加工技法である「イントレチャート」をどう表現していくのかという点だ。
そしてミラノコレクションの最終日、9月28日夜は感動の嵐となるだろう。9月4日に亡くなったイタリアの巨匠、ジョルジオ・アルマーニの最後のコレクションが、追悼ファッションショーとしておこなわれるからだ。
パリ・ファッションウィーク
9月29日に開幕するパリ・ファッションウィークは、70を超えるショーが予定される超過密スケジュールとなった。サンローラン、ルイ・ヴィトン、エルメスのショーへの期待も高まりつつ、新任ディレクターの初コレクションに注目が集まっている。最初の「ビッグバン」は10月1日、ジョナサン・アンダーソンによるディオールのウィメンズコレクションだ。2025年6月にメンズで初コレクションを披露し、トロント映画祭ではアニャ・テイラー=ジョイ、ヴェニス国際映画祭ではアルバ・ロルバケルのオートクチュールドレスを担当した。ロエベで活躍したアンダーソンはディオールでどんな「ニュールック」を見せてくれるだろうか。
ジャンポール・ゴルチエの新クリエイティブ・ディレクター、デュラン・ランティンク。初コレクションの発表は10月5日だ。photography: Victor VIRGILE / Gamma-Rapho via Getty Images
10月2日にはポルトガル出身のミゲル・カストロ・フレイタスがケイシー・カドウォールーダーの後任としてミュグレーでデビュー。有名ブランドで長年経験を積んできた。翌10月3日にはプロエンザ・スクーラーの創業デザイナーデュオ、ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスがロエベのクリエイティブ・ディレクターとして新境地に挑む。10月4日はグレン・マーティンスがメゾン・マルジェラで初のコレクションを披露する。このほか、同じ10月4日のピエールパオロ・ピッチョーリ(元ヴァレンティノ)によるバレンシアガのショーや、若手デザイナーのデュラン・ランティンクによる10月5日のジャンポール・ゴルチエの初コレクションも注目されている。同日のマイケル・ライダーによるセリーヌのコレクションは6月のプレコレクションに続くものだ。
新クリエイティブ・ディレクターのマチュー・ブレイジーはシャネルをどのように見せるのだろうか。写真はシャネルのアトリエによる今年7月のオートクチュールショー。photography: Launchmetrics/Spotlight
華麗なる終幕
クライマックスの10月6日20時に、SNSやネットは熱狂するかもしれない。シャネルの新クリエイティブ・ディレクターに昨年12月に就任し、世界中をあっと言わせたマチュー・ブレイジーの初コレクションがついに発表される。ボッテガ・ヴェネタで4年間、活躍したブレイジーが、この伝説的な「ココマーク」のブランドをどう解釈するだろうか。ブランドを頂点に導いた創業者ココ・シャネルや帝王カール・ラガーフェルドの何をどう受け継ぐのだろうか。ココマークやツイード、キルティングバッグ、カメリア等、プレヴェールの詩に出てきそうな同ブランドのアイコンがどんな登場をするのだろうか。目を見張るほどの驚きと、うっとりするほどの恍惚と、ゾクゾクするほどの感動を与えてくれるだろうか。答えはもうすぐ得られるだろう。
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text: Marion Dupuis (madame.lefigaro.fr)