【ニッポンの性】膣周りだって老化する。ずっと快適に生きるために、女性器のアンチエイジングケア方法を学ぼう。

Lifestyle 2024.01.29

女性器は使わないと萎縮して衰えて行くというのをご存知だろうか。膣周りが老化すると、生活にも不具合が色々と生じてくるから切実だ。女性なら知っておきたい、膣のアンチエイジングケア。アラサー世代からも取り入れるべきメンテナンス術とは?

女性器のエイジングで起きる様々な不具合とは。

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「ほかの臓器と同様に、女性器は使わないと萎縮して行く」と話すのは、婦人科医で白金高輪海老根ウィメンズクリニックの院長の海老根真由美先生。ドキッとする言葉だが、実際、お肌と同じように、年齢とともに女性器の機能は衰えて行く。日頃からのケアで、更年期以降に快適に過ごせるかどうかに差がつくという。

では萎縮するとどんな不具合が起こるのか。以前の【ニッポンの性 vol.5】でも触れた通り、外陰部は使っていないことで皮膚が薄くなる。お小水をするだけで外陰部が切れて痛いと嘆く70代から80代の患者さんは多いそう。比較的若い世代でも産後の尿もれに悩む女性が居るが、これは主に尿道や膀胱の周りにある、膣周りの「骨盤底筋群」の緩みが原因だ。

植物療法士でフェムケアアイテムをプロデュースする森田敦子さんも、著書『私のからだの物語』で膣周りのケアを推奨している。「加齢に伴い、肌の瑞々しさを保つためのエストロゲンが減少することで、膣周りの皮膚も乾燥します。それまでふっくらしていた大陰唇や小陰唇がシワシワに弛み、ショーツに触れただけで痒みや痛みを感じることも」(森田さん)。

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また、エストロゲンの減少により皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸が低下すると、膣内の粘膜液も減ってくる。膣内が乾燥することで、膣内を酸性化して守っていた常在菌も減少し、細菌が繁殖しやすい状態に。においがキツくなったり、細菌性膣内に感染しやすくなったりするという。

さらに「膣が乾燥して中にはカチカチになって指すら入らなくなってしまう人も」(森田さん)。いざ性交渉という場面になって、痛くて男性器が挿れられずに病院に駆け込む女性も居るのだそう。

こういった更年期以降の女性の膣周りの変化について、「日本の性教育が未熟なゆえに、多くの人が知らずにいる」と森田さんは警鐘を鳴らす。「ヨーロッパの女性たちは少女時代から母親に膣周りのケアの大切さを教わり、顔のスキンケアと同じように丁寧に扱う習慣が身に付いています。そのおかげなのか、ヨーロッパの介護施設の利用者は、日本に比べるとオムツを付けていない人が圧倒的に多い。それは、彼女たちの膣周りは老人になっても潤っていて尿道や肛門を引き締める力を保っているから」(森田さん)。膣ケアは老後の尊厳にまで関わってくるというのだ。

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女性器の老化を防ぐ8つの方法。

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こうした症状は、日常的な性交渉やセルフプレジャーで防ぐことができるという。「本当はパートナーといっぱいセックスするのがいちばんなんですよ。運動で血流を上げられるし、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンも出てハッピーな気分になれるし、メリットだらけ。そうも行かないという方には医療的な治療もあるし、セルフプレジャーも効果的」(海老根先生)

海老根先生のクリニックでは、そうした症状を改善する医療機器での施術も人気だそう。

尿もれには「膣レーザーで血流を上げて、エムセラで筋肉を動かす治療がおすすめです」と海老根先生。エムセラは電磁波で筋肉を収縮させる椅子型の機械で、座るだけで膣内の筋肉のトレーニングができるというもの。シックスパッドを振動させて痩せるダイエット器具があるが、あれの膣バージョンをイメージするとわかりやすいかもしれない。膣レーザーは尿もれを軽減させる効果が期待できるとか。

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最新治療としては膣を引き締める、「膣ハイフ」の導入も検討中だけど、こちらは「ハイフは深い層まで届くし腸の粘膜に近いところに打つものだから、もう少し技術などの様子見が必要」とのこと。

医療以外では、「座っているときや電車待ちで立っているときに簡単にできる、膣や肛門をキュッと引き締めて緩めるトレーニングがおすすめ」と森田さん。ほかにも、膣圧を測れる機能も付いた、膣を鍛える「膣ボール」というフェムテックアイテムでの膣トレも。これなら成果が目に見えるので、モチベーションが上がりそう。「前屈みの姿勢は内臓下垂の原因になるので、正しい姿勢を意識することも大切」(森田さん)。

そのほかの森田さんのおすすめケア術は、「オイルマッサージで膣周りを柔らかくしておくこと。週2程度で挿入タイプのセルフプレジャートイを使うこと」。オイルマッサージにはオーガニックのアプリコットカーネルオイルやボリジ(ルリジサ)オイルを。また、山芋やレンコンなどのネバネバした食品も保湿効果が期待できるとか。

「40代ってひと昔前ならば、サザエさんでいうフネさん世代。だけど今は皆若々しくなっていて、60、70代くらいまでは40代と変わらない気持ちで行きたいと思っていますよね。そんな中で尿もれしたり外陰部が擦れて痛かったりすると、外に出かけられないし動けなくなって来て、気分が落ちる。今は医療で改善できる症状もたくさんあるので、恥ずかしがらずに受診して欲しい」(海老根先生)。

※森田さんのコメントは『私のからだの物語』(ワニブックス)より抜粋。

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海老根真由美さん

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長。2013年に白金高輪に婦人科、産婦人科、助産師の外来を中心としたウィメンズクリニックを開院。これまでに3万5千人近くの女性患者たちの悩みを診察。女性の心と身体のトータルケアを目指したクリニック作りを目指している。
https://ebine-womens-clinic.com/

森田敦子さん

植物療法士・フェムティスト。サンルイ・インターナッショナル代表。日本におけるフィトテラピーと性科学の第一人者。人生100年時代を見据え、女性が人生をイキイキと生きるためのフェムケアアイテムの処方開発なども手掛けている。植物のチカラを通して、健やかなライフスタイルを提案するラジオ、FM AICHI「森田敦子のLove your life」は、毎週日曜日9:30-10:00AMにPodcast、Spotify、Audeeでも配信中。近著、女性性を受け入れ慈しむ方法を説いた『私のからだの物語』(ワニブックス)も好評発売中。

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恋愛コラムニスト さかいもゆる

出版社勤務からフリーランスのファッションエディターとして独立。その後、アラフォーでバツイチになった経験から、恋愛や結婚における本当の幸せとは何かを考えるインタビュー読み物やコラムを多数の女性誌で執筆している。

 

text: Moyuru Sakai

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