フィガロジャポンBWAアワード2025、今年のテーマは「楽しみながら舵を取る女性たち」。
Society & Business 2025.12.24
2021年から始まったフィガロジャポンBusiness with Attitude(BWA)アワードは、自分らしい働き方を通して社会や周りの人に良いインパクトを与える女性たちを讃えるプロジェクトだ。
5回目となる今年は「楽しみながら舵を取る女性たち」がテーマ。仕事も人生も自ら舵を取り、困難な場面でも楽しむことを忘れず、仲間とともにより良い未来に向かって進む4人の受賞者が選出され、フィガロジャポン2026年1月号でそれぞれの取り組みが紹介された。
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左から、BWAアワード2025受賞者のほっちのロッヂ共同代表・藤岡聡子、フジワラテクノアート副社長・藤原加奈、ジンギスカン料理店、成吉思汗だるまの総務部長・金天憓、アマテラス代表取締役社長・佐藤マクニッシュ怜子。衣装提供はフェラガモ。
12月12日、恵比寿ガーデンルームで開催されたBWAアワード2025の授賞式と懇親会は例年にもまして熱気を帯びたものになった。全国から選ばれた4名の受賞者、夏に行われたピッチコンテストのファイナリスト、定例セミナーの登壇者、審査員らが一堂に会し、懐かしい顔ぶれや新しい仲間と情報を交換し合いながら、仕事への向き合い方を共有した。
第一部ではフィガロジャポン編集長・森田聖美が4人のアワーディへ賞状を授与。記念品としてヴーヴ・クリコ・ラ・グランダム、スマイソンのノートが贈られた。その後審査員を務めたゼブラアンドカンパニー共同創業者の阿座上陽平、一般財団法人 社会変革推進財団の工藤七子、建築家の永山祐子からの祝辞が読み上げられ、受賞者の活躍を褒め讃えた。
また会場に駆けつけたジャーナリストの浜田敬子からは力強いエールが送られ、フランス「マダムフィガロ」のBWA責任者であるモルガン・ミエルからもビデオメッセージが届けられた。

「楽しみながら働くということは、人生そのものが楽しくなると言っても過言ではありません」と話すフィガロジャポン編集長の森田聖美。

会場に駆けつけた審査員の浜田敬子からは「今年のアワーディのみなさんはとても大きなテーマに挑んでいる。大勢の人を巻き込んで、少しでも日本社会の課題を解決してほしいと思います」とのコメントが。

フランス『マダムフィガロ』ビジネス担当編集長のモルガン・ミエルからはビデオメッセージが届いた。「従来の組織では、女性は能力があっても男性の指示を受ける側に置かれがちでした。だからこそ自ら判断し、道を切り開く女性を応援したいのです」と語った。
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壇上では4人のアワーディが受賞の喜びを語った。

ひとり目の藤岡聡子は暮らしにおける医療のあり方を問い直し、新しい形で実装する「ほっちのロッヂ」共同代表を務める。軽井沢を拠点に医療・福祉・地域づくりを繋ぐコミュニティを展開。いくつになってもどんな症状でも、地域の一人ひとりが最後まで自分らしく生きられるサポートを提供する場を、医療従事者や住民と共に築き、地域と社会にインパクトを与えている。
「人生を最後の瞬間まで自分らしく生き切るために、すべての人が自信を持って生活できる場をつくりたい」と話した。
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ふたり目は岡山市で麹を作る装置や醸造機械を製造・開発するフジワラテクノアートの副社長として奮闘する藤原加奈。男性社会だった現場で働き方改革を進め、女性の管理職への動きを後押しし、誰もが生き生き働ける会社づくりを実現している。
「会社経営は業績拡大が目的になりがちですが、私は業績は結果だと思っています。日本の99%を占める中小企業を元気にしていくため、企業をいまの時代に合わせてオーガナイズすることが必要です」と意気込みを語った。
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3人目のアワーディは札幌発祥の人気ジンギスカン料理店、成吉思汗だるまの総務部長を務める金天憓(きんちょね)。アジア圏を中心に多くの外国人スタッフが活躍する店を支えるべく、家業を継ぐことを決意した。
「今日の受賞は私ひとりの受賞ではないと思っています。一緒にだるまを作ってきた外国人の仲間や日本人社員の皆さんとともに、文化や生活習慣の違いを壁とするのではなく、スーパーチームを作り上げていきたいです」
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4人目の佐藤マクニッシュ怜子は、ライフスタイルブランド、アマテラスの創業者。思春期に海外で過ごした経験やモデルとしての活動を通じ、日本人が自国の価値に気づいていないことや、女性の自己肯定感の低さを感じ、日本女性をエンパワメントするため起業。今年から空間ブランディング事業も開始し注目を集めている。
「大学4年生の頃、経営のことは右も左もわからず始めたのですが、ずっと大切にしているのは自分の信念をぶらさずに楽しむこと。私自身の活動をSNSなどで発信することで、多くの女性に力を与えられたらと思っています」
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今回のアワードでは、「私らしく、ポジティブに働くための羅針盤。」と題し、女性が楽しみながら働けるようサポートしてくれるサービスやアイテムをBWA事務局が選出。うち8つの事業の担当者が来場し、壇上で商品やサービスについての1分スピーチを行った。さらに会場では、協賛スポンサーであるレクサスが「LEXUS LBX」を展示。実際に座り心地を体験する場を提供した。

