ボーテスターの美容履歴書。

最果タヒ

詩人・小説家・エッセイスト

美容のプロフェッショナルと、オシャレで美容愛のある女性クリエイターたち14人が、フィガロジャポンの“ボーテスター”に就任。
詩人・小説家・エッセイストの最果タヒは、美への意識変遷を綴りました。

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最果タヒ
詩人・小説家・エッセイスト
2004年より詩作を始め、07年、第一詩集で中原中也賞、15年に現代詩花椿賞などを受賞。この秋、詩集三部作に続く、最新詩集『天国と、とてつもない暇』(小学館刊)を刊行。

 

 昔は、化粧をしてもらっても、何が変わったのかよくわからなかった。当時は自然と濃さも色も、素顔に馴染むものを選んでいたし、そのせいでもあったんだろう。それからきっと私は、自分の顔をあのころは、よく知らなかったのだ。むしろ、知り尽くしているつもりでいたけれど。

 私が私のことを知らないわけがない、と思い込んでいた。けれど私は自分を内側からしか見ることができないし、顔は外側に向いてついている。周囲の誰よりも自分が私の顔を見慣れていない、ということ、自分が想像する「自分の顔」なんて、どこにもない、ということ、そのことに化粧をするようになってから気づいた。元の顔をよく知らないから、化粧をした自分がどう変わったのか、わかるはずもない。そして、そこがわからなくては化粧が上手くなることもない。

 化粧に慣れてきたころ、私はやっと自分の顔を、覚えられた気もしていた。私として生きることにも、だいぶ慣れたということかもしれない。大人になってからの方が化粧は楽しい、というのは、だから、確かにそうだなと思うのです。

photo:DAISUKE YAMADA (PORTRAIT)

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