【ニッポンの性】2組に1組がセックスレスの現代。セックスセラピストが伝授する、乗り越え方って?

Lifestyle 2024.03.23

最近の調査で、30代の夫婦の約50%、40代の夫婦で約60%、日本の夫婦はセックスレスだというデータを見かけた。2組に1組はレスになる現代。レスにならないためにできることは? そしてもしもなってしまったら、どう乗り越えるべきなのか? 性のカップルカウンセリングを行なっているセックスセラピストであり、女性用性感エステをはじめ女性の性をサポートする、「月の光」主宰の髙森由香さんがその秘訣を伝授。

セックスへのダメ出しは、第三者を使ってみる。

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セックスレスの原因を探った【ニッポンの性 vol.8】で触れた通り、女性側レスに多かったのが、「セックスが気持ち良くない、もしくは痛い・不快」というもの。その不満をうやむやにしたままでいると、性生活が苦痛になりセックスを拒んでしまう。しかし相手は拒まれる理由がわからず傷つくという悪循環が発生。そうなる前に「自分が望む気持ち良いセックスへ導く」ことが大切だ。しかし、どうやって?

「相手にセックスの不満を伝えたいときは第三者を使え」と髙森さん。ストレートに伝えると、男性は自分のセックスがダメ出しされているように感じてしまう。「男性は女性よりも繊細です。だから、『そう言えばこの前女性誌のセックス特集で書いてあったんだけど......』などと、自分ではない女性全般(第三者)の意見として、あなたが伝えたいことをパートナーに伝える」のだ。

例えば「この前女性誌のセックス特集で書いてあったんだけど、『パートナーとのセックスで痛いと感じたことはあるか?』の質問に関して、約9割の女性が『ある』って答えてて、私もビックリしたけど、私もたまにあるから分かる......ビックリだよね~」のように女性全般の意見だという事を強くアピールして、そこに自分もそうだと乗っかるように伝える。質問内容や数字は、自分で勝手に決めて大丈夫。「ただし、100%はあり得ないので使用しないで」(髙森さん)

話を切り出すタイミングはベッドの中にいるときやダイニングテーブルに向かい合って座っているようなときに改まってでははなく、あなたがキッチンに立っていて、リビングに座っている夫の背中を見ているようなシチュエーションが望ましい。あくまで自然な流れを装い、ポイントは、その話が終わったらあっさりと終わらせる。二度と蒸し返したりしないこと。それでパートナーには、きちんとその話がインプットされるはず。

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「家族としてしか見られなくなった」なら、正直に話し合う。

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女性側レスのもうひとつの原因、"家族になって性的欲望を感じられない"に関しては、「本音をちゃんと伝えてください」と髙森さん。「ただセックスを拒むだけでは相手は何で嫌なのかがわからない。だから『ごめん、愛しているけどできない』というのを正直に伝えるしかない。

その上で、夫の性欲を無視するのではなくて、どう処理していくべきかを2人でちゃんと話し合うのが大事。性欲解消方法を、男性風俗に行くのをOKとするとか、どこまで認めるのかなど、ボーダーラインを決めること。これは夫側レスにも言えること。「いわゆる"妻だけED"は、妻を愛してないとか、女性としての魅力がないのではなくて、家族になってしまったからセックスの対象外になっている状態。自分の親に性欲は持たないでしょう、それと同じなんです。そういう場合も話し合うしかない。女性だって男性同様に性欲はあります。なので、女性風俗やセフレをOKにするとか、どこまで認めるのか夫側もちゃんと考えることが大切」(髙森さん)。

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お互いに風俗やセフレをOKにするなど、ボーダーラインを決めること

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あとはパートナーとのセックスをどこまであきらめられるか。まだ30代、40だとしたら、生涯セックスをあきらめるのは難しい気もするけれど......。「そういうときに私が言うのは、『セックスのために結婚してないですよね』ということ。たとえば、もし結婚してすぐに旦那さんが脊髄損傷して勃起障害がでたら、セックスできなくなりますよね。もしくは、女性側が病気になって手術の影響でセックスができなくなることもあるかもしれない。そのときに夫が『もうできないから離婚しよう』と言ったらどう思いますか。結婚生活において、どこまでセックスを重要視するのか、ということを明らかにすることが大切なのです。愛=セックスではありません。愛する行為の1つにオプションとしてセックスがあるんです。」(髙森さん)

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レスを乗り越えるために必要なこととは?

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そこまできちんと腹を割った話し合いができる夫婦ならばいいけれど、ほとんどのカップルはそんな風に向き合えないのではないだろうか。しかし、髙森さんのところに来るカップルは、夫婦仲を保ちたいと真剣に願うからこそ、カウンセリングに訪れている。「セックス以外の夫婦仲はいいから、何とか改善したい。その気持ちがあるから、レスという状況も乗り越えることができるんです」(髙森さん)

男性側レスの場合は、パートナー間で日常的にハグやキスなどのスキンシップや会話があるかどうかも重要だという。「男性側レスで悩んでいる女性は、『パートナーに愛されていないのではないか、自分にはもう女性としての魅力がないのではないか、だからセックスしてくれなんだ』と思い不安になっている方が多いです。そういう意味でも、男性側がちゃんと女性に愛情を感じさせてあげることが一番大切です。「女性の場合、本当に愛されていると感じると、セックスをしなくてもセックスしたのと同じくらい脳が満たされる仕組みだから。まずはボディコミュニケーションを頻繁にとるように心がけて、あなたの愛をパートナーの脳に伝えるように接してみて下さい。これで10組中8組の夫婦仲は改善されます」(髙森さん)

お互いになぜしたくないのかを話し合い、ふたりの愛があることを理解する。お互いに「じゃあセックスがなくてもいいよね」となったところから、また新たな絆が生まれていくのだという。

今回お話を伺っていて感じたのは、我々はパートナーとセックスの話をする機会があまりないのかもしれないということだ。私自身、「はしたない」と思われたくなくて、40代になるまではセックスについて自分から何かをリクエストするなんてできなかった。して欲しいことがあっても、「偶然それを相手がしてくれたらラッキー」くらいに思っていたかもしれない。

「縄文時代の前から世界中のどの国の人でも、どの時代の人でも誰もが普通に行なってきたセックスによって今の私達がこうして生きているのに、なぜここまでセックスの話ができないのか」(髙森さん) もっと気軽に性について話せるようなムードになれば、我々現代人のレス問題は解消されて行くのだろうか。

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恋愛コラムニスト さかいもゆる

出版社勤務からフリーランスのファッションエディターとして独立。その後、アラフォーでバツイチになった経験から、恋愛や結婚における本当の幸せとは何かを考えるインタビュー読み物やコラムを多数の女性誌で執筆している。

text: Moyuru Sakai

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