【泡・赤・白・ロゼ/オレンジ】フィガロワインクラブ厳選! 手土産にベストなワイン12選。

Gourmet 2025.12.09

YOSUKE KANAI

今年も慌ただしく過ぎ、いよいよ年末年始。帰省やご挨拶、久しぶりに友人宅へ集まる機会が増えるこの時期は、「気の利いた手土産」選びに頭を悩ませる方も多いのでは? 楽しい食卓や会話に華を添えるワインは贈り物にもピタリ! しかし、専門店には無数のボトルが並び、どれを選べば正解なのか迷ってしまうことも......。

そこでフィガロワインクラブ副部長のカナイが4,000円から10,000円の価格帯で、物語のある華やかな12本のワインを徹底厳選! すべてのラインナップが今年実際に味わった太鼓判のボトルたちで、生産者に直接会って話を聞いたものも多数。

華やかなスパークリング、食卓を彩る赤ワインと白ワイン、そしてギフトに差がつくロゼ・オレンジまで、タイプ別に3本ずつご紹介します。

【最高の乾杯を彩るスーパークリングワイン3選!】

ピノ・ノワール100%で造られた、英国王室にも納品されるシャンパーニュ。

お祝いの華やかな席にふさわしいのは、泡の王様シャンパーニュ。シャンパーニュ地方南部、コート・デ・バールで一族経営を4代にわたって続けるポール・ダンジャン・エ・フィス。リュット・レゾネ(減農薬)で一族の畑で丁寧に育てられたピノ・ノワールを100%使したブラン・ド・ノワールは要チェック! 牡蠣の化石などを多く含む石灰質と泥灰質が混ざった「キンメリジャン土壌」で育つピノ・ノワールには、力強さと豊かな果実味に、綺麗な酸味がバランスよく備わっている。英国王室に20年以上納品されているという、実力も折り紙付きのボトルがアンダー10000円は見逃せない。ぜひ「晩餐会」気分満載で、レアなホタテやキャビアを合わせたい。


元ドン ペリニヨンの最高醸造責任者、フランチャコルタの名門に革命を起こす。

イタリアを代表する瓶内二次発酵スパークリングワイン、フランチャコルタ。同地が世界的に有名となった立役者とも言えるワイナリーが、1977年設立のベラヴィスタだ。創業者ヴィットリオ・モレッティの愛娘にしてワインメーカーのフランチェスカ・モレッティは2022年から、ドン ペリニヨンで28年間最高醸造責任者を務めたリシャール・ジョフロワをコンサルタントとして招聘。ノンヴィンテージの「アルマ」シリーズをリニューアル、2025年より発売が開始した。アルマ・アッサンブラージュはドザージュの量を減らしエクストラブリュットの辛口になったが、洋梨、モモのような柔らかなニュアンスは健在。グラスの中での味わいの変化も楽しく、コクもあり、酸味がキリリと余韻を引き締める。白身魚のムニエル、お正月なら魚介系の天ぷらがおすすめ!


お祝い感にあふれた、「巨峰」が生み出すロゼ泡を。

多くの日本人にとって「ブドウ」と言われれば「巨峰」を思い浮かべるのではないだろうか。巨峰は1942年誕生、交配の研究所があった伊豆から見える富士山の峰にあやかってその名を付けられた由緒のある名前だ。「日本のブドウで日本人が造る、和食に合うワイン」という1972年の創業以来の志を秘め、巨峰開植の地である福岡県久留米市田主丸の巨峰100パーセントで造られたロゼスパークリングワインが「和愛・YAWARAI」。あえてブドウの糖度を残し、巨峰らしい甘やかな香りを残す。そのためアルコール度数は11度と抑えめで、ブドウ本来の華やかな香りはワイン初心者にも受け入れられやすいだろう。個人的にはテーブルの上でも氷で冷やしながら、甘やかさの奥に酸味の切れ味を楽しむのがお勧め。お正月には錦雲の中を舞う鶴の絵を見ながら、おせち料理の出汁の旨味と甘みを味わって。

---fadeinpager---

【メイン料理に、華やぐ赤ワイン3選】

新年から縁起のいい、「復活」したブルゴーニュを味わって。

251205-wine-06.jpg
「エドゥアール・ドロネー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ"シャルモン" 2022」750ml ¥7,700(希望小売価格)/アルカン

