思いを言葉にして社会を変える、6人の女性起業家たち。【BWAピッチコンテスト2025リポート】
Society & Business 2025.08.20
「思いを言葉に」をテーマにしたフィガロジャポンBWAピッチコンテスト。4回目の開催となる今年は、国内外から過去最多となる約160件の応募を数え、7月11日にポットラックヤエスにて開かれた本選には6人のファイナリストが出場した。
▶︎【BWAピッチコンテスト2025リポート】思いを言葉にして社会を変える、6人の女性起業家たち。
自分で働き方を決められる社会を目指して。【プロフェッショナルアワード:大桃綾子】
家族で楽しみながら取り組める、防災ビジネス。【ドリームアワード:水野裕子】
医療的ケア者も、エンタメを楽しめる世界を創る。【オーディエンスアワード:上仮屋遥】
前列左から、ファイナリストのリヴィア清水夏子(Craftsmanship)、爪長季美(EUMIS)、プロフェッショナルアワードを受賞した大桃綾子(Dialogue for Everyone)、オーディエンスアワードを受賞した上仮屋遥(MIMSAPORT)、西崎実穂(PawsRelief)。後列左から、BWA事務局長の藤本淑子(フィガロジャポン編集部)、審査員の工藤七子(一般財団法人 社会変革推進財団(SIIF)常務理事)、阿座上陽平(ゼブラアンド カンパニー共同創業者)、浜田敬子(ジャーナリスト)、古川詩野(エクラアドバイザーズ代表)、山野千枝(一般社団法人 ベンチャー型事業承継代表理事)、五十嵐あき(フィガロデジタル編集長)
ドリームアワードは、大雨災害による緊急招集で来場できなかった現役消防官の水野裕子が受賞した。
今年のBWAピッチコンテスト応募者の事業内容はウェルビーイングや地方創生、社内起業、家業をよりよくする取り組みなど実に多彩だった。本選では6人の審査員と観衆が見守る中、6人のファイナリストたちが5分間のピッチを披露。自身の経験や感性を生かして社会の課題を発見・提起し、ビジネスの立ち上げや推進を目指す女性に贈られるドリームアワード、日常の課題解決に繋がり事業性の広がりが期待されるビジネスアイデアに贈られるプロフェッショナルアワード、視聴者の投票によって選出されるオーディエンスアワードの3つの賞が授与された。
開会の挨拶をするBWA事務局長の藤本淑子。2023年にピッチコンテストに出場した田村かすみが、東広島市に女性のためのシェアオフィス来音を今年8月にオープンさせたことを報告。
創業3年以内のビジネスを対象にしたドリームアワード部門のファイナリストは、現役消防官による親子向けの防災ビジネスを提唱する水野裕子、ペットの健康を守るためのデバイス・アプリ開発を目指すパウズリリーフの西崎実穂、エンタメとチャリティを掛け合わせて病気や障がいがあるに外出の機会を創出するミモサポートの上仮屋遥。創業8年以内を対象にしたプロフェッショナルアワード部門は、農作物の廃棄を活用した100%天然のレザー風素材を開発したエウミスの爪長季美、50代会社員の経験を外の社会で生かすための研修プログラムを提供するダイアローグ・フォー・エブリワンの大桃綾子、タンスに眠っている個人の着物を預かり、保管、メンテナンス、シェアリングをして職人技術を次世代へと繋ぐクラフトマンシップのリヴィア清水夏子。既成概念にとらわれず、生活の中で感じた課題をポジティブに解決へと繋げる6人の言葉が観客の心を動かした。
特別セッションでは三菱UFJモルガン・スタンレー証券の南里彩子が登壇。同社が2024年から実施する女性や多様なバックグラウンドを持つ起業家を対象とした伴走プログラム、ジャパン・インクルーシブ・ベンチャーズ・ラボ(JIVL)を紹介し、会場の一体感も高まった。
年々レベルアップするコンテスト内容に審査は白熱。審査員を務めたジャーナリストの浜田敬子はこう締めくくった。
「女性は社会の課題に敏感です。女性の起業家たちが、日本だけでなく、社会全体を変えていくと思っています」
---fadeinpager---
5 minutes Pitch
