更年期はこわくない! 専門家に聞くフェムテック&デリケートゾーンケアの最前線。
Beauty 2025.01.12
女性ホルモン分泌の減少で変化を感じる40代の一方で、不安を覚える20代、30代も多いという「更年期」。何が起きるのか、それにどう対応すればいいのか、知識と情報をアップデート! それは案外楽しい未来かも。気になるトピックやお悩みを専門家に聞いてみよう!
「私たちが開催するフェムテックフェスを訪れる50代以上の女性はこの2年で倍に増え、関心は年々高まっています。ただ現状では、更年期に対応する市場の解決策はニーズに追いつけていません」とフェルマータCOOの近藤佳奈は説明する。とはいえ、更年期を必要以上に恐れる必要はない。産婦人科専門医の福山千代子先生が解説する。
「更年期障害とは、40代からエストロゲンの分泌が乱れ激減していく時に起こる自律神経失調症状。具体的には、ほてりやのぼせ、ホットフラッシュなどの血管系、めまい、動悸、頭痛、肩凝り、関節の痛み、冷えなどの身体症状、イライラ、落ち込み、情緒不安定、不眠などの精神症状。誰にも不調があるわけではなく、気付かずに通りすぎる人もいます」
更年期は血液検査で明確に判断できるので、まずは専門医に相談を。
「ホルモンに振り回されやすい女性の人生ですが、いまはホルモンをコントロールできる時代。PMSや生理痛が重いなら低容量ピルの服用で楽になるし、血栓のリスクが増える40歳以降は内膜にのみ作用するミレーナの装着やエストロゲン補充で、更年期のソフトランディングも。閉経後の腟周りの不調を改善する治療の選択肢も増えています。痛みや不快感を仕方ないと諦めないで」(福山先生)
女性泌尿器科専門医・関口由紀先生も、更年期は楽しい人生後半戦前の転換期、と説く。
「閉経すると女性ホルモンは1/10に低下し、男性ホルモンは3/4に。相対的に男性ホルモン優位になり、社会的にも生物学的にも不条理なことを我慢しなくなります。男性の場合は、生殖能力がなくなる=死に近づく、ですが、女性は生殖に関わらないストレスフリーな人生が約50年続く。閉経以降に起こる生殖器の不調を改善すれば、何歳でもリラクセーションやコミュニケーションとしてのセックスを楽しむことが可能です」
閉経以降の人生を高くジャンプするために、正しい知識を身につけて更年期と上手に付き合っていきたい。
閉経を挟んだ前後5年、約10年間のことを指す。一般的には45歳~55歳くらい。1年以上生理がなく、エストロゲンとプロゲステロンの値が下がり、特にFSHが40IU/ml以上、E2が20pg/ml以下の状態。
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専門家に聞く9つの質問
Q1. 更年期は辛いもの? いまから準備しておきたいこととは?
Q2. 外陰部や膣内、デリケートゾーンの痒みや痛みへの対策は?
Q3. 更年期のホルモン療法、知っておきたいメリット、デメリットは?
Q5. 更年期のお悩み、クリニックでできる治療にはどんなものがある?
近藤佳奈
fermata COO
神戸大学卒業後、SNS運営企業、ディー・エヌ・エーを経て、2019年、フェルマータに参画。インド・バンガロールからの勤務を経て、現職。
フェルマータ
女性特有の健康問題を解決するフェムテックを国内外からキュレートする。2024年2月に4回目となるフェムテックフェスを開催した。https://fermata-inc.com
福山千代子
MET BEAUTY CLINIC 院長
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医。20年以上、さまざまな世代の女性の悩みに真摯に向き合う。最新機器を導入するなど、更年期障害の治療も積極的に行う。2021年より現職。
メットビューティクリニック
東京都港区南青山5-11-9 レキシントン青山2F
0120-776-123(フリーダイヤル)
診)10:00~19:00
休)水、木、土(婦人科)
www.met-beautyclinic.jp
関口由紀
女性医療クリニックLUNAグループ 理事長
女性泌尿器科専門医。医学博士。日本性機能学会認定専門医。2005年に現クリニックを開設。中高年女性の総合的なヘルスケアを提唱し、骨盤底筋トレの重要性を説くスペシャリスト。
女性医療クリニックLUNA横浜元町
神奈川県横浜市中区元町1-32
045-662-0618(初診予約専用)
診)10:00~17:00
休)祝
https://www.luna-clinic.jp/
*「フィガロジャポン」2024年8月号より抜粋
text: Eri Kataoka