1893年創業のエドゥアール・ドロネーだが、その道は決して平坦なものではなかった。5代目となるローラン・ドロネーが90年代、ディジョンの大学で醸造学を学びカリフォルニアで修行、家業を手伝い始めた矢先に先代当主だった父が病気に。まだ経験も浅くドメーヌを支えきれなかったロベールは泣く泣く畑を手放し、95年にフランス南部のラングドックへ移住、10年かけて自身のワイナリーを成長させた。2017年、「ワイナリーを買い直さないか?」と言うオファーを受け、ブルゴーニュにエドゥアール・ドロネーが復活!「私がブルゴーニュから離れた35年前、オート・コート・ド・ニュイは高地すぎて誰も注目していなかった」と、来日したローランは語る。気候変動のおかげで昼に気温が上がり夜に下がる、ピノ・ノワールの育成には理想の土地へと変化していた。フレッシュな果実味と酸味のバランスが良い、フランスのレストランでいちばんの人気を誇るキュヴェ「シャルモン」を手に入れよう。カツオの刺身、ブリの照り焼き、鶏肉、中華からローストビーフまで、合わせたい料理の妄想が止まらない。


海と山のテロワールが織りなす、大注目の女性醸造家のサンジョヴェーゼ

251205-wine-02.jpg
「キアラ・コンデッロ プレダッピオ・サンジョヴェーゼ 2022」750ml ¥4,950/ヴァンアミ

試飲会で初めて香りを嗅ぎ、口に含んだ瞬間に電撃が走った。ラズベリー、スミレ、森の香りが控えめながら品よく広がる。飲み口は穏やかで、落ち着いた酸味、柔らかで丸みのある微細なタンニン、最後にちょっと口を引き締めるミネラル感......。手がけたのは女性醸造家キアラ・コンデッロ。スター生産者が少ないエミリア・ロマーニャ州において、イタリアワインガイド「ガンベロ・ロッソ」の最高位トレビッキエーリを2015年の初リリースから2ヴィンテージ目で獲得した、気鋭のワインメーカーだ。粘土土壌に砂や礫質が混じるプレダッピオの丘は、アドリア海から20〜25キロ離れた環境。昼は海からの暖かい風、夜はイタリアを南北に貫くアペニン山脈からの冷たい風が吹き、ブドウは熟しながらも酸味を保ったエレガントな仕上がりに。コンデッロは手入れが大変で収穫量が低い成熟したサンジョヴェーゼの古木をあえて選び、ビオディナミ製法にチャレンジ。穏やかなタイプのサンジョヴェーゼの酸味は、実は焼いた伊勢海老やオマール海老によく合うと思っている。


注目の産地、エトナ。海抜760メールの高地で手がける赤ワイン

251205-wine-04.jpg
「シャラ 760メートリ エトナ・ロッソ 2021」750ml ¥9,900(参考小売希望価格)/アプレヴ・トレーディング

火山性の土壌が世界的に注目を集めるシチリア島、エトナ。自然派ワインの祭典RAW WINE TOKYOで初めて出会ったのが、香港生まれ、ロサンゼルス育ちのワインメーカー、ステフ・イムだ。高級レストランでソムリエとして働くうちにワイン造りを志し、カリフォルニア、フランスで修行を開始。2010年、高地のワインに興味を持っていたイムは1000メートルに迫る標高で造られるエトナを訪れるとこの地に魅了され、2015年にワイナリー「アジェンダ・アグリコーラ・シャラ」を創設。標高650~1520mの間に点在する畑ごとにテロワールを表現し、無農薬、自然に近いブドウ栽培を心がける。こちらのボトルは760メートルの高さで造られる地元品種ネレッロ・マスカレーゼを90%、ネレッロ・カップッチョを10%ブレンドしたエトナ・ロッソ。淡く華やかなワインからはレッドチェリー、バラ、そしてハーブと甘草の複雑な香りが。上品な酸味に豊かな果実味は、トマトと揚げナスを使ったパスタや煮込み、きめ細かいタンニンは赤身のステーキまでカバーできそう。

