フランスBWA賞:世界を変える女性起業家を選出!
Society & Business 2023.04.26
2023年、フランス「マダム・フィガロ」のBusiness with Attitude賞の栄冠に輝いたのは、Innovafeed共同創業者のオード・ギュオ。読者からの投票で選ばれるパブリック賞は、Molliを率いるシャルロット・ドゥ・ファイエの手に渡った。4月20日、パリ3区のデジタル美術館「ゲテ・リリック」を舞台に盛大に催された最終決戦。女性たちは世界をいまよりずっといい世界に変えることができる。そのことを改めて証明する機会となった。
ステージで審査員団を紹介するフランスのマダム・フィガロ副編集長モルガンヌ・ミエル。ピッチを終えた候補者には審査員団との質疑応答が待っている。(パリ、2023年4月20日)photography: Paul Blind / Say Who
時代に奥行きをもたらすものとは何だろう? あらゆる計画を覆す地球規模の危機の最中で明日を創り出し、頭を上げて試練に立ち向かい、新しい解決策を生み出す。そんな女性たちの想像を絶するエネルギーもそのひとつだ。
未来は暗く、何もかも絶望的だと言う人もいる? 彼女たちはこう答えるーーそれは違うわ。なぜならほら、私たちはこんなことをしてみせる!
4月20日の夜、ポンピドゥセンターにほど近いゲテ・リリックで、毎年恒例となったフランスのマダム・フィガロBusiness with Attitude賞(1)の授賞式が開催され、5人の素晴らしい女性たちが会場を熱くした。
彼女たちの名前をしっかり覚えておこう。100年の歴史を持つ高級ニットブランド「Molli」を引き継ぎ、再生させたシャルロット・ドゥ・ファイエ。過剰消費と浪費の抑制に役立つデジタルツール「MyTroc」を開発したフロリアンヌ・アダド。家畜やペットの餌や肥料となるアブを養殖する「Innovafeed」のオード・ギュオ。建設業界への転職希望者を対象とする職業訓練学校「Gustave」の校長を務めるマリー・ブレーズ。量り売りのシステムでゼロウェイストを身近なものにすることを目指す「Drive tout nu」のサロメ・ジェロー。
【関連記事】2023年のBusiness with Attitude賞ファイナリスト5人の横顔。
今年のBusiness with Attitude賞を受賞したのはオード・ギュオだ。読者投票によるパブリック賞はシャルロット・ドゥ・ファイエの手に渡った。緊張と感動に満ち、希望と知的興奮に彩られた、見どころ満載の授賞式の模様を振り返ってみよう。
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スケールの大きなピッチ
舞台裏で討議する審査員団。緊迫した雰囲気の中で投票が行われた。(パリ、2023年4月20日)photography: Sheraz Debbish / Say Who
19時30分、主に企業、コミュニケーション、クリエイション業界から招かれた350人のゲストが大ホールに入場する。マダム・フィガロ・ビジネス部門編集長モルガン・ミエルの司会でスピーカーが次々と登壇する。マダム・フィガロ企画担当のローラ・プルアールが、変革をもたらすビジネスと尊敬に値するリーダーシップを讃えるこのアワードについて、改めて紹介。次に、投資計画「フランス2030」投資担当事務局長のブリュノ・ボネルがファイナリストたちへの支持を表明する。
そして、いよいよ第7回Business with Attitudeの5人のファイナリストたちの出番。彼女たちはこれからひとりずつピッチに挑む。審査員団を前に自らの経歴と企業の軌跡を説明するのだ。
ファイナリストたちは、このピッチに向け、マルティーヌ・ギヨー(1)のコーチングを受けてきた。ファイナリストたちのピッチからは、彼女の力量がうかがえる。Business with Attitude賞の舞台でピッチを行うこと、それは、自分の力と疑問をさらけ出し、プロジェクトを大地にしっかりと植えつけ、複雑なイノベーションや大胆な事業の内容をわかりやすい言葉で説明することだ。それぞれに個性的なファイナリストは、腕まくりをして数字を並べる。舞台の一角に陣取った手厳しい審査員たちの質問に答える。いずれも気丈さと綿密な戦略を持った起業家たちだ。
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ふたりの受賞者は産業界とファッション界から。
Business with Attitude賞を受賞したInnovafeed共同創業者のオード・ギュオ。(パリ、2023年4月20日)photography: Sheraz Debbish / Say Who
