東京で食べるイタリア郷土料理。#10 【イタリア郷土料理】甘いラビオリ、チャルソンスとは。
Gourmet 2019.10.20
「フィガロジャポン」本誌11月号は、イタリア特集! それぞれが個性的な町や村がモザイクのように煌めく、イタリアの魅力がぎゅっと詰まった一冊です。オンラインでは、東京のイタリア料理店でいただける、イタリア10州の郷土料理をフィーチャー。フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州からは、シナモンや砂糖を使った甘いラビオリのような家庭料理「チャルソンス」を紹介。
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州「チャルソンス」
トラットリア・ダ・コヴィーノ(駒込)
「チャルソンス シナモンバターソースとスモークチーズ」¥1,700。小林シェフの作るチャルソンスは、松の実、レーズン、ホウレン草にリコッタチーズ入り。上からシナモンバターソースをかけている。
「フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の料理はかなり独特で、イタリア料理といっても日本の方にはちょっと違和感があるようですね」とは、駒込のイタリア料理店「トラットリア・ダ・コヴィーノ」のシェフ、小林寛陽(ひろはる)さん。
その言葉どおり、イタリア北東部、オーストリアとスロベニアに隣接するこの州は、国境に位置する場所柄、これらの国々の影響を強く受けつつ、独自の文化を形作っている。食に関しても同様で、その料理は、フリウリ地方伝統のフリウリ料理、ヴェネツィア・ジュリア地方のトリエステ料理にゴリツィア料理など、さまざまな食文化が混ざり合っているのも特徴のひとつだろう。
なかでも、山岳地帯のカルニア地区は独特で、ここの郷土料理のひとつ「チャルソンス」は、フリウリ=ヴェネチア・ジュリア州を代表する一皿となっている。この「チャルソンス」、簡単に言えば、シナモン、砂糖、燻製チーズ、ミントなどで味付けした甘いラビオリ、といったところだろうか。もとは家庭料理だったゆえ、そのレシピは多種多様。ジャガイモやレーズンを入れたり、なかにはココアやラム酒を入れるなど、いろいろなタイプがあるとのこと。
「牛頰肉の煮込みクミン風味」¥3,000。牛の頬肉を、しっかり炒めたタマネギやクミンとともに約4時間白ワインで煮込んだ一皿。添えてあるポレンタもフリウリではパンよりもよく食べられている。
また、「牛頰肉の煮込みクミン風味」のように、スラブ系の影響を受けてクミンなどの香辛料もよく使われるとか。ちなみにパルマと並び、日本でもよく知られているサンダニエーレの生ハムは、ここフリウリ地方が産地。各地で作られている生ハムの中でも最高級品とされ、毎年6月下旬の週末には生ハム祭りも行われるそうだ。
駒込の六義園近くの気さくなトラットリア。都内でも珍しいフリウリ料理を味わえる一軒だ。ちなみにフリウリ郷土料理尽くしのコース(¥6,000)は3日前までに要予約。チャルソンスのみ定番メニュー。
東京都文京区本駒込2-28-30
Tel. 03-6855-2214
営)11:30~13:30L.O.、17:30~21:00L.O.
休)木
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photos : HIROYUKI ONO, texte : KEIKO MORIWAKI