ファッションの魔力にとりつかれ、やっぱり次回も来たい!と思った。【編集部の2025年秋冬コレクション日記パリ編】
Fashion 2025.04.14
ファッションウィークをフィガロジャポンエディターが綴る短期連載。パリコレ日記もついに最終日。ファッションの魔力にとりつかれ、やっぱり次回も来たい!と思った日。
毎回、最終日の朝イチに行われるシャネルも、セレブがたくさん来場する緊張感あふれるショーです。今回は日本のジャーナリストたちがセレブ席と近いこともあって、ショー開始まで席の周りは大混雑。
なんとランウェイを挟んで私の目の前に......パク・ソジュンが! しかしながら、左隣に座るS社某モード誌のN編集長は、「いや、私が目の前だ!」と主張し、我々は子どもの意地の張り合いのような会話を存分に楽しみました(笑)
今回のプレタポルテもデザインチームによるもの。ガブリエル・シャネルから受け継ぐDNAやアイコンに忠実に作られる服は正統派で愛らしく、むしろ最もシャネルらしいクリエイティブになっていると感じました。シフォンでラップされたツイードのスーチングやドレス、巨大化したパールアクセサリーをたすき掛けのように着けたり、リボンプリントのドレスがあったり。目の前のパク・ソジュンはデニムのルックにとても興味を抱いたふうでした。
Chanel
【編集長 森田聖美が選ぶシャネルのベストルック】#49
シャネルのデニムグラデーションのルックはパク・ソジュンとの思い出に。加えて個人的に着たい!と思う1着です。
サンラザール駅近くのクラシックなカフェで行われたのはキコ コスタディノフ。席にリリースとカヌレが置かれていて口福。ニットを重ねたりアームレットやビジューベルトでアクセントをつけたり、若々しい提案です。全体的にリーンなシルエットで足元の崩しがあってこそのコーディネートは、けっこう取り入れやすいかもしれません。
ミュウミュウもセレブ率の高いメゾンです。そしてランウェイを著名人が歩きます。ルー・ドワイヨンが今回も歩いていました。膝下がタイトなベルト付きロングブーツもしくは薄手のハイソックス、というルックがメイン。大きくした肩は丸みを持たせながらもかっちりと作ったジャケットや、真逆にデコルテを見せるランジェリー風のワンピースがあったり。ヘアが50年代風に膨らませたスタイルで、バナルなレトロ感がかえって可愛かった。今回はイエローに囲まれた空間でのショー。そこにスポーティな春夏のルックを纏ったKセレブが集っていて、なんともエネルギッシュなスペースでした。
最近、どのメゾンもアールドゥヴィーヴル(暮らしの美学)を大切にしていて、ファッションウィーク中にフレグランスやデコの展示会も行われることが多いのです。ルイ・ヴィトンは、新作の香水eLVes ルイ・ヴィトンを発表しました。バラとスズランとアンバーを軸にした複雑なのに知的な甘やかさがある香りです。日本では4月17日より発売。
大人気かつチケット枚数が限られていてショーにはうかがえなかったラバンヌのリシーへ。ラバンヌといえばのメタルに刺繍をミックスさせた今シーズン、よりエレガンスとセンシュアリティが増した気がします。スケルトンのバッグも欲しい!
シネマ愛の強いアニエスベーのショールームへ展示会にうかがうのも毎度楽しみ。今回は、アニエス・トゥルブレが蚤の市で見つけたものから受けたインスピレーションを盛り込みつつ、カジュアルなラインナップです。ブルゾンやオールインワンなどもウエアラブルで使いやすそう。ちなみに写真の赤いブルゾンは過去のアーカイブからほぼ同じデザインでリメイクしたそうです。展示会中には、軽食や飲み物でもてなしくれてうれしい。
今回、ファッションウィークのとりを飾るのはサンローラン。移動の途中で撮った夜に輝くエッフェル塔です。サンローランは常にエッフェル塔のふもとでショーを行います。そして、映画人がたくさん集います。アルモドバル監督も見かけました。カトリーヌ・ドヌーヴは35年前フィガロジャポン創刊時に来日してセレブレートしてくれたのですが、今回このショー会場でお礼を伝えることができました。また、6月号(4月18日発売)の表紙に登場するシャルロット・ゲンズブールにも再会。そしてサンローランプロダクション制作の映画『エミリア・ペレス』で新境地を開いた俳優ゾーイ・サルダナにも遭遇。
コレクションは・・・・・常に素晴らしいのですが、今回の色彩で魅せる演出はやはりアンソニー・ヴァカレロならでは。肩が大きく張り、ミニ~膝丈のスカートで客三角形のフォルムを描くスタイルで、モデルたちは宝石のよう。レザーブルゾンとロングドレスというクールなルックも最高。シルエットやフォルムが一貫しているのにまったく飽きさせない。求心力の高さが絶対的なショーでした。
【編集長 森田聖美が選ぶサンローランのベストルック】#44
サンローランのレザーブルゾン+ボリュームスカートは、永遠の憧れである「とっぽいおしゃれ」の代表的なコーデで大好き。
毎回、je suis fatigué~~~~と倒れそうになるファッションウィーク出張ですが、美しいものを見て、創造の意欲にあふれるクリエイターたちの仕事を見ていると、やっぱり次回も来たい!と思います。ファッションは魔力ですね。
フィガロジャポンインスタグラムでは、フィガロジャポンエディターがロンドン、ミラノ、パリのファッションコレクションの様子を日記でリポート。合わせてチェックして!
photography: Spotlight