自分で働き方を決められる社会を目指して。【BWAピッチコンテスト2025受賞者インタビュー】
Society & Business 2025.08.20
「思いを言葉に」をテーマにしたフィガロジャポンBWAピッチコンテスト。4回目の開催となる今年は、国内外から過去最多となる約160件の応募を数えた。
7月11日、ポットラック ヤエスで開かれた本選には6人のファイナリストが登壇。その中からプロフェッショナルアワード、ドリームアワード、オーディエンスアワード受賞者に選ばれた、3人の女性起業家の姿勢に触れる。
【BWAピッチコンテスト2025リポート】思いを言葉にして社会を変える、6人の女性起業家たち。
▶︎自分で働き方を決められる社会を目指して。【プロフェッショナルアワード:大桃綾子】
家族で楽しみながら取り組める、防災ビジネス。【ドリームアワード:水野裕子】
医療的ケア者も、エンタメを楽しめる世界を創る。【オーディエンスアワード:上仮屋遥】
Professional Award
社会の課題解決に繫がり、今後の事業の広がりが期待できるビジネスに贈られる。
Dialogue for Everyone
大桃綾子 (Ayako Omomo)
会社にキャリアを預けたベテランの力で日本を変える、
50代からのインターンシップ。
大手化学メーカーに11年勤務した大桃は、お世話になった先輩が歳を重ねると元気がなくなっていくのを目の当たりにしてきた。
「50代の多くは会社にキャリアを預けてきた。実績はあるのに1社でしか経験がなく自信がない。転職や副業も遠いと感じている」
出産を機に転職し、独立志向の高い若手が多く在籍する企業で経営企画を担当。その時、自分自身も組織にとらわれていたと気付き、ずっと気がかりだった50代の会社員を元気にしたいと起業を決めた。対象は、次の仕事に踏み出せない40〜50代。地域企業など、これまでと異なる環境で、会社で培ってきた自らの経験を捉え直す「大人のインターンシップ」を開発・展開する。
受講後、社内異動や副業、移住にチャレンジなど、参加者の行動変容を起こす大桃のプログラムは、大手企業にも導入された。一方で、若者たちの将来不安を減らすことにも繋がっているという。
「定年は自分で選ぶもの。年齢で諦めず、自分で働き方を決められる社会になることを願っています」
農家へキャリアチェンジした男性の畑でインターン経験をした松永(右奥)は、その後、シニアの健康を支えたいと、トレーナー資格を取得中。
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Q1.事業を立ち上げたきっかけは?
新卒で入社した大手企業の50代の先輩たちが「俺の経験は潰しが利かない」と口を揃えて言っていたのがずっと心に引っ掛かっていました。その後転職先で、若手が自分の技術や得意分野を生かし独立していく姿を見て、50代の人にも会社で培ったキャリアが外の世界でも生きることを体感してほしいと思い、起業しました。
IT業界大手を渡り歩きマーケティングを極めた代(右から2番目)は、宮城県のミツロウを有効活用する女性起業家の山下(同3番目)とともに協業。
Q2.賞を受けて今後の目標は?
審査員や視聴者の方々に応援していただけて、勇気をもらえました。起業してから5年間、私たちは、次のステップへの最初の一歩を踏み出せないでいる50代の人たちのためのきっかけ作りを考えてきました。今後は、年齢で働く期間を区切るのではなく、自分で働き方を決められる社会を築くことを目指したいです。
大桃らが主催する研修は、法人だけでなく、個人からの申し込みも多いという。
Q3.働くうえで大切にしていることは?
自然体でいること。これまでリーダーは強くあるべきというモデルがありましたが、求められる理想像に自分を合わせる必要はないと思っています。苦手なことは苦手と発信して周りに助けを求められる、そんな自然体のリーダーがいれば仲間も働きやすくなる。自分を認めることで他人も許容できるのだと思います。
BWAピッチコンテスト2025 アーカイブ動画 *大桃さんのピッチは1:07:20〜。
*「フィガロジャポン」2025年10月号より抜粋
photography: Aya Kawachi styling support: SOÉJU makeup: Team Athlete Beauty text: Junko Kubodera