わざわざ食べに出かけたい。廃校を再生した宿で出合う気鋭シェフの料理とは?【石川県小松市|オーベルジュ オーフ】
Travel 2025.04.01
旅の楽しみといえば、その土地ならではのグルメ体験。地元食材を生かし、創造的な料理と丁寧なホスピタリティでゲストをもてなすオーベルジュを目的地に、グルマンな旅の計画を立てよう。
オーベルジュ オーフ
[ 石川県 ] 小松市
隣の田んぼで収穫できる蛍米はオーフの料理に登場。宿は小松空港から車で約30分の場所にある。
野山に実る素朴な食材を、洗練のコースでいただく。
過疎化で廃校となった旧西尾小学校再生のため2022年にオーベルジュ オーフは誕生した。図書館や教室は日華石を採石した観音下石切り場跡を望むゆったりした客室に、職員室はレストランに変わり、アーティスト小川貴一郎の作品が彩る。宿の注目は地元小松の恵みを存分に生かす食事だ。
スイートルームは元図書室。2018年、フェンディが選ぶ世界のアーティストにも選ばれた小川貴一郎の作品が並び、自ら壁や床に直接ペイントした特別仕様。館内の作品は購入可能。
ルームサインはクラス名。
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総料理長として声がかかったのは、注目の若手シェフ糸井章太。かつてフランス・アルザスの3ツ星レストラン、オーベルジュ・ド・リルで修業していた。
「旅の目的になるようなレストランで、週末は200名ほどの客が片道1〜2時間かけて来る。町の経済の中心。日本も同様に土地ごとの食文化があり、それを生かせる料理人がいる。小松で挑戦したいと思いました」
総料理長の糸井章太。2018年、日本最大の料理人コンペテイションRED U-35で当時26歳、史上最年少でグランプリを受賞。
宿の隣には日本酒を造る農口尚彦研究所。白山の湧水を仕込み水に使用する。湧水はオーフの料理に分けてもらうことも。
ラウンジでは薪ストーブが静かに音を立て、暖かく客を迎える。4月からは景観を楽しむピクニックスタイルの朝食「里山モーニング」プランがスタート。
オーフの料理は地産地消が基本だ。提供される食材は、地元の契約農家のものはもちろん、春には近くの山へスタッフ総出でキノコ狩りや山菜採りへ出向く。
「山菜が採れる場所はだいたい覚えましたが、キノコは見つけるのが難しい。栗は体育館裏で採れるんです」
シェフを筆頭にスタッフは20代や30代が多く、エネルギッシュ。ディナーのサーブをするスタッフは、コース途中に提供される栗の鬼皮の酵母を使用したパンの酵母作りを担当。採集から携わるからこそ、自然と料理の説明にも熱が入る。白山の湧水と山、海に恵まれたここは天然の食の宝庫。「野菜は淡くて力強く、余韻がある」と話す糸井シェフの作る料理はフレンチをベースに、季節ごとにゆるやかに変わるおまかせコース12品。軽やかで楽しい仕掛けに満ちた、わざわざ食べに行くべき一皿が待っている。
























オーベルジュ オーフ
石川県小松市観音下町口48
0761-41-7080
全12室 全室バスタブ付き
コンフォート1名¥37,500~、ジュニアスイート1名¥52,000~、スイート1名¥85,900~(すべて1室2名、2食付き)
レストラン
営)18:00~19:00L.O.(木、金)、12:00~12:30L.O.、18:00~19:00L.O.(土、日、祝)
休)月~水
要予約
https://eaufeu.jp/
立ち寄りスポット
ステイの翌日はココへ!
穀雨
オーベルジュ・オーフのラウンジカフェで人気のグルメバーガー。そのバンズを特注で手がけているのが穀雨だ。宿から車で約10分、朝食前に行くのがおすすめ。
金沢の人気ベーカリーが小松へ。
金沢で開業して8年、2022年に小松へ移転した人気のベーカリー穀雨。北海道産小麦を使用したパンは惣菜から菓子、自家製酵母によるハード系まで定番の40種のほか季節のパンが並ぶ。週末は朝8時のオープン前に列ができ、昼過ぎには売り切れに。早起きして出かけたい。
店主山本のおすすめは「クロワッサン」(¥220)。四つ葉の発酵バターを使用し、香ばしさとザクザク食感が自慢。
人気メニュー、桃のコンポートとオレンジ、クリームチーズがたっぷり入った「クリームチーズ フランス」¥300
*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋
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photography: Tomoko Arai