最終決戦を制したのはオード・ギュオだった。Innovafeedの共同創業者である彼女は、フランスやアメリカですでに傑出した産業人としての地位を確立している。世界的な規模に発展しつつある、参入も多い昆虫養殖市場に目覚しい進出を果たしていることが最終的に評価されたとはいえ、女性エンジニアや女性科学者がトップに立って明日の変革を牽引できることを証明する存在であることも支持を集めた。「すべてゼロから作り上げました」と、中国出身でフランス育ちの36歳の彼女はこれまでの軌跡を振り返った。
また、2500人以上の一般ユーザーがインターネット投票に参加した今年のパブリック賞は、繊細さと着心地のよさで多くの人を魅了しているブランドMolliを率いるシャルロット・ドゥ・ファイエに渡された。
Molliのオーナー兼経営者のシャルロット・ドゥ・ファイエ。(パリ、2023年4月20日)photography: Sheraz Debbish / Say Who
再びゲストが演壇に上がる。Sista共同創業者で共同代表のタチアナ・ジャマは、次のように述べて列席者に衝撃を与えた。「雰囲気を壊すことになりますが、この2年間でベンチャーキャピタルにおける女性の資金調達がどの程度かご存知ですか? 2%。たったそれだけです」。そしてこう続けた。「資金援助をするのは、女性たちを助けるためではありません。彼女たちが独自の事業を通して、私たちに提供する絶好のチャンスを掴むためであり、彼女たちの味方となってお金を稼ぐためです。なぜならここにいる女性たちはお金を稼ごうとしているのですから」
ここでブレイクタイムが入る。ブレスワークのエキスパートとして名高いスーザン・ウバリ(3)が舞台に登場し、アメリカ人らしい才能を発揮して列席者を先導し、身体の緊張を解き、精神を開くための呼吸法を紹介する。
ゲテ・リリックの舞台に登場したブレスワークと呼吸法エキスパートのスーザン・ウバリ。photography: Sheraz Debbich / Say Who
「女性起業家たちが話題を独占する日が来ますように。フランスはまだ女性起業家の数が足りません」という言葉でモルガンヌ・ミエルは授賞式を締めくくった。
フランスのマダム・フィガロはこれまで以上に女性起業家へのサポート活動を続けて行く。より回復力のある、革新的な、人類と生命全体の未来を考える世界を実現するために。
そして、フィガロジャポンBusiness with Attitudeも、その想いを分かち合っている。
>>フィガロジャポンBusiness with Attitudeの取り組みについてはこちらから。
(1)本賞は下記の企業の協賛を得て運営されています。フランス郵便局 La Poste、EY、ネスプレッソ、グーグル、BNPパリバ、エンジー、レディ ・バンク・バイ・オッド BHF、Bpifrance、フランス2030、メシカ。
(2)マルティーヌ・ギヨーは女優、歌手、雄弁術コーチ。『あなたも発言することが好きになる』(ロベール・ラフォン出版、211ページ、19€。fnac.comで購入できる。
(3)susanoubari.com
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第7回 フランス Business with Attitude賞 授賞式
Business with Attitude賞の5人のファイナリストたち。Molliのシャルロット・ドゥ・ファイエ。Le drive tout nuのサロメ・ジェロー。MyTrocのフロリアンヌ・アダド。Innovafeedのオード・ギュオ。Ecole Gustaveのマリー・ブレーズ。
photography: Sheraz Debbich / Say Who
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受賞者のオード・ギュオ。ピッチの後で審査員団の質問に答える。
photography: Sheraz Debbich / Say Who
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審査員団はステージ上でファイナリストたちに質問する。
photography: Sheraz Debbich / Say Who
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Business with Attitude賞を受賞したInnovafeed共同創業者のオード・ギュオと、パブリック賞を獲得したMolliのオーナー兼経営者のシャルロット・ドゥ・ファイエ。
photography: Sheraz Debbich / Say Who
text: Viviane Chocas (madame.lefigaro.fr)