コエドビール醸造所レポート。 クラフトビールが生まれる現場へ潜入!

Gourmet 2019.07.24

フードライター小寺慶子さんが、コエドビールの東松山醸造所へ。何年も前から“地域活性”のためのビール造りを追求してきたコエドによる、この場所だからこそ実現できる画期的な取り組みをレポートします!

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埼玉県東松山市に位置する、コエド クラフトビール醸造所のエントランス。

coedo_kyara_80_54.jpg世界20カ国で親しまれる
「コエドビール」の醸造所へ!

 

都内の和食店でコエドビールと出合ってから早十数年。当時、日本のクラフトビールを扱っている飲食店はまだ少なく「コエドがある店はよい店」というレストラン選び(特に和食)の判断基準のひとつにもなっていた。いまでは世界20カ国以上で飲まれる“日本を代表するクラフトビール”として国内外のビール愛好家に親しまれる存在に。

有機農業に取り組む会社として川越で創業し、ローカルファーストという言葉がいまのように浸透するずっと前から“地域活性”のためのビール造りを追求してきたコエドの東松山の醸造所を訪ねてみた。

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かつて研修所として使われていた建築と設備を生かしながら改修。地域と建物へのリスペクトが随所に感じられる。

もともと大手メーカーの研修所として使われていた施設がリノベーションを経て、コエドビールの工場に生まれ変わったのは2016年のこと。それまで、ビールの醸造は川越市の福田と三芳町にある小さなブリュワリーで行っていたが、自然豊かな東松山での新たなスタートは、コエドビールのさらなる飛躍にも繋がった。

たとえば醸造所を見学しながら、クラフトビールをもっと身近に、そして深く知ることのできる「コエドビール学校」という取り組み。発酵から充填までビール造りのナマの現場を巡ることができるツアーは大好評で、告知があるたびに20名前後の定員はすぐに埋まるのだという。

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ブリュワリーを開放して、
ビールの醸造過程を公開する。


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16年のコエド クラフトビール醸造所の設立に伴い、最新鋭の設備を導入したという。

今回はコエドビールの代表、朝霧重治さんが特別ツアーをしてくれることに。普段は従業員以外、立ち入ることができない場所に潜入できるとあって“大人の社会科見学気分”もひとしおだ。かつての社員食堂は醸造チームによるビールの試飲場に、新人研修などに使われていたであろう会議室などは、醸造スペースとして生まれ変わり、ガラス窓越しにその過程を眺められるようになっている。

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発酵から熟成の行程。

「この場所ならば、自然と共生しながら100年、そのもっと先までビール造りを続けていくことができると確信した」と朝霧さんが言うように、敷地内に掘った井戸からは醸造用水を確保し、醸造活動で排出される水を浄化して自然に返す、という循環システムも構築し、サステイナブルなビール造りを実現している。

「単なる醸造所ではなく、地域交流の場としても機能させていきたい」とキャンプや花見など季節のイベントも定期的に開催。地元以外のコエドファン同士が集える場所としても今後、ますます盛り上がりを見せそうだ。

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天気と桜の開花に合わせて開催される「COEDO 花見 -Hanami-」。

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「野点(のだて)」をテーマに、満開の桜と、武蔵野の田園風景と一体となった醸造所を見ながらコエドビールを堪能できる。

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昭和50年代に建てられた、企業の研修所として使われてきた美しい建築を生かしながら、醸造所に改修。桜の木ももともとその場所に植えてあったものだ。

コエド クラフトビール醸造所
埼玉県東松山市大谷1352
Tel. 0570-018-777
www.coedobrewery.com
※イベントや工場見学の日程についてはウェブサイトで随時公開。

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coedo_benihana_80_54.jpg醸造所見学の後は、
コエドビールゆかりの場所へ。

 

ビール工場を見学し「コエドビールが飲みたい!」という気分が高まったところでちょうどお昼時ということもあり、朝霧さんが案内してくれたのは醸造所から車で20分ほど行ったところにある「国分牧場」が運営するカフェ・レストラン「KOKUBU FARM CAFE」。

ここで育つ国分牛の飼料にはコエドの麦芽のしぼりかすが使われており、赤身でしっかりとした旨味をたたえた牛肉をハンバーグやステーキなどで味わうことができる。もちろん、コエドビールは全ラインナップを揃えており、「ステーキには毬花、ビーフカレーには漆黒」というようにビールとビーフのペアリングができるのも楽しい。

ちなみにこのレストランでは加工肉の販売も行っており、店主の「このベーコンを素麺に合わせると絶品なんですよ」という言葉を信じて家で試してみたところ、未知のおいしさに感動!

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国分牧場では乳用種として知られるホルスタイン種を中心に、約130頭を飼育。飼料は改良を重ねた、安心安全な国分牧場オリジナルの配合飼料だ

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2014年からは、コエドのビールの仕込み工程で発生する麦芽のしぼりかすも飼料として活用。環境にも配慮するとともに、おいしい牛肉作りに繋げている。

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coedo_ruri_80_54.jpgバラエティ豊かな中華料理と
コエドビールが堪能できる店も。

 

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川越市にあるコエドビールのタップルーム「香麦」の外観。

今回は残念ながら訪れる時間がなかったが、川越市の醸造所「コエドクラフトビール1000ラボ」には、中華料理とコエドビールをゆっくり味わえるタップルーム「香麦(シャンマイ)」を併設。胡麻ダレ水餃子やスペアリブのチリガーリック炒め、エビのチリソース煮など、創意に富んだメニューが満載で、事前に予約をすればビールペアリングもできるという。

本州の梅雨明けも間近。川越が世界に誇るクラフトビールの世界を体感しに、文化と自然に育まれた“小江戸”へと足を運んでみてはいかがだろうか?

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工場内のレストランであることから、コエドビールの製造タンクを店内から眺められる。

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コエドビールの全ラインナップを生で楽しめるほか、ブリュワリー限定のビールを最速で飲むことができるのも魅力だ。

香麦-xiangmai-(シャンマイ)
埼玉県川越市福田59-1
Tel. 050-3477-0170
営)11:00~15:00、17:00~21:00(水〜金) 11:00~21:00(土、日、祝)
休)月、火 ※ほか不定休あり
KEIKO KODERA
フードライター。「フィガロジャポン」や「東京カレンダー」などさまざまな雑誌やウェブに執筆。台湾出張の際、クラフトビール人気の過熱ぶりにびっくり。日本ではクラフトビールと料理のマリアージュにも興味津々。

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自由な発想で夫婦が営むクラフトビール&カレーの店。

réalisation : KEIKO KODERA

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