---fadeinpager---

【ワンランク上の白ワインで、パーティをランクアップ】

200周年を迎えた名門ドメーヌ、シャルドネのポテンシャルが凄まじい。

251205-wine-07.jpg
「ドメーヌ・フェヴレ リュリー・レ・ヴィルランジュ ブラン 2023」750ml ¥6,930/ラック・コーポレーション

1825年の創業から2025年で創業200周年を迎えたブルゴーニュの名門フェヴレ。7代目当主のエルワン・フェヴレが25歳で事業を引き継いでから20年の節目にも当たる。エルワンは就任から次々と改革を実現、若いうちは飲み辛く長期熟成させて初めて開く仕様だったワインを、早い頃から飲み頃を迎え、かつ長期の熟成も可能なスタイルへと変革、25年には完全にオーガニック認定を受けた。リュリー村の白ワインを当主エルワンと、懇意にしているレストランのソムリエと試飲した。スイカズラのような小さな花の香り、フレッシュですっきりとしている。ひと口含むとレモンのような爽やかな酸味の後に、白桃のすっきりした甘やかさ。「どこかにハチミツのようなニュアンスを感じる、とても上品な味ですね」とエルワンに伝えると「それがリュリーのテロワールの特徴です。余韻の最後に、ちょっと火打石のようなミネラル感もありませんか?」と返してくれた。少し冷やすなら魚介のカルパッチョや酢の物、温度を上げればホタテのソテーや白身魚のムニエルが欲しい。


登美の丘で生まれる、「日本らしい」白ワインを。

2025年9月からサントリー登美の丘ワイナリーに新しい醸造施設「FROM FARM醸造棟」が稼働した、という記事の中でも紹介したが、手土産として日本ワインを持っていくならぜひお勧めしたいのがこの1本だ。甲州は2010年に国際ブドウ・ワイン機構(O.I.V.)に日本固有のブドウとして初めて品種登録がされ、国際的に「Koshu」という表記で流通が可能なブドウ。糖度が上がりにくいためアルコール度数も低くなりがちなのが難しいポイントだったが、登美の丘ワイナリーでは区画ごとのブドウの特徴を見極め、糖度が高い高品質なブドウを収穫できるように。2023年のヴィンテージで初めて糖度20度という世界で流通する白ワインの基準を達成し、発酵後の度数調整のための糖分を添加することなく醸造ができた。和柑橘の香りにスパイス感、そしてちょっとした渋みを持つ独特の味わいで、塩の焼き鳥、寿司、天ぷらなど、年末年始のお正月料理に添えたい1本。


生誕50周年! イタリアで初めて樽熟成された白ワイン。

251205-wine-09.jpg
「ポミーノ・ベネフィッツィオ・リゼルヴァ 2023」750ml ¥9,500(希望小売価格)/日欧商事

1716年に「世界で最初の原産地呼称制度」と言われる線引きが行われた際、銘醸地として選ばれたうちのひとつがポミーノ。トスカーナで最も高い標高700m付近に畑があり、また1855年、女性当主レオーニア・デリ・アルビツィによってトスカーナで初めてシャルドネが植えられ、1878年のパリ万博では出展したワインが金賞を受賞。1973年、イタリアで初めて樽熟成させた白ワインの生産者となるなど、イタリアワインの歴史を牽引してきたワイナリーだ。2025年にリリースされたポミーノ・ベネフィッツィオ・リゼルヴァ 2023は、イタリア初の樽熟成ワインの誕生から50周年となる記念ヴィンテージ。標高が高い冷涼な土地で作られているため酸味があるものの、イタリアの豊かな陽光を受け熟度はかなり高い。黄金色の液体には白い花やオレンジピールの香りが漂い、樽由来か少し白胡椒のようなニュアンスも。アルコール度数はなんと14.5度だが、それを感じさせないエレガントさがある。タイの塩焼きやサーモンのグリル、ナッツ類を散らしたリッチなサラダなどにベストマッチ!

