フランスワインと何が違う? イタリアの白ワインをジャーナリスト・宮嶋勲が解説!
知ってちょっとためになるワイン学習帖 2025.04.07
フィガロワインクラブがお送りする連載「ワイン学習帖」。品種編を超え、イタリアワインの奥深い世界をちょっと覗き見していきましょう!
vol.6 イタリア 白ワイン編
フランスとテロワールが異なるイタリアでは、独自の特徴を持つワインが生まれる。イタリアより北に位置するフランスの主なワイン産地が比較的冷涼な気候であるのに対して、「南の国」イタリアは温暖な気候と豊かな日照に恵まれている。ブドウは順調に育ち、完璧に成熟するので、イタリアワインは豊かな果実味と親しみやすい味わいがある。
イタリアは山が多い。北にはアルプス山脈が屏風のように連なり、半島の中央をアペニン山脈が貫く。そのためほとんどのワイン産地が山に近く、夜に山から吹き下りる冷気が温度を下げ、ブドウはフレッシュなアロマと酸を保持する。ストレートな果実の魅力にあふれ、しかもみずみずしい味わいを保つイタリアの白ワインは、地中海と山の出合いから生まれる交響曲なのである。
ニコラ ベルガリオ
ガヴィ ミナイア
NICOLA BERGAGLIO GAVI MINAIA
国・地域 : イタリア ピエモンテ
アルコール度数 : 13%
銘醸地ピエモンテを代表する、高貴な白ワイン。750ml¥4,752/アビコ(03-6407-9522)
イタリアは全州でワインが造られるが、南北に細長いので北と南では使われる品種も異なる。1861年に統一国家となるまではバラバラだったため、食文化もワインも多様だ。フランスの影響が強い北西のピエモンテでは洗練された高貴な白ワインが造られ、ガヴィはその代表。白い花、ジャスミン、ハーブのデリケートなアロマと、シャープで気品あふれる味わい。白身魚のカルパッチョとよく合う。
酸味 ●●●●◯
果実味 ●●◯◯◯
ミネラル感 ●●●●◯
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クズマーノ
シャマリス シチリアDOC
CUSUMANO SHAMARIS SICILIA DOC
国・地域 : イタリア シチリア
アルコール度数 : 13%
注目の品種を使った、南イタリアらしい一本。750ml¥2,750/フードライナー(0120-28-6683)
南イタリアは、料理もワインも気取らない素朴さが身上だ。ピッツァやトマトソースのパスタが誰からも愛されるように、シチリアのワインもひと口飲むと皆が好きになってしまう。いま最も人気がある品種、グリッロで造られる白ワインは「太陽の島」シチリアならではの弾けるような果実味と、ほのかに海を感じさせるミネラルが素晴らしい。躍進する若い産地シチリアを象徴する、勢いのあるワインだ。
酸味 ●●◯◯◯
果実味 ●●●●●
ミネラル感 ●●◯◯◯

今月の講師
宮嶋 勲
ワイン&フードジャーナリスト
東京大学卒業。ローマの新聞社に勤務後、ワインと食について執筆、講師や講演など幅広く活動。著書に『最後はなぜかうまくいくイタリア人』(日経ビジネス人文庫)。
ワインを自分らしく楽しみ、食卓や日々の生活をより豊かにしたい、そんな知的好奇心の高い人に向けた新しいコミュニティ。知識が身につくワイン講座や試飲イベントの開催、ワインアドバイザーによるコンテンツを日々発信中!
*「フィガロジャポン」2024年11月号より抜粋