BWAピッチ出場から2年、女性を支援するシェアオフィス来音が東広島市にオープン!
Society & Business 2025.08.14
2023年、フィガロジャポンBWAピッチコンテストで「女性たちが自分の可能性に気付き、挑戦を応援し合える場所にしたい」と語った田村かすみさん。その思いが実を結び、2025年8月14日、広島県東広島市に女性支援に特化したシェアオフィス、来音(くるね)がオープンを迎える。実家の元呉服店を再生した空間は、地域で挑戦する女性たちの相談とネットワークの拠点に。行政・地域・民間が交差する新たな共創のかたちが、いま動き出した。
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広島県東広島市にオープンしたシェアオフィス来音(くるね)。実家である呉服店の2階を改装し、温かみのあるスペースを設けた。
「保守的なこの街では無理だと言われた。でも、私がやってもいいんだと初めて思えた」
そう語るのは、BWAピッチコンテスト2023のファイナリスト、田村かすみさん。ピッチコンテスト本選に出場し、地元・東広島市の実家で、空き家となっている元呉服店の2階部分を「女性たちの始まりを支える場にしたい」という思いを発表した。
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BWAピッチコンテスト2023に出場した田村かすみさん。photography: Sakaki Mirei
あれから2年たった2025年8月14日。空き家となっていた田村さんの実家が、女性のキャリアと安心を支えるシェアオフィスとして生まれ変わった。開設日は自身が代表を務める一般社団法人Dynamic Heritage(ダイナミック・ヘリテージ)の創立からちょうど1年。空間の仕切りには家族三代の和ダンスを再活用し、ぬくもりと知恵が同居する空間に。
来音は、単なるオフィススペースではない。
気軽に立ち寄れるトークルーム、仕事に集中できる作業スペース、キャリアコンサルタントによるコンサルティングが受けられる個室などを完備。転職・復職・起業など、人生の転機にある女性たちが「自分の選択肢や可能性に気付き、互いに信頼し合える場所」として、少しずつ育てていく拠点になっている。
この取り組みは、東広島市が進める女性活躍政策とも深く連動。同市は近年、WOMANネットワークや共創型起業プログラム「円陣」、人材育成塾などを通じて、地域に根差した女性支援の拠点形成を加速。さらに今年度からは商工労働・女性活躍担当部長を新設し、女性が自分らしい働き方を選べる街づくりに本格的に取り組み始めている。
田村さんの思いがこもった来音は、女性のキャリア形成や就業支援に重点を置いたシェアオフィスとして、こうした行政の方針と重なり合う民間拠点でもあり、今後は市が実施する女性支援プログラムの開催場所としての活用も予定されている。
「自分の可能性に気付き、挑戦を応援し合える場所に」と話す田村さんの一歩が、地域の仕組みや街の風景を少しずつ動かし始める。
text: Ayumi Yasuda(Routusworks)