ウイルスと闘う世界のいま。#12 恒例の春のお祝い、アプリを使って今年もみんなで一緒に。

Travel 2020.04.12

文/稲石千奈美(在LAカルチャーコレスポンダント)

例年、ひな祭り後の春のお祝いはまず、春分の日の頃にあるペルシャ暦のお正月「ノウルーズ」。イラン出身の友人家族が毎年、ペルシャ料理を振る舞ってくれます。続いて3月下旬から4月にかけてあるユダヤ教の「パスオーバー(過越の祭)」とキリスト教の「イースター(復活祭)」。いずれも家族や親戚、友人と一緒に祝う大事な行事。アメリカではソーシャルディスタンシング規制で、すでに教会や寺院での集会が許されるべきか熱く論じられていますが、カリフォルニア州は基本的に、宗教リーダーたちも早くからオンライン礼拝に移行しています。

今年は外出禁止令で気軽にパーティはできないけれど、もちろん一緒に祝おうと、人気なのがZoom(ズーム)。ホストがいつものようにみんなをバーチャルパーティやディナーに招待しています。

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今年はZoomで勢揃いしたセダーの祝宴。背景をエルサレムにしたり、ツインピークス風にしたりの遊びも。

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回し読みで朗読するテキストも、デジタルなので意味不明の言葉は即検索可能。

パスオーバーは、旧約聖書の「出エジプト記」にもあるように、奴隷だったユダヤ人のエジプト脱出を祝う行事で「過越の祭」とも言われます。苦難と解放の物語を祝宴に盛り込んだセダーというディナーがユニークで、ハガダーと呼ばれるテキストをみんなで読みながら、問いかけあり、祈りあり、大人はワインを4杯飲むことが義務付けられ、子どもたちにはゲームもあって、楽しみながら大事なストーリーが伝承されていきます。

今年のセダーは4月8日。この会をもう20年以上続けている友人から送られてきたZoomミーティングのリンクで参加すると、いつもなら一堂に会する友人たちがそれぞれテーブルを揃えて画面に集合。ホストが物語の朗読をリードし、出席者はダウンロードリンクですでに送られているテキストを追いながら、指名されて一節ずつ朗読。物語に合わせてテーブルに用意された食べ物をひとつずついただきます。ユダヤ人の苦難の涙のくだりでは塩水に浸けたパセリ、急ぎ足での脱出でパンを発酵させる時間がなかったといえば無発酵のクラッカーを、奴隷労働で使ったであろう煉瓦造りの泥に似せて作るフルーツとナッツペーストや苦さの象徴の西洋ワサビなど、食べ物に意味があるのは日本のおせち料理のよう。

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物語の朗読に合わせて登場する象徴的な食べ物。この時勢で子羊の骨はそう簡単には見つからず、色鉛筆で描いて代用。

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発酵させている時間がなかった切迫感を伝える無発酵のクラッカー。何度食べても段ボールのような味しかしない。

1時間ほどの朗読の後は、ディナーパーティ。集まった12家族で例年のようにワイワイしたのでした。久しぶりのきちんとした服装は気分がシャキッと引き締まりいいものですが、Zoom会議の笑いのために下半分はパジャマパンツで参加でした。

4月12日は復活祭。いつもなら、復活祭のウサギが隠すカラフルに色付けされたゆで卵やお菓子を子どもたちが探す行事が公園や家庭であるのですが、今年は一緒にできません。近所の子どもたちが散歩中に見つけられるように、窓際にウサギのぬいぐるみやカラフルな卵を置いてみてはという呼びかけが回ってきたので、準備を。復活祭はパステルカラーが基調。外出禁止とはいえ、春色でのお祝いは続きます。

texte et photos : CHINAMI INAISHI, title photo : alamy/amanaimages

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