いま、台北でしたい12のこと。【09】 旅の思い出とともに大切に使いたい、台湾クリエイターの手仕事。
Travel 2019.11.28
どこか懐かしく素朴な佇まいの台湾の手仕事は、日本の暮らしにもなじむもの。いまどきな感性で洗練された作品を生み出す、台湾人クリエイターに注目したい。
伝統的なチャイナシューズを、普段使いのモダンなアイテムに。
好好穿繡花鞋
ハオハオチュァンショウファーシエ|China Shoes Dragon
ヨーロッパサイズの36~40まで揃う。各1,380元
人気セレクトショップが手がける、履きやすいと評判のチャイナシューズ。春夏の新作にホワイト、ゴールド、ミントブルーといった涼しげなヌードカラー3色が登場。「チープになりすぎず、コーディネートしやすい色を意識した」という。タトゥアーティストとのコラボで生まれた龍の刺繍が施されており、ファッショナブルなアイテムに昇華させた。「刺繍が入った布を切り、糊付けしてから行う成形作業は、職人たちの熟練の技があってこそ!」
こぢんまりとしたショップやギャラリーが点在する富錦街にあり、隣のカフェとともにランドマーク的存在のフージンツリー 355で販売。
フージンツリーグループのオーナーとの結婚を機に台湾へ移住し、現在はバイヤーを務める向原緑(右)と、チャイナシューズの新作開発プロジェクトを担当した孟可微(左)。
フージンツリー 355
Fujin Tree 355
台北市松山區富錦街355號1樓
tel:02-2765-2705
Ⓜ松山機場
営)12時~19時30分
無休
カード:Ⓐ、Ⓙ、Ⓜ、Ⓥ
www.facebook.com/FujinTree355
---fadeinpager---
料理を愛する陶芸家による、使い手の温もりを宿すうつわ。
蔡麗鈴
ツァイリーリン|Belle Tsai
ぽってりとした丸が連なり、愛らしい。大皿2,500元、カップ各880元~
裏面までいっぱいに描かれた抽象的で温かみのある絵、不均一な厚みや曲線が愛らしい。「本当に気に入ってくれた人に手に取ってもらって大切に使い続けてほしいので、あえて量産はせずひとつひとつ違うものを手作りしています」と話す蔡麗鈴。まずは使ってみて自身の心が満たされるものを世に送り出すことが、創作におけるいちばんのこだわりだという。耐熱皿シリーズなど実用的なものが多いのも、カフェを手がける料理上手な彼女らしい視点から。
桃園市亀山區に蔡麗鈴が経営するカフェ、知鳥咖啡がある。カフェで使われるうつわの多くは彼女が作ったもの。うつわは台北市内でも購入可能。
東海大学で美術を専攻後、広告制作を経てカフェをオープン。友人宅や店で使ううつわを作るうちに陶芸家へ転身。www.facebook.com/workaroundthekitchen
放放堂 台北店(ファンファンタン タイベイディェン)
Funfuntown Taipei
台北市松山區富錦街359巷1弄2號
tel:02-2766-5916
Ⓜ松山機場
営)13時~20時
休)月
カード:Ⓙ、Ⓜ、Ⓥ
www.facebook.com/pg/funfuntown
---fadeinpager---
木の構造に合わせて削った、実用的でシャープな佇まい。
清製手作
チンズーショウズォ|Ching Creation
台北市の公館にあるアウトドアショップ、戶外人で販売されている。
「幼い頃から木の玩具を作って遊んだり、木に親しんで育った」という、作家の曾錦清(ツォンジンチン)。チークや胡桃の木を削り出して、カトラリーやアウトドアシーンで使える食器類を作り出す。丸みを帯びた角、残されたままの削り跡など、素朴で温もりを感じるが、どこかシャープに仕上がっているのが彼の作品の魅力だ。「木の構造に合わせて削ることで、耐性が高まる。カフェスプーンやバターナイフなど、適度な角度と厚み、手にフィットする感触を楽しんでもらえたら」
長い時間かけて磨き上げたツヤが美しい。繊細な木のうつわは水洗いのみ。カフェスプーン各1,380元、チークのプレート3,280元~、ブローチ各380元
大学で視覚デザインを学び内装業に携わった後、2015年に清製手作を立ち上げる。木彫りワークショップなども行う。www.facebook.com/chingcreation1106
戶外人(フーワイレン)
Amouter
台北市大安區羅斯福路三段283巷7弄10號
tel:02-2366-1110
Ⓜ台電大樓、公館
営)12時30分~21時30分
無休
カード:Ⓙ、Ⓜ、Ⓥ
www.facebook.com/amouter.tw
---fadeinpager---
銅が生む不揃いな表情に、独特の温度感を感じて。
隙裏有光
シーリーヨウグァン|Xilyuguang
スプーン、フォーク各850元、コップ小1,800元、大2,000元、プレート小800元、プレート大2,200元、ボウル2,800元
台南で活動している作家、陳芝穎(チェンヂーイン)が作り出すのは、深い光を放つ赤銅や真鍮のカトラリーやうつわなど、金属の不揃いな作品。台湾茶のギャラリー、琅茶熠熠の茶器の制作や個展なども行う。「経年変化が楽しめて持ち主の個性まで反映されていくのが、銅という素材の魅力」と語る。「金属を曲げ合わせた際の隙間から生まれる微かな光が美しいと思ったことから、隙裏有光と名付けました」。そんな彼女の代表作、持ち手に隙間を生む緩やかな曲線のスプーンからは、侘び寂びのようなものも感じられる。
台北市内のアトリエ兼ショップで販売する。
大学で金工に触れ、卒業後は骨董品の修復の道に進むも金工を再開。オーダーメイドも受け付けている。www.facebook.com/lightinacrevice
ルーチェ・ワークショップ
Luce Workshop
台北市大安區信義路四段30巷41弄7號
tel:0988-973-103
Ⓜ大安
営)13時~19時(木~土) 14時~19時(日)
休)月、火、水
カード:Ⓙ、Ⓜ、Ⓥ
www.facebook.com/luceworkshop
●日本から電話をかける場合、台湾の番号886の後、市外局番の0を取ってダイヤル。台湾内では掲載表記どおりにダイヤルしてください。
●データ欄のⓂはメトロを表します。
●クレジットカードは略記。A=AMEX、D=DINERS、J=JCB、M=MASTER、V=VISA
●掲載店の営業時間、定休日、商品や料理の価格などは、取材時から変更になる可能性もあります。特に台湾の祝日、年末年始、2月の旧正月には、営業時間、定休日が変更になる可能性があります。ご了承ください。
※『フィガロジャポン』2019年8月号より抜粋
【関連記事】
いま、台北でしたい12のこと。
【01】:歴史といまが交錯する、台北の美的リノベーション空間。
【02】:燒餅、小籠包......台北でいちばんの朝ごはんを食べよう。
【03】:台湾茶をいただくなら、台北の小さなギャラリーへ。
【04】:台北に誕生したおしゃれなマーケット、神農生活を散策。
【05】:身体の不調や悩みを解消しに、台北の漢方薬局へ。
【06】:地元っ子が集う台北の食堂で、台湾フードを堪能。
【07】:ひとりでも大勢でも! 台北で食べたい極上鍋。
【08】:甘いもの好きオススメの、台湾スイーツを召し上がれ。
photos : JIMMY YANG, réalisation : YAEKO KONDO