---fadeinpager---

【実は万能選手! 贈り物にもぴったりなロゼ/オレンジワインを】

パーティを盛り上げる「ロック」な天使の羽。

251205-wine-11.jpg
「シャトー デスクラン ロック エンジェル」750ml ¥4,455/MHD モエ ヘネシー ディアジオ

リゾート感や祝祭感、という言葉を考える時、南仏プロヴァンスを思い起こす。冬場も暖かく、ニースの浜辺には通年観光客が絶えない。そんな地中海性気候のプロヴァンスの名産が、軽やかに楽しめるロゼワイン。デイリーに楽しめるタイプももちろんいいけれど、年末年始の手土産にはぜひラベルもカッコいいこちらを選んでみて。シャトー デスクランの「ウィスパリングエンジェル」はアメリカでロゼブームを巻き起こした立役者だが、こちらのロックエンジェルはその名の通り、フレッシュな華やかさの中にちょっと硬質なミネラル感があって食事時にぴったり。柑橘の香る軽やかなグルナッシュとサンソー、ハーブのニュアンスもあるロール(ヴェルメンティーノ)のブレンドは、サラダから中華、魚、肉料理まで万能。冷蔵庫で冷やして置いてから、あとはテーブルの上で温度変化を楽しんでもOK!


明るい時間から飲んでもいい、反抗的な気分にぴったりのロゼ

2008年、若さが翳り始めたふたりの元パンクがナパの倉庫で「自然を台無しにしないように」、とDIY精神でワインを造り始めた。野生酵母、ミニマムな造り方、最小限のSO2、古樽、温度管理なし、そんなシンプルで正直なワインが圧倒的に飲みやすいのだから不思議だ。こちらはピノ・グリとピノ・ノワールを足踏みし、1日だけ果皮ごと放置して色調とテクスチャーを引き出し、ステンレスタンクで発酵。グラスに注げばイチゴ、ラズベリーの香りがブワッとたちのぼり、飲んでみるとグレープフルーツやライムの弾けるような酸味のあるフレッシュな味わい! 来日したワインメーカーのダンは、購入したボトルにサインを書きながら「ボトルから直接飲める形を選んだんだよ(笑)。ぜひ飲む時は明るい時間から始めてほしいな」とニコニコ。余韻は旨味が深いし酸味もあり、案外シイタケとかゴボウの煮物に合いそうと思いつつ、スナックをつまみながら飲んでもいいフレンドリーな味わい。家でのんびりできるタイミング、昼間からコルク抜きを使うチャンスかも?


午年に「馬ラベル」の縁起物ワイン! 紅茶感に癒やされて。

2026年を迎えるにあたり、縁起物を揃える人も多いのでは? ヨーロッパ文化圏、ラベルに馬のモチーフが使われることは多々あるけれど、このボトルに描かれた馬の絵はワイナリーオーナーの息子が7歳の時に描いたものだというのだから驚き! 「パパリ」とはジョージア語で「馬のたてがみ」のこと。近年注目を集める、ワイン発祥の地とも目されるジョージアのアンバーワイン(オレンジワイン)がおすすめ。土着の白ワイン系品種ルカツィテリを果皮ごと陶器製の巨大な甕、クヴェヴリで発酵。ジョージアのアンバーワインには濁ったものも多いが、パパリ・ヴァレーは清澄度の高いクリーンな仕上げにしているのも特徴。完熟したリンゴやドライマンゴーの香り、口に含むとアンズ、ハチミツにアールグレイの紅茶のようなふくよかさ......。旨味が後味を引く、ほっこりする味わい。お出汁を使った煮物系や、おせち料理にぴったりだし、ケーキやドライフルーツをつまんで午後のティータイムにも(笑)。

問い合わせ先:
ワインショップソムリエ https://wsommelier.com
エノテカ https://www.enoteca.jp/contact/index.html
巨峰ワイナリー https://www.kyoho-winery.com
アルカン https://www.arcane.co.jp
ヴァンアミ https://vinamis.co.jp
アプレヴ・トレーディング https://apurevu.jp
ラック・コーポレーション https://order.luc-corp.co.jp
From Farm Online Shop事務局 https://japan-wine.direct.suntory.co.jp
日欧商事 https://www.jetlc.co.jp
MHD モエヘネシーディアジオ https://www.mhdkk.com
マティルダドットワイン https://shop.matilda.wine/
モトックス https://www.mottox.co.jp

フィガロJPカルチャー/グルメ担当、フィガロワインクラブ担当編集者。大学時代、元週刊プレイボーイ編集長で現在はエッセイスト&バーマンの島地勝彦氏の「書生」としてカバン持ちを経験、文化とグルメの洗礼を浴びる。ホテルの配膳のバイト→和牛を扱う飲食店に就職した後、いろいろあって編集部バイトから編集者に。2023年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。

記事一覧へ

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest
当たっちゃってごめんなさい占い
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.