ファイナリストはそれぞれ特色のあるピッチを披露。
(左上から時計回りに)パウズリリーフの西崎実穂は、乳幼児の事故予防の研究者としての知識を生かし、ペットの健康課題に取り組む。 ミモサポートの上仮屋遥は、やりたいことを諦めざるを得ない医療ケアが必要な利用者たちの切実な状況を訴えた。 エウミスの爪長季美は、自社で開発するレザー風素材のバッグを披露。 ダイアローグ・フォー・エブリワンの大桃綾子は「自分のキャリアは潰しが利かない」と悩む50代のリアルな声を紹介。 思い出の詰まった着物のシェアサービスを展開するクラフトマンシップのリヴィア清水夏子は和装で登場。
ファイナリストたちを激励する審査員の山野千枝(右)と古川詩野(左)。
Special Session
特別セッションでは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ・サステナビリティ・オフィサーの南里彩子が、2024年からスタートした「Japan Inclusive Ventures Lab(JIVL)」の取り組みを紹介。
Special Thanks
ファイナリストのメイクアップ用に、いまを生きる大人の女性たちを応援する美容ブランド、SUQQU(スック)がアイテムを提供。
イベント終了後の懇親会では、モエ ヘネシー ディアジオよりヴーヴ・クリコ イエローラベルが、都光よりノンアルコールスパークリングワインのヴィンテンス スパークリング プレステージ ブラン・ド・ブラン、ヴィンテンス スパークリング プレステージ ロゼが提供された。
受賞者には、英国王室御用達のステーショナリー&レザーブランドとして知られるスマイソンより「Dreams And Thoughts」の刻印が表紙に施されたノートが贈られた。
Community
ファイナリストに向け、BWAコミュニティのメンバーが全面的にバックアップ。
日本女性起業家支援協会の近藤洋子(右)は、ファイナリストに向けて事業・プレゼンテーションのブラッシュアッププログラムを提供。
2023年にドリームアワードを受賞した堀口安奈が所属するヒア・インクが当日の会場の様子を動画に収めた。
当日のメイクアップは、23年にオーディエンスアワードを受賞したチーム・アスリート・ビューティーが担当。
Business with Attitude(BWA)とは?
フィガロジャポンが大切にしている自分の感性や美学で何げない日常を楽しむ「アールドゥヴィーヴル」という価値観をもとに、日本の女性の働き方やライフスタイルを、もっと多彩に豊かにしたいと、2021年から始まったプロジェクト。3つの活動を軸に展開。
▪︎ BWA Award
「こうあるべき」にとらわれない、自分らしい働き方、ライフスタイルを通して、社会に良いインパクトを与える女性を有識者審査員とフィガロジャポン編集部が表彰。2025年は「楽しみながら、舵を取る女性たち」をテーマに、次世代のロールモデルを選出し、2026年1月号(25年11月19日発売)にて発表予定。
▪︎ BWA Pitch Contest
2022年からスタートしたビジネスコンテストで、日常の課題にアプローチし、美しく豊かな暮らしと社会をもたらすビジネスアイデアを募集。事業規模ではなく、各人の起業の物語にフォーカス。受賞者のビジネスの発信をフィガロジャポンがサポート。24年には7組のファイナリストから3組が受賞。
▪︎ Seminar & Workshop
毎月1回開かれる定例オンラインセミナーでは、より良い明日を目指して多様な働き方を実践するロールモデルの活動や、豊かに働くためのティップを紹介。登壇者と視聴者がともに考え、学び合い、応援し合えるコミュニティの構築を目指す。フィガロマルシェやワインクラブと連携したイベントも開催予定。
*「フィガロジャポン」2025年10月号より抜粋
photography: Aya Kawachi styling support: SOÉJU makeup: Team Athlete Beauty text: Junko Kubodera