女性が楽しみながら働けるようサポートしてくれる8つのサービスとアイテムが会場に展示・紹介された。8つの事業者はそれぞれ1分間のスピーチを壇上で披露。

会場にはLEXUS LBXとLEXUSが提案する新しい旅の形「TOUCH JAPAN JOURNEY」の動画が展示された。
BWAではアワードのほか、ピッチコンテスト、オンラインセミナーを通じて、自分らしい働き方を実践する人々のコミュニティを形成している。今回の賞状授与式では、「ビジネスを続ける先輩方からリアルな話が聞きたい」というコミュニティメンバーの声を受け、BWAアワーディの先輩たちを招き、「楽しみながら舵を取り続ける秘訣」と題したトークショーもあった。
2023年の受賞者で、俳優として活躍すると同時に農業と福祉、地方と都市を繋ぎながらおいしいものを食べ続けられる環境づくりを目指すアグリコ代表・小林涼子、同じく2023年受賞者でファッションブランド、ソージュを展開するモデラート代表・市川明日香、2024年受賞者で女性向けのオンラインITブートキャンプを展開するMs.Engineer代表・やまざきひとみの3人が登場した。
3人は、BWA受賞後、さらに大きく事業を飛躍させている。小林は「農業、福祉、食」に加え、アート事業も開始。「福祉というのは大きな意味で人々の幸福を目指すもの。疲れている人にアートで心の栄養を届けたい」と話す。
一方、「ちょうどいい速さで働ける会社」を目指す市原は、新たにオールジェンダーラインを始動。組織運営の工夫として、直近立ち上げた「社内タイミー制度」に触れ、「業務体験を通じて相互理解を深め、部署間のコミュニケーション活性化に役立てていく狙いがあります」と語った。
女性のIT人材育成と男女の賃金格差の解消を目指すやまざきは、今年業績を大きく伸ばし、ニューヨークでのビジネスピッチにも挑んだ。
「最近では新潟の三条市からお声がけいただき、地域の女性を高度I人材に育成する取り組みを行っています」
事業内容もさまざまな3人だが、経済性と社会性という両輪で仕事を進め、やりがいを感じながら楽しみを見出している姿が印象的だった。

「楽しみながら舵を取り続ける」をテーマにしたトークショー。左から ファシリテーターでBWA事務局長の藤本淑子、アグリコ代表の小林涼子、モデラート代表の市原明日香、Ms.Engineer代表のやまざきひとみ。
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第二部の懇親会では昨年のBWAアワードの受賞者で、今年ピッチコンテストの審査員も務めた一般社団法人ベンチャー型事業継承代表理事の山野千枝が乾杯の挨拶を行った。
各テーブルではコミュニティの輪を広げるべく、昨年同様、「自己紹介エレベーターピッチ」を開催。エレベーターの中で偶然出会った人に対して、短い時間で自分のビジネスをアピールするというものだ。すでに顔馴染みの人も初対面の人も、互いの事業について意見を交換し合いながら会場は大いに盛り上がった。

第2部の懇親会で乾杯の挨拶を務めたのは昨年BWAアワードを受賞したベンチャー型事業継承代表理事・山野千枝。「見えない敵と闘っている毎日ですが、カオスを楽しんで乗り越えましょう!」とスピーチし、会場を沸かせた。

バーカウンターではエノテカ提供による「ムートン・カデ・フレッシュ・オーガニック」シリーズ(左)のほか、「ピエール・ゼロ」のノンアルコールワイン(右)も。

ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット(左)と、今年のアワードのテーマ「楽しみながら舵を取る」から海をイメージした鮮やかなフィンガーフード(右)も会場を華やかに盛り上げた。
フィナーレとなる抽選会では、受賞者が所属する企業をはじめ、前述の8事業者から提供された魅力的なプレゼントが贈られた。
閉幕の挨拶を締めくくったのはBWA事務局長の藤本淑子だ。
「フィガロジャポンはこれからもビジネスの裏側にある自分らしいアティチュードを応援していきます。大変なこともしんどいことも乗り越えて、来年もまたこの場でお会いしましょう」との言葉を合図に、参加者たちは名残惜しそうに会場を後にした。
大きな海原に漕ぎ出した彼女たちの背中には、自信という名の、見えない翼がついているようだった。

新たな出会いと繋がりを共有し、会場は熱気に包まれた。
photography: Aya Kawachi text: Junko